2017/11/07
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」11月6日号より抜粋
10月の世界株価指数(MSCI、現地通貨ベース)は月間で+2.6%上昇するなか、日経平均株価は+8.1%、NYダウは+4.3%、ドイツDAX®は+3.1%と日本株の好調が目立ちました。背景には為替相場の安定による企業業績拡大期待に加え、安倍政権長期化を見越した需給改善が指摘できます。海外投資家が今年初めて日本株を10月第4週まで7週連続で買い越す(先物・現物計)なか、株価連騰のため日銀のETF購入額は10月中1670億円に過ぎず年間6兆円のペースを達成するため今後大幅な買入れが予想されます。10月末時点で予想PERは日経平均が15.2倍、NYダウが18.7倍、ドイツDAX®が15.1倍と日本株には割高感はないとみています。
他方、日米株の相関は高いため米国株の調整が日本株下落のきっかけとなる可能性があります。ハリケーンの復興需要もあり米国経済の成長率加速が米企業業績期待に寄与しているといえます。今後は長期金利や減税改革の行方が焦点になります。先週末に米共和党の税制改革法案が公表されており上下院での審議進捗が注目されます。税制改革の実施時期は株価に大きく影響するとみられます。
またFRB次期議長にパウエル理事が指名され、来年以降も米国の緩やかな引締めスタンスは継続される公算が高まりました。欧州中銀は2018年から9ヵ月間に渡り資産買い入れ(現行の月600億から300億ユーロに半減)継続を決定、英中銀は2日に10年4ヵ月ぶりの利上げ(0.25%→0.5%)に踏み切るも今後の利上げは緩やか且つ限定的に進めるとしています。主要国の金利正常化は緩やかに進み、長期金利は落ち着いています。日銀の国債買入れ額も徐々に減少するなか世界経済は安定成長しており、株式市場は業績相場に入っているとみています。ただし株価上昇の前提は低インフレ率の継続となり、物価指標の動向には注意が必要です。
◆米国:トランプ大統領が5〜7日に訪日、北朝鮮問題を念頭に強固な日米同盟の確認、日米FTA等が注目です。その後韓国、中国を訪問し14日までアジア歴訪の予定です。10日の11月ミシガン大学消費者信頼感指数は低下見通しですが、水準は2004年初め以来の高さにあり、先行き景気への楽観は依然強いでしょう。
◆日本:9日の日銀金融政策決定会合の主な意見では、片岡審議委員の緩和強化を巡る主張に注目です。ただし、需給ギャップのプラス幅が拡大するなか同調者は出難いといえます。9日の9月機械受注は船舶・電力除く民需が減少するも、10-12月期見通しは堅調が予想されます。供給不足感の高まりで設備投資の拡大が見込まれ、資本財など設備関連需要の拡大が景気を押し上げるとみています。
◆中国:7日の10月貿易統計は輸入前年比が高い伸びを維持できるのか、9日の10月消費者物価は川上部分の物価上昇が波及していないか注目です。(向吉)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
11/5(日) |
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(米)トランプ大統領 来日(〜7日) |
11/6(月) |
(日)黒田日銀総裁記者会見 |
11/7(火) |
(日)9月 現金給与総額(前年比) |
11/8(水) |
(日)9月 景気動向指数(速報、先行CI) |
11/9(木) |
(日)日銀金融政策決定会合 主な意見 |
11/10(金) |
(米)11月 ミシガン大学消費者信頼感指数(速報) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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