2017/03/07
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」3月6日号より抜粋
先週は、日米独の株価が前週末比上昇し、同10年債利回りも上昇。為替市場では、ユーロが円や米ドルに対して上昇し円が対米ドルで下落とリスク選好型の相場展開に。28日の米トランプ大統領による演説後の株価上昇が目立ちました。
同大統領による上下院合同会議での演説は、政策全般に幅広く述べるに留まり税制改革やインフラ投資の詳細には踏み込まず、久方ぶりのインフラ投資への言及(規模は1兆ドル)以外に目立った内容はありませんでした。しかし、3月中旬に予算教書の提出が控えており、市場も今回詳細な政策内容に踏込むと期待していなかったため、失望売りは見られず。むしろ、過激な発言を封印し共和・民主両党の協力を呼び掛けるなど予想外に「大統領らしい」演説が好感された模様です。
先週の市場では、米FRB幹部による早期利上げを示唆する発言が目立ちました。金利先物(OIS)の織込む3月の米利上げ確率は先週末時点で94.0%と先々週末の47.8%から急上昇。米FRB幹部は、相次ぐタカ派発言によってわずか1週間で市場に3月15日の利上げをほぼ確信させました。28日にNYとSFの連銀総裁が早期利上げを示唆し、1日にはハト派のブレイナード理事も「早期の緩和解除が適切」と発言、3日のイエレンFRB議長も雇用物価状況が期待通り進展なら今月の会合で「更なる調整が必要に」と発言。先週1日の米地区連銀経済報告(ベージュブック)でも、底堅い企業の景況感や緩やかな雇用状況の改善が示されました。
先週、米5年債利回りは2.010%へと0.205%ポイント上昇した一方、30年債利回りは3.072%へと0.120%ポイント上昇。短中期に比べ長期の金利が上昇しなかったのは、米FRBが物価抑制で「後手に回る」リスクは低いとみられているためであり、このため、早期米利上げの見通しは株価の重しとならなかったと考えられます。
3月中旬の米予算教書まで税制改革やインフラ投資等の詳細が出てこないこと、先週3月の米利上げを織込む過程でも株価が堅調であったことを見る限り、今週も米政策期待等によるリスク選好相場が継続する可能性が高いでしょう。来週15日の米利上げは既定路線ながら、もし経済と金利の見通しが上方修正された場合、米短期金利の一層の上昇や米ドル高の進展など市場が動くと考えられます。
◆米国:10日の2月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+19.0万人(前月: +22.7、万人)、平均時給の前年比は+2.8%(同+2.5%)と堅調な内容を予想。市場は既に3月の米利上げをほぼ確信しており、よほどの下振れがない限り反応薄か。
◆インド:国内最大の人口を擁するウッタル・プラデシュ(UP)州の州議会選挙は8日が最終投票日で11日に開票。市場は同選挙をモディ政権の信任投票と解釈、事前の世論調査通り与党が躍進なら2019年の総選挙で現政権再選の期待から株価や通貨が上昇か。一方、一昨年のビハール州議会選挙のように予想外の惨敗ならば、当時と同様に政策運営迷走の懸念から株価と通貨の低迷のリスクも。(入村)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
3/5(日) |
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(日)自民党大会 |
3/6(月) |
(米)カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 講演 |
3/7(火) |
(欧)10-12月期 実質GDP(確定値、前期比) |
3/8(水) |
(日)10-12月期 実質GDP(2次速報、前期比年率) |
3/9(木) |
(欧)ドラギECB総裁 記者会見 |
3/10(金) |
(日)1-3月期 法人企業景気予測調査 |
3/11(土) |
(印)UP州議会選挙 開票日 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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