2017/04/04
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」4月3日号より抜粋
先週、米国議会での共和党内部対立でオバマケア修正法案の採決が見送られ、NYダウ(ザラ場)は今年3月1日の最高値21,169ドルから3月27日には20,412ドルまで一時下落しました。米国10年国債利回りも3月14日の2.627%から3月27日には一時2.346%まで低下、ドル円相場も3月10日の1ドル115.51円から3月27日には一時1ドル110.11円までドル安円高が進行、投資家のリスク回避が鮮明化しました。今月、市場が警戒すべき材料は、月央にも米財務省が中国を為替操作国指定の可能性、4月18日の日米経済対話、英国EU離脱交渉の行方、16日のトルコ大統領権限強化の憲法改正是非を巡る国民投票、23日の仏大統領選(5月7日は決選投票)、28日の米国2017年度暫定予算期限(翌日がトランプ就任100日目)など山積です。
また、トランプ政権はロシア政府との癒着疑惑、入国制限の大統領令の2回執行停止、メキシコ国境の壁建設遅延、議会共和党内の求心力低下など、市場が期待する減税・インフラ投資・規制緩和の具体化に暗雲が漂っています。さらに、政府高官の上院承認が大幅に遅れ、高官553ポストのうち承認されたのは21のみ、488が未指名、44が承認待ちと(4月1日時点)、政権の実務遂行が滞っています。加えて米商務省は30日、日韓台独仏伊など8ヵ国の鉄鋼製品に反ダンピング関税を適用すると発表。18日の日米経済対話では、多国間ではなく二国間通商交渉でペンス副大統領とロス商務長官が米国有利な条件を迫る可能性もあり要注意です。
しかし、今後の相場見通しを過度に悲観するのも禁物でしょう。3月のNYダウは日柄調整であり値幅調整に値するほどの大幅下落ではないこと、先週ナスダックは30日までに5営業日連騰し再び最高値を更新していること、に相場の底堅さが現れています。即ち、弱気相場入りしている訳ではなく、昨年2月に始まった「株高・金利上昇・ドル高」は継続していると判断されます。背景には、米国S&P500対象企業の一株当り予想利益前年比が2017年+25.6%、2018年+9.4%(S&P社予想)という好調な収益環境があります。またトランプ税制改革も、国境税やインフラ投資は難航が予想される反面、法人減税・海外留保利益減税・個人減税等は来年初旬までに議会通過、来年には景気刺激効果が現れると予想されます。
今週の焦点は、日銀短観・米中首脳会談・米国雇用統計・FOMC議事録です。
◆米国:7日の米国雇用統計で賃金上昇が確認されれば、6月13-14日のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ確率が高まるでしょう(市場が織込む6月までの利上げ確率56.7%:4月3日時点)。また、5日のFOMC議事録(3月14-15日開催分)では、FRB保有資産の償還金再投資停止が検討されているか注目です。
◆中国:6-7日の中国国家主席訪米と米中首脳会談は通商問題・為替政策・安全保障が焦点、また先月3兆ドルを回復した7日の外貨準備高も注目です。(荒武)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
4/1(土) |
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(中)3月 Caixin製造業PMI(マークイット) |
4/3(月) |
(日)日銀短観(3月調査) |
4/4(火) |
(米)タルーロ・FRB理事 講演 |
4/5(水) |
(米)FOMC議事録(3月14・15日開催分) |
4/6(木) |
(米)ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 講演 |
4/7(金) |
(日)2月 景気動向指数(速報、先行CI) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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