BRICsという言葉が新興国を表す言葉として使われ始めてから10年以上が経ったが、現在ではBRICSと呼ばれている。当初はB(ブラジル)、R(ロシア)、I(インド)、C(中国)の4カ国を指していたが、最近ではS(南アフリカ)が加えられている。
南アフリカ統計局が先月の28日に発表した同国の2011年10〜12月期実質GDPは前期比3.2%増と、前期の同1.7%増から加速している。これは事前予想を上回る数字であった。内訳を見ると個人消費と製造業が寄与している。同国では所得や雇用環境の改善により個人消費が成長の牽引役となっており、小売売上高は実質ベース、名目ベース共に強い伸びを見せている(次ページ参照)。また、今月の1日に発表された2月カギソPMIは事前予想の52.3を上回る57.9と、2010年2月以来の強い数字を残している。以上の指標からも同国のけん引役が個人消費と製造業であることが伺える。
南アフリカといえば、日本の投資家には同国通貨の「南アフリカ・ランド」が馴染み深いと考えているが、海外要因による景気下振れリスクと国内の強い需要によるインフレ圧力が混在しており、通貨の先行きに大きな影響を与える金融政策が非常に見通しづらい状況である。暫くは現状の5.5%に据え置くと考えているが、引き続き内外要因の見極めが重要になるだろう。
図1:南アフリカの消費者物価指数(前年比)と政策金利の推移
所得や雇用環境の改善が国内消費を支えている
図2:南アフリカの実質GDP(前期比)の推移
国内消費の拡大を背景に、足元では堅調な成長を遂げているが・・・
図3:南アフリカの小売売上高の推移
所得や雇用環境の改善が国内消費を支えている