2017/04/11
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」4月10日号より抜粋
先週、円高が進行するなか日経平均株価が7日に18,517円43銭をつけ年初来安値を更新、株価の不安定さが増しています。主要株式市場の年初来騰落率は、NYダウが+4.5%、独DAX®が+6.5%、英FTSE100が+2.9%、日経平均株価が▲2.4%と日本株の下落が目立ちます。背景には円高(年初の117円25銭→先週末111円09銭)、トランプ政権の税制改革の不透明感、北朝鮮核問題や米シリア攻撃など地政学リスクの高まりなどがあり、日本株は売りに押される展開になっています。
ただし、日本経済が他の先進国に比べ景気が鈍化している訳ではなく、むしろ生産、輸出を中心に拡大ペースは加速しています。企業収益も堅調であり、上場企業の一株当たり利益は今年3月期だけでなく来年3月期も通期で二桁増益が予想されています。来年にかけて米中経済は堅調が見込まれ、トランプ政権の税制改革やインフラ投資が実現すれば今期の業績は上方修正が濃厚といえます。
来月にかけ米半期為替報告、米2018年度予算審議、仏大統領選挙、韓国大統領選挙など金融市場のリスク要因となりうるイベントが控えています。また北朝鮮、中東の地政学リスクが加わり、株価は上値の重い局面が続きそうです。他方、年初に16.6倍と割高だった日経平均株価の予想PERが先週末に15.2倍と、過去5年平均15.3倍を下回り割安圏にある点は投資タイミングとして注目すべきでしょう。
今週は米利上げ観測、北朝鮮核問題、米国の為替政策が焦点となる見込みです。
◆米国:バランスシート縮小に関するFRB要人発言、1-3月期米銀行決算が注目です。4月ミシガン大学消費者信頼感は高水準となる一方、3月小売売上高は小幅な増加にとどまる見込みです。消費の弱さには所得税還付の遅れがあるも、雇用堅調で消費は拡大するでしょう。3月消費者物価は前年比+2.6%、コアが同+2.3%となり、緩やかながらもインフレ率が徐々に高まっていることが示されるでしょう。
◆日本:18日の日米経済対話を控え企業マインドや投資行動に慎重さがみられる可能性があります。3月景気ウォッチャー調査は足元改善、先行きは50超となり緩やかな改善となりましょう。2月機械受注(船舶電力除く民需)は2ヵ月ぶりに増加するも1-3月期内閣府見通し達成の公算低く、投資意欲は弱いとみられます。
◆欧州:仏大統領選挙(初回投票、4月23日)は極右のルペン候補がTV討論会では低評価でも人気は健在です。4月独ZEW景況感指数は高水準が見込まれます。
◆その他:11-12日のブラジル金融政策委員会は連続利下げ、下げ幅は0.75%から1%に拡大見通しです。消費者物価前年比が4%台に低下、景気へのプラス効果が期待されます。3月豪失業率は横ばい、雇用者数は増加の見通しです。(向吉)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
4/10(月) |
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(日)黒田日銀総裁 あいさつ |
4/11(火) |
(米)カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 質疑応答 |
4/12(水) |
(日)2月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
4/13(木) |
(米)4月 ミシガン大学消費者信頼感指数(速報) |
4/14(金) |
(米)3月 消費者物価(前年比) |
4/15(土) |
(米)財務省 半期為替報告書の議会提出期限 |
4/16(日) |
(他)トルコ 改憲にかかる国民投票 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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