2025-12-07 22:25:10

7-9月期決算動向とトランプ政権を待ち受ける難題

2025/10/28

提供:フィリップ証券株式会社

リサーチ部:笹木 和弘

7-9月期決算動向とトランプ政権を待ち受ける難題

  • 2025年7-9月期決算発表が相次いでいる。注目の半導体業界は、AI(人工知能)関連の先端半導体分野は、オランダのASMLホールディングス(ASML)台湾積体電路製造[TSMC](TSM)の決算が示すように引き続き堅調な分野が目立つ一方、幅広い業界の顧客層を持つアナログ半導体のテキサスインスツルメント(TXN)の10-12月見通しが冴えなかった。データセンター以外の半導体業界は回復途上と言えそうだ。それでも、スマートフォン関連は、アップル(AAPL)の新型iPhoneの生産見通しが大幅に引き上げられたこともあり、今後の回復が見込まれる。また、一方、米国株を代表するような大型ハイテク株の決算は、市場の期待によるハードルが上がっていることもあり、業績の好調さがそのまま株価に反映されにくいことへの留意が必要だろう。動画配信大手のネットフリックス(NFLX)は広告ビジネスが業績を押し上げて好調だったにもかかわらず、決算発表後に株価は下落に転じている。
  • 自動車や鉄鋼など、トランプ米政権の関税政策で国内生産保護の対象となっている企業の決算に恩恵が表れ始めている。また、トランプ米大統領が世界各国からの関税引き下げ交渉に関するディールによって勝ち取ったボーイング(BA)の航空機関連に加え、重要な国策としての防衛や造船に関する銘柄の決算も概ね好調だ。また、元々、米国企業の競争力が強い医療機器や医薬品などヘルスケアの分野も、関税の恩恵を受けて米国内向けだけでなく、海外市場の収益の伸びが業績を押し上げる傾向がみられる。「米国内への生産回帰」は中長期的観点で米国株を見る場合の最も重要なテーマの一つだろう。
  • 足元はトランプ政権にとって厄介な課題が待ち受けている。第1に、政府機関の一部閉鎖が2018年12月から翌月1月にかけての過去最長の35日に近付きつつある。第2に、米国による中国への高率の相互関税は11/10にその猶予が停止する。10/30に韓国で開催される米中首脳会談で猶予期限の再延長など、何らかの措置が必要だろう。第3に、米FRB(連邦準備理事会)議長経験者であるバーナンキ氏やイエレン氏を含む約50人のエコノミストが連名で、米最高裁に対しトランプ氏による包括的な関税措置の大部分を覆すように求めている。最高裁は11/5に口頭弁論を行い、関税発動が法的に正当だったかどうかを審理する予定だ。関税措置が覆されれば、トランプ政権の政策は重要な財源を失うこととなり米国債や米ドルへの売りが加速することが考えられる。
  • 11月上旬にかけて決算発表銘柄数が増加する。決算を契機に過去52週間の新高値銘柄数と新安値銘柄数がともに増加する「不健全な分裂」が見られる可能性があり、天井圏からの転換を示唆する重要な指標になり得るだろう。(笹木)

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(10/24現在)

