2017/05/30
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」5月29日号より抜粋
先週は、緩やかなリスク選好型の相場となり、NYダウは1.3%、日経平均は0.5%上昇。米10年債利回りは2.247%と前週の2.235%より小幅に上昇しました。
米大統領を巡る疑惑は収束しておらず、先週23日にはブレナン前CIA長官が大統領選挙期間中にトランプ陣営とロシア政府関係者に接触があったと証言。また、21日には北朝鮮による弾道ミサイル発射、22日には英国マンチェスターでの爆破テロ、24日には格付大手ムーディーズによる中国の格下げ(外貨建長期: Aa3→A1)があり、市場がリスク回避に動き得る機会は少なくありませんでした。しかし、今月7日の仏大統領選挙という一大イベントを無難にこなした市場は、上記の一連の動きに大きく反応せず。世界景気の拡大を続ける中で米国による金融政策の正常化が緩やかに行われるという安心感などが市場を支えたとみられます。
先週26日時点で金利先物(OIS)が織込む6月の米利上げ確率は93.7%、しかし、12月までの追加利上げの確率は45%程度。市場は6月の利上げを確信しつつその後の追加利上げには自信がない模様です。米雇用環境が改善を続ける中で加速していた平均時給の上昇率が足元でやや軟化し、コア消費者物価の伸び率も鈍化。市場は、雇用改善→賃金上昇→物価上昇という動きを確信していないとみられます。先週24日に公表された米FOMC議事録(5月2-3日)は、近い将来に米FRBのバランスシート縮小の詳細を明らかにする意向を表明、今後の注目点となりそうです。
中国での金融市場の規制強化の動きも関心を集めています。近年短期金利が低位安定する中で金融機関が銀行間借入等によるレバレッジを拡大させたことを当局は問題視。自己資本比率や所要引当金計算の厳格化、レバレッジ取引や複雑な取引の制限、短期金利の高め誘導などを通じてレバレッジ解消を促しており、投資資産処分などに伴って株式や債券価格が軟調です。3月にかけて加速した景気は4月以降鈍化。今年秋に共産党大会を控え、党指導部は景気の底割れを容認しないとみられるものの、金融市場の引締めが市場の過剰反応を招きやすいのも事実です。今後は中国発の国際金融市場の動揺が起こりやすくなると考えられます。
今週は、米中の景気指標や米当局者の金融政策に関する発言が注目されます。
◆米国:2日の米雇用統計(5月)では、非農業部門雇用者増減数が前月比+18.5万人増と前月の+21.1万人を下回りつつ堅調に拡大し、失業率も4.4%と前月と同率の低位に留まり、市場は6月の米利上げへの確信を深めると予想されます。
◆中国:政府の刺激策等に支えられて3月にかけて加速した景気は、金融市場の引締めに伴う調達金利の上昇や国内金融市場の動揺などによって下押しされています。31日の製造業PMI(政府)は51.0と前月の51.2より低下すると予想されます。
◆インド:31日の実質GDP(1-3月期)は前年比+7.1%と前期の+7.0%を上回りつつ7-9月期の+7.4%に届かず、高額紙幣の廃貨の影響が確認されるでしょう。(入村)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
5/27(土) |
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(日)黒田日銀総裁 講演 |
5/29(月) |
(米)ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 講演 |
5/30(火) |
(米)ブレイナードFRB理事 講演 |
5/31(水) |
(日)4月 鉱工業生産(速報、前月比) |
6/1(木) |
(米)パウエルFRB理事 講演 |
6/2(金) |
(米)5月 雇用統計 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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