2017/06/13
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」6月12日号より抜粋
先週の株式市場は、米FBI(連邦捜査局)前長官証言、ECB(欧州中銀)理事会、英国総選挙など重要イベントが続いたものの落ち着いた推移を見せました。足元は米国・中国景気指標の軟化も見られますが、先進国の金融緩和策修正は慎重に進むとの安心感が、先進・新興国問わず積極的な資金流入を促している模様です。
そこで今週の焦点は13・14日の米国FOMC(連邦公開市場委員会)です。利上げや中銀保有資産圧縮は金融正常化に向け必要なプロセスですが、インフレ圧力がさほど高まらないなかで焦りは禁物でしょう。くしくもドラギECB総裁は「忍耐が必要」と語りましたが、FOMCが同様の姿勢を印象付けられるか注目されます。
◆日本:日銀が出口論(金融緩和解除への道筋)議論は時期尚早との判断を見直すとの思惑で10年債利回りは2ヵ月ぶりの水準に上昇しました。ただし、15・16日の金融政策決定会合および黒田日銀総裁記者会見ではインフレ率が目標の+2%に遠いとの認識から従来の金融緩和政策を当面続ける姿勢を強調するとみられます。
◆米国:指標面では、15日のニューヨーク、フィラデルフィア連銀製造業景気指数(6月)、特に前者は5月に7ヵ月ぶりのマイナス圏に転落、景気不安を煽る内容となったため注目です。また、良好な景気を表す代表的指標であった自動車販売に続き、15・16日の住宅関連統計に軟化の兆しが生じていないかも要注意です。
◆ユーロ圏:15日のユーログループは、7月に国債の大型償還を控えるギリシャへの金融支援(5月は合意せず)を協議します。IMF(国際通貨基金)など国際債権者団は同国財政改革案を了承も、支援条件として同国債務削減を求めるIMFとそれに反発する欧州側(9月選挙を控えるドイツなど)が歩み寄れるか注目です。
◆オーストラリア(豪):豪ドルは6月に入り反発も、直近1-3月期の実質GDPは個人消費減速も響き前期比+0.3%と停滞感は拭えません。足元頭打ち傾向を見せる14日の消費者信頼感指数(6月)が改善の兆しを見せるか注目です。商品価格が反落、金融政策の据え置きが見込まれるなか、豪ドルは一進一退を見込みます。
◆中国:直近5月の製造業PMIが政府調査(51.2)と民間調査(49.6)で明暗分かれる内容となるなど、景気楽観論は春先に比べ後退した感があります。同月貿易統計で輸出は伸び率加速と外需環境は好転するなか、14日の鉱工業生産・都市部固定資産投資・小売売上高(5月)などから内需安定が裏付けられるかが焦点です。
◆ブラジル:直近1-3月期の実質GDPは前期比+1.0%と9期ぶりのプラスも好天に伴う農畜産業の好調が主因であり、内需は低迷したままです。雇用環境は厳しく、13日の小売売上高(4月)も低調を予想、景気は楽観視しづらい状況と考えます。テメル大統領の汚職捜査妨害疑惑を巡る内政混乱リスクも要警戒です。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
6/12(月) |
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(日)4月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
6/13(火) |
(米)5月 生産者物価(最終需要、前月比) |
6/14(水) |
(米)FRBイエレン議長 記者会見 |
6/15(木) |
(日)日銀金融政策決定会合(〜16日) |
6/16(金) |
(日)黒田日銀総裁 記者会見 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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