主要企業の決算発表予定

  • 10月28日(火)
    リージェンシー・センターズ、コスター・グループ、ベラルト、ビザ、PPGインダストリーズ、エジソン・インターナショナル、BXP、ONEOK、エキスパンド・エナジー、シーゲイト・テクノロジー・HD、エレクトロニック・アーツ、テラダイン、モンデリーズ・インターナショナル、ブッキング・HD、ネクステラ・エナジー、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、アメリカン・タワー、インサイト、インベスコ、ザイレム、DRホートン、ペイパル・HD、エコラボ、ユナイテッドヘルス・グループ、コーニング、ラブコープ・HD、IQVIAHD、キャリア・グローバル、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、MSCI、ゼブラ・テクノロジーズ、シャーウィン・ウィリアムズ、シスコ、ハベル、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
  • 10月29日(水)
    メルカドリブレ、エクストラ・スペース・ストレージ、エベレスト・グループ、メタ・プラットフォームズ、プルデンシャル・ファイナンシャル、パブリック・ストレージ、ローリンズ、UDR、マイクロソフト、アルファベット、サービスナウ、アメリカン・ウォーター・ワークス、イーベイ、ベンタス、KLA、エクイニクス、MGMリゾーツ・インターナショナル、CHロビンソン・ワールドワイド、スターバックス、タイラー・テクノロジーズ、ダビータ、デイフォース、チポトレ・メキシカン・グリル、アライン・テクノロジー、マスコ、スマーフィット・ウエストロック、ベライゾン・コミュニケーションズ、キャタピラー、CVSヘルス、フィリップス66、センティーン、アイデックス、ベリスク・アナリティクス、オーチス・ワールドワイド、ファイサーブ、TEコネクティビティ、クラフト・ハインツ、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、ボーイング、ガーミン、GEヘルスケア・テクノロジーズ、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、フォーティブ、ジェネラック・HD、ナイソース、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、エンタジー
  • 10月30日(木)
    ウェアーハウザー、リパブリック・サービシズ、コインベース・グローバル、デクスコム、アップル、ストラテジー、ゴーダディ、モノリシック・パワー・システムズ、アトラシアン、レスメド、ギリアド・サイエンシズ、アーサー・J・ギャラガー、ファースト・ソーラー、モトローラ・ソリューションズ、ウエスタンデジタル、エリー・インデムニティー、アマゾン・ドット・コム、エドワーズライフサイエンス、ストライカー、ケラノバ、サザン、フォックス、アメリプライズ・ファイナンシャル、S&Pグローバル、インターナショナル・ペーパー、WECエナジー・グループ、ハウメット・エアロスペース、アルトリア・グループ、シグナ・グループ、キンバリー・クラーク、メルク、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、エスティローダー、コムキャスト、カーディナルヘルス、LKQ、L3ハリス・テクノロジーズ、ハーシー、ビルダーズ・ファースト・ソース、バルカン・マテリアルズ、ウィリス・タワーズ・ワトソン、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、ブリストル マイヤーズ スクイブ、バイオジェン、エクセル・エナジー、バクスターインターナショナル、DTEエナジー、トレイン・テクノロジーズ、アプティブ、マスターカード、アメテック、クアンタ・サービシーズ、CMSエナジー、エムコア・グループ、イーライリリー
  • 10月31日(金)
    WWグレンジャー、ティー・ロウ・プライス・グループ、エーオン、エクソンモービル、コルゲート・パルモリーブ、チャーター・コミュニケーションズ、シーボー・グローバル・マーケッツ、チャーチ・アンド・ドワイト、アッヴィ、ドミニオン・エナジー、シェブロン、リンデ、ライオンデルバセル・インダストリーズ
  • 11月3日(月)
    ダイヤモンドバック・エナジー、コテラ・エナジー、バーテックス・ファーマシューティカルズ、パランティア・テクノロジーズ、SBAコミュニケーションズ、ウィリアムズ・カンパニーズ、ホロジック、イーストマン・ケミカル、クロロックス、バークシャー・ハサウェイ、ピナクル・ウエスト・キャピタル、アイデックスラボラトリーズ、ロウズ、パブリック・サービス・エンタープライズ・グルーフ、オン・セミコンダクター
  • 11月4日(火)
    アムジェン、モザイク、コルテバ、アリスタネットワークス、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、アシュラント、AES、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、エバーソース・エナジー、ライブ・ネーション・エンタテインメント、アクソン・エンタープライズ、マッチ・グループ、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、スカイワークス・ソリューションズ、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、アフラック、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、ヤム・ブランズ、モルソン・クアーズ・ビバレッジ、ノルウェージャンクルーズライン・HD、エクスペディターズInt'lオブワシントン、マラソン・ペトロリアム、ゾエティス、ファイザー、アポロ・グローバル・マネジメント、エクセロン、ウーバー・テクノロジーズ、ボール、トムソン・ロイター、ウォーターズ、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、レイドス・HD、イートン、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、ショッピファイ、マーティン・マリエッタ・マテリアルズ、ガートナー、グローバル・ペイメンツ、CDW、ヘンリー・シャイン

