2017/02/07
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」2月6日号より抜粋
トランプ新大統領が1月20日に誕生して既に2週間ほど経過しました。TPPからの離脱、メキシコ国境での壁建設、入国審査の強化、金融規制の緩和など、大統領令等で多くの政策が迅速に実施されている印象を受けます。調査によると、大統領就任後の10日間に行われた大統領令等の政策は、トルーマン第33代大統領以降の平均8件の2倍以上となる20件となっています。ただオバマ元大統領も18件と多く、新大統領が突出して多いというわけではありません。これは政策の内容による違いに加え、新大統領がメディアの前で署名するなどのパフォーマンスも影響していると思われます。過激な発言もある新大統領ですが、パフォーマンスに振り回されず、政策の内容を慎重に見極める必要があると考えます。
1月31日にはトランプ大統領は初めて中国と日本に対して通貨安政策を行っていると批判を行いました。今回の為替へのコメントを受け、トランプ大統領の発言対象が、自動車会社など個別企業のミクロから、為替などマクロにまで拡大したことを意味すると考えます。発言後に、為替は円高ドル安に推移するなど影響も見られましたが、長期的には口先介入による影響は限定的と考えています。加えて、トランプ政権の保護主義政策は、米国の貿易赤字縮小により逆に米ドル高となる可能性があります。新政権の財政政策に対しては引き続き注視する必要があると考えますが、中長期的な投資家にとっては大統領の為替コメントより、景気動向・金融政策への注視が重要と考えています。
今週は、豪州(7日)、インド(8日)、ニュージーランド(9日)、フィリピン(9日)、メキシコ(9日)など多くの国で金融政策決定会合が予定されています。
◆米国:7日の貿易収支(12月)は▲450億ドルと前月の▲452億ドルと近い水準の貿易赤字が予想されています。トランプ政権にとって通商政策は6項目の政策公約に含まれている重要項目となっています。
◆豪州:7日の金融政策決定会合で、政策金利は1.50%に据え置かれる予想です。今会合では、2016年11月以来となる「金融政策報告書」も発表され、GDP成長率(2016年11月時点の予想中央値、2017年+3.0%、2018年+3.5%)・インフレ率(同、2017年+2.0%、2018年+2.0%)の見通しも新たに示されます。
◆日本:10日に安倍首相とトランプ米大統領の初の首脳会談が行われます。安全保障の日米同盟も政治的に重要ですが、通商政策に注目。首相は国会で、TPPについて米国に働きかけていくことは変わりないと発言した一方で、米国が承認に短い時間で変化するのは難しい、との見方を示しています。また自動車貿易に関しては、反論すべきは反論するとの姿勢を示しています。(永峯)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
2/6(月) |
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(豪)12月 小売売上高(前月比) |
2/7(火) |
(米)12月 貿易収支(通関ベース) |
2/8(水) |
(日)日銀金融政策決定会合 主な意見 |
2/9(木) |
(日)12月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
2/10(金) |
(日)1月 国内企業物価(前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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