2017/04/25
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」4月24日号より抜粋
先週は北朝鮮情勢膠着の中、日米経済対話や突然の英下院総選挙決定、大統領権限強化を決めたトルコ、インドネシア ジャカルタ州知事選挙での現職敗退、フランス大統領選等、政治情勢の変化に警戒感が高まり投資家も動き辛い週でした。
■市場の焦点は再び欧米政治と米インフレ動向へ
目先、市場は欧米政治、米インフレに目を向けましょう。米議会は25日再開、暫定予算期限を週末に控え、9月迄の予算措置を講じる法案、債務上限問題をクリアせねば政府閉鎖の危機に直面します。また共和党ライアン下院議長は、廃案とした医療保険制度改革法案を形を変え成立させ、減税の一部原資確保を目指す模様です。中道寄りへと変貌したトランプ大統領、26日発表の税制改革案は市場の財政拡大期待に再び火を付けるか、或いは財政中立を目指す議会へ迎合し小粒に終るか、更に草案をまとめる行政予算管理局長マルバニー氏はかつて財政中立を叫ぶ共和党ティーパーティの急先鋒、同氏の去就は改革規模に直結しましょう。
一方米インフレ動向も今後2週間で転換点を迎えましょう。5月5日発表の4月雇用統計の調査週と重なった先週の失業保険の新規申請件数は24.4万件と依然低水準、継続受給者数は197.9万人(4月7日)と過去40年で3度目となる最低水準をつけています。米労働市場はインフレ加速を促すか否かの瀬戸際、失業率が自然失業率4.5%を下回るとの確信を得れば、米FOMC(連邦公開市場委員会)は5月3日発表の声明文で6月利上げを予告、米長期金利は再度2.6%超えを試すとみています。
■フランス大統領選決選投票はマクロン氏vsルペン氏に
4月23日のフランス大統領選第一回投票は、中道派のエスタブリッシュメント、マクロン候補とEU(欧州連合)離脱を謳う極右国民戦線ルペン候補が勝利する見込みです(正式結果は28日公表)。概ね事前の予想通りの結果を市場は好感、世界的に一旦は株高、通貨ユーロも買戻しが進みましょう。しかしこれで閉幕とは言えません。今回の投票で最多得票を得たマクロン候補は5月7日決選投票に向け選挙戦終盤を有利に進めましょうが、不透明感も残ります。先週の仏パリ・シャンゼリゼ通りでの銃撃戦は、テロ対策、シェンゲン協定(EU加盟国の国境管理撤廃)の是非、移民問題の重要性を改めて有権者に植え付けました。これら問題に正面から立ち向かうとの公約を挙げるルペン候補は、今回の投票で敗者に投じた票を集める可能性もあります。市場は、一旦大統領選の警戒感を薄めるとみられるだけに、ルペン候補が勝利すればショックは大きくなる恐れもあります。
◆米国:重要指標が目白押し、集約すると焦点は2つと思料。(1)雇用と賃金の上昇がもたらすインフレ再加速、(2)足元ピークアウト観のある一部サーベイデータと実経済指標の乖離は一時的か。そしてこれらが示唆するインフレ、景気の先行きに対し、5月2-3日のFOMCがどう評価し声明文に織り込むかが注目されます。
◆日本:4月26-27日の日銀の金融政策会合は無風に終わる見込みです。インフレ加速懸念台頭で米長期金利が上昇すれば日本株も上値を追いましょう。(徳岡)
※次回の投資環境ウィークリーは5月9日発刊です。
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
4/23(日) |
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(仏)大統領選挙(第1回投票) |
4/24(月) |
(米)カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演 |
4/25(火) |
(米)2月 S&P/ケース・シラー住宅価格指数 |
4/26(水) |
(日)日銀金融政策決定会合(〜27日) |
4/27(木) |
(米)3月 耐久財受注 (航空除く非国防資本財、前月比) |
4/28(金) |
(日)3月 鉱工業生産(速報、前月比) |
4/29(土) |
(欧)EU首脳会議(英離脱に関するガイドラインを協議) |
4/30(日) |
(中)4月 製造業PMI(国家統計局) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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