2017/05/16
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」5月15日号より抜粋
仏大統領選挙の結果が大方の予想通り無難に終わり、北朝鮮情勢の地政学リスクは残るも一触即発のリスクは和らいでおり、金融市場の関心は景気・物価動向に戻っています。目下の注目点は6月13-14日の米FOMC(連邦公開市場委員会)で追加利上げが実施され、年内複数回の利上げ観測が強まるかという点です。6月2日発表の5月米雇用統計にむけて米経済指標への注目度は高まり、5月3日FOMCの声明文における「第1四半期の成長減速は一時的」が正しいのか判断されます。ドル円相場は地政学リスクの高まりで4月17日に1ドル=108円13銭の年初来の円最高値をつけた後は、5月11日には114円37銭まで円安が進んでいます。
日経平均株価も4月17日に年初来安値の18,224円68銭をつけ、その後は上昇基調に転じ5月11日には19,989円94銭の年初来高値を更新、2万円突破も目前となりました。背景にはリスクイベントの無難な通過があげられますが、その他に3月期の好決算、海外投資家の積極的な買いがあります。3月期決算は約9割が公表され日経平均の予想EPS(1株当り利益)は12日に1,316円と過去最高となり、予想PERは15.1倍と米S&P500指数の18.4倍に比べて割安といえます。海外投資家は日本株の現物を5月第1週まで5週連続で買越し、5月第1週は先物と合わせ2営業日で3,357億円買越しています。主要企業の今期対ドル想定レートが108円台後半である事から、今後も円安が進めば増益期待で日本株は一段の上昇が予想できるでしょう。
今週は日本の1-3月期GDP速報、米6月利上げ観測が焦点となりましょう。
◆米国:6月のFOMCで追加利上げが実施され、資産縮小の議論が前進するのかが焦点です。米景気は堅調が予想され、5月ニューヨーク連銀、フィラデルフィア連銀製造業景気指数はともにプラス、4月住宅着工件数は増加が見込まれます。18日のメスター・クリーブランド連銀総裁、19日のブラード・セントルイス連銀総裁(いずれもFOMC投票権なし)講演で金融当局のスタンスが注目されます。
◆日本:3月期企業決算と今期業績予想が注目です。前期決算は大方が発表され、過半が事前予想を上回るなど好調です。1-3月期実質GDP速報予想は前期比年率+1.8%と伸び率が加速、3月機械受注も増加が見込まれ安定的な経済成長が示されるでしょう。4月訪日外客数は昨年7月に記録した過去最多229.6万人を更新する可能性あり、前年比は鈍化するも10%程度で伸び依然経済効果は大きいと言えます。
◆欧州:5月独ZEW景況感指数は改善が続く見込み。18日ドラギ欧州中銀総裁の講演では景気は順調に拡大するも当面は量的金融緩和の必要性を示すでしょう。4月英消費者物価は一段と上昇するも当面金融政策変更には至らない見通しです。
◆豪州:4月失業率は5.9%と横ばい、1-3月期賃金前年比は+1.9%と低水準の予想であり利下げ観測は一部残るも当面政策金利据え置きが予想されます。(向吉)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
5/15(月) |
---|
(米)5月 ニューヨーク連銀製造業景気指数 |
5/16(火) |
(米)4月 鉱工業生産(前月比) |
5/17(水) |
(日)3月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
5/18(木) |
(日)1-3月期 実質GDP(1次速報、前期比年率) |
5/19(金) |
(日)4月 訪日外客数(推計値) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
当資料に関してご留意頂きたい事項
- 当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の三菱UFJ国際投信経済調査部の見解です。また、三菱UFJ国際投信が設定・運用するファンドにおける投資判断がこれらの見解に基づくものとは限りません。
- 当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。