2017/07/25
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」7月24日号より抜粋
■先週注目のECB(欧州中銀)理事会、日銀金融政策決定会合は無風に終わる
世界の2大流動性供給主体であるECBと日銀は先週、現在の量的金融緩和策を維持、巨額な流動性の供給継続を決めました。その他、先週20日には南アフリカ中銀が予想外の利下げ(7.0→6.75%)を実施したほか、今週26日にはブラジル中銀が政策金利を9.25%へ1.0%の利下げを実施することが予想されています。世界の主要中銀は、金融緩和の持続、あるいは強化に再びコミットし始めています。
■世界的な低インフレと米トランプ政策の停滞を悲観し下落するドル。
この組み合わせはリフレ相場の延長戦を示唆、新興国リスク資産に妙味か
概ね世界の主要中銀(カナダは住宅市場過熱、英国は通貨安に伴うインフレ懸念から引き締め方向だが)が金融緩和に再コミットする背景は、世界的にみられる期待インフレの低下にあるとみています。世界的物価上昇の主因である原油価格は、今週24日のOPEC(石油輸出国機構)臨時会合にて供給制約の強化を目指すものの、米原油増産基調に阻まれ世界の需給バランス改善は足踏み、米在庫減が下値をサポートするも上値もまた重いとみています。またコア物価を規定する賃金も先進国中心に抑制されています。一方、足元のドル軟調は米トランプ政権の政策停滞が主因と思料、露ゲートや医療保険改革法改正の難航、スパイサー報道官辞任等、守備力に欠ける政権は防戦一方、ドル高への転換は難しそうです。
こうした中、低インフレは足元市場を賑わす日米欧金融政策の出口戦略志向にくさびを打つと予想、今週26日の米FOMC(連邦公開市場委員会)の声明文では一時的要因とする低インフレの認識を変化させるか注目されます。世界的に依然景気の先行きが楽観視される中での低インフレ(リフレ相場)とドル安の継続は、リターンを求めるマネーをクレジットや新興国リスク資産市場へと向かわせ、また今や過去最低水準の米株変動率もリフレ相場延長を後押しするとみています。
■今週の米FOMC、8月ジャクソン・ホールが試金石に
こうしたシナリオが高い蓋然性を得るには、景気の持続に加え、米FOMC声明文、そして8月24-26日のジャクソン・ホールでの経済シンポジウムで講演するとみられるイエレンFRB(連邦準備理事会)議長から、金融政策の正常化は淡々と進めるが金融引締めは物価動向を注視し極めて慎重に判断するとのメッセージに確証を得ることが必要とみています。リスク資産市場は暑い夏を迎えそうです。
◆米国:足元の物価上昇を支える住宅価格、24日の6月中古住宅販売、25日の5月S&Pコアロジック全米20都市住宅価格、26日の6月新築住宅販売は住宅市場安定の確認材料として、28日の4-6月期実質GDPは市場予想比上振れし上述のリフレ相場シナリオを一層強化するか、注目です。27日にはFRBの銀行監督担当副議長候補クォールズ氏が上院公聴会に登場、正式に承認される見込みです。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
7/24(月) |
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(米)6月 中古住宅販売件数(年率) |
7/25(火) |
(日)日銀金融政策決定会合議事要旨 |
7/26(水) |
(米)6月 新築住宅販売件数(年率) |
7/27(木) |
(米)クオールズ次期FRB副議長 指名承認公聴会 |
7/28(金) |
(日)日銀金融政策決定会合 主な意見 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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