主要イベントの予定

  • 10月28日(火)
    • 米FOMC(29日まで)、米主要20都市住宅価格指数(8月)、米FHFA住宅価格指数 (8月)、米消費者信頼感指数(10月)
  • 10月29日(水)
    • 米FOMC最終日(声明発表とパウエルFRB議長記者会見)、APEC閣僚会議(韓国・慶州、30日まで)、香港休場(重陽節)、米卸売在庫(9月)、米中古住宅販売件数(9月)
  • 10月30日(木)
    • 米ダラス連銀総裁が講演(ダラス連銀主催のカンファレンス、31日まで)、米新規失業保険申請件数(10月25日終了週)、米GDP(3Q、速報値)
  • 10月31日(金)
    • 米ダラス連銀総裁が講演(ダラス連銀主催のカンファレンス)、米クリーブランド連銀総裁とアトランタ連銀総裁が討論会に参加(ダラス連銀主催のカンファレンス)、APEC首脳会議(韓国・慶州、11月1日まで)、米個人所得・支出(9月)、米個人消費支出(PCE)価格指数(9月)、米雇用コスト指数(3Q)、ユーロ圏CPI(10月)
  • 11月2日(日)
    • 米夏時間終了
  • 11月3日(月)
    • S&Pグローバル米製造業PMI(10月)、米ISM製造業景況指数(10月)、米建設支出(9月)
  • 11月4日(火)
    • 米貿易収支(9月)、米JOLTS求人件数(9月)、米製造業受注・耐久財受注(9月)
  • Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

クリーブランド・クリフス (CLF)NYSE 2026/2/24に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

  • 1847年設立の鉄鋼メーカー。北米の様々な産業向けにフラットロールスチール製品と鉄鉱石ペレットを製造・提供。採掘段階から多様な鉄鋼製品の製造に至るまで、包括的に手がける点に特色。
  • 10/20発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比3.6%増の47.34億USD、非GAAPの調整後EBITDAが同17.2%増の1.43億USD。鉄鋼製品に関し、単位当り販売価格が1%下落も、販売量が5%増と堅調に推移。鉄鋼関税の恩恵を受けて前四半期比では調整後EBITDAが52%増加した。
  • 通期会社計画を利益面で上方修正。資本的支出を5.25億USD(従来計画6.00億USD)、販管費を5.50億USD(同5.75億USD)とした他、1トン当たりコストを従来計画から50USD削減とした。レアアース(希土類)の地政学的重要性が高まっていることを受け、ゴンカルベスCEOは米国でレアアース生産へ参入を検討すると発表。鉄鉱石を採掘する自社鉱山で生産することを目指し、調査を開始した。

ゼネラル・モーターズ (GM)NYSE 2025/10/29に2025/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

  • 1908年設立。主にビュイック、キャデラック、シボレー、GMC等のブランドで自動車、トラックなど各種車両、自動車部品の設計・製造・販売を展開。近年は電気自動車(EV)や自動運転にも注力。
  • 10/21発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比0.3%減の485.91億USD、非GAAPの調整後EPSが同5.4%減の2.80USD。トランプ政権が完成車を米国内で生産販売する自動車メーカーに対し一部輸入部品の関税優遇措置を2030年まで延長したことを受け、市場予想を上回った。
  • 通期会社計画を上方修正。調整後EPSを前期比1-8%減の9.75-10.50USD(従来計画8.25-10.00USD)、調整後の自動車事業フリーキャッシュフローを同21-29%減の100-110億USD(同75-100億USD)とした。3Qで損失を計上したEV事業は追加損失計上の可能性が残るものの、関税軽減措置に加え、自助努力によるコスト削減で来年末までに関税の影響を相殺できる見通しが高まっている。

ハンティントン・インガルス・インダストリーズ (HII)NYSE 2025/10/30に2025/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

  • 2011年にノースロップ・グラマンから分離独立。米海軍と沿岸警備隊用の船舶メーカー。非核船のインガルス造船、原子力船のニューポートニューズ造船、ミッションテクノロジーの3事業を展開。
  • 7/31発表の2025/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比3.5%増の30.82億USD、EPSが同11.9%減の3.86USD。新規受注高が3.8倍の119億USDへ拡大し、6月末受注残が17%増の569億USDとなった。営業キャッシュフローは前年同期の▲2.11億USDから改善して4.28億USDへ