2017/03/14
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」3月13日号より抜粋
先週は日欧株価上昇、NYダウ小幅下落。特に増資発表後も底堅いドイツ銀行はじめ、欧州銀行株指数が先週+3.8%と堅調でした。仏大統領選控え質への逃避需要から独短期金利が低下する一方、今週の米FOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ警戒感から上昇する米長期金利に独長期金利はつれ高、独長短金利差拡大し欧州銀行株を押し上げました。一方NY原油先物価格は先週▲9.1%、米原油増産懸念がOPEC(石油輸出国機構)減産に伴う需給改善に水を差した格好です。
今年の世界景気は目下先進国主導で堅調、今年6.5%成長を目指すとして15日に全国人民代表大会を閉幕する中国景気も足元順調、新興国も総じて景気回復途上と楽観視しています。但し金融市場には例年になく大きなリスク要因が目白押し、特に要注意は4つ、その蓋然性見極めのキーワードは何れも「スピード」です。
まず米トランプ政権、発足後約2ヵ月経つも未だ閣僚や省庁幹部が定まらぬまま15日に債務上限の適用停止期限が到来、財布の紐を握る米議会は今秋にも資金枯渇と焦りを募らせます。こうした中、市場が期待する減税策等の実行には財政規律を重んじる一部議会共和党との早期蜜月が不可欠ながら、目下その関係は冷ややか、議会は医療保険制度改革に集中しています。今週発表予定の予算教書で減税具体案提示すれば株式市場は新高値更新を試しましょうがその可能性は低く、反対に新政権の失速を印象付けることになれば、期待ははく落し易くなります。
第2は米金融政策、14-15日の米FOMCは0.25%利上げを実施、米景気への自信示せば株式も一旦好感しましょう。しかし、市場の焦点はその先の利上げペース。2月雇用統計では失業率4.7%、「U6」と呼ばれる広義失業率も9.2%に低下しイエレンFRB(連邦準備理事会)議長曰く労働市場の緩みも改善した模様です。米経済は早晩、物価上昇の加速点に到達、年3回としたFOMC、年2回とする市場の利上げ頻度双方の上方修正通じ米長期金利は程なく3.0%を、またドル円は20ヵ国(G20)財務相・中銀総裁会議で想定される米ムニューチン財務長官の(緩やかな)ドル高支持姿勢も重なり昨年12月高値1ドル118円後半を、共に試しましょう。
第3は中国、不良債権と資本流出加速です。2月外貨準備高は再び3兆ドル超えも、日々の金融調節は人民銀行(中銀)の苦悩が見えます。但し海外資本規制の緩和等、当局資本流出対策は先取的、この姿勢はむしろ市場には好材料でしょう。
最後に4月23日フランス大統領選です。目下、EU(欧州連合)離脱を謳う極右国民戦線ルペン氏の支持率は5月7日決選投票進出を示唆、市場を怯えさせています。現下、左派勢力結集がルペン氏勝利阻止の有望策と思料、マクロン候補を左派統一候補として担ぎ直す必要がありましょう。但し残された時間は僅かです。
◆日本:15-16日の日銀金融政策会合は無風と予想、今後の米金利上昇余波が想定される本邦長期金利の対処は如何に?黒田総裁の見解に要注目です。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
3/13(月) |
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(日)1月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
3/14(火) |
(米)連邦公開市場委員会(FOMC)(〜15日) |
3/15(水) |
(日)日銀金融政策決定会合(〜16日) |
3/16(木) |
(日)黒田日銀総裁 記者会見 |
3/17(金) |
(米)2月 鉱工業生産(前月比) |
3/18(土) |
(米)ティラーソン米国務長官 訪中 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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