2017/09/05
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」9月4日号より抜粋
北朝鮮がミサイルを発射した8月29日は、Jアラート(全国瞬時警報システム)が日本時間の早朝に緊急情報を伝えたものの、市場の反応は落ち着いたものになっていました。一時は、リスク回避的な動きや、海外資産の巻き戻しなどから、108円台前半まで円高が進行しましたが、その後は米国の堅調な経済指標などにより、110円台までドル高・円安となりました。米国株も月間リターンは5ヵ月連続で上昇と堅調です。一方で米国10年利回りは、年初来で最低水準となる2.08%(29日の取引中)をつけています。米国の個人消費支出(PCE)デフレーターが前年比+1.4%に留まるなど、引き続きインフレ懸念が見られないことから、利上げ観測の低下、株高、長期金利低下、米ドル安となっています。ただ9月3日(日)には北朝鮮が核実験を行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験に成功したとの発表がありました。北朝鮮の核実験は2016年9月9日の建国記念日以来となる6回目で、引き続き北朝鮮情勢に注意が必要と考えられます。
◆米国:5日から連邦議会が再開します。税制法案も注目ですが、債務上限の引き上げ議論が注目です。9月末までに上限引き上げを、上院(100議席中60票の賛成)、下院(過半数の賛成)で可決する必要があり、与党・共和党が52議席の上院では民主党の協力が必要になります。最終的には月内での可決があるとみていますが、2013年のように政府機関が閉鎖した過去もあるため、注意は必要です。
◆カナダ:6日に金融政策決定会合があり、市場予想では22人中4名が7月に続く1.00%への利上げを予想しています(9月1日時点)。8月31日に公表の4-6月期GDP成長率は前期比年率+4.5%と予想(同+3.7%)を大きく上回り、市場が織り込む利上げ確率(OISベース)も前日から大幅に上昇しました(26.7%→44.7%)。
◆ユーロ圏:7日のECB(欧州中央銀行)理事会では、金融政策の据え置きが予想されています。7月理事会の会見では、金融政策変更(資産買い入れ額の縮小)議論は秋に行うとドラギ総裁は明言していますが、発表があるのは10月理事会の可能性が高いとみられています。そのため注目点は、足元の通貨高への言及です。またECBスタッフによる四半期の成長率・インフレ見通しも公表予定です。
◆豪州:5日の金融政策決定会合では1.50%への据え置きが予想されています。6日は4-6月期のGDP成長率が発表されます。前期比+0.8%のプラス成長が予想されており、同プラス成長で104四半期(26年)連続の景気拡大(2四半期連続のマイナス成長を回避)となり、オランダを抜いて世界最長の景気拡大となります。
◆ブラジル: 2017年4-6月期GDPは前年比+0.3%と2014年1-3月以来のプラス成長に戻り、財務相は「100年に一度の景気後退から脱却した」と宣言しています。5日の金融政策委員会では1.00%の大幅利下げが継続される見込みです。(永峯)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
9/4(月) |
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(米)Labor Day(労働者の日) |
9/5(火) |
(米)ブレイナードFRB理事 講演 |
9/6(水) |
(米)8月 米供給管理協会(ISM) 非製造業景気指数 |
9/7(木) |
(日)7月 景気動向指数(速報、先行CI) |
9/8(金) |
(米)ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 講演 |
9/9(土) |
(中)8月 消費者物価(前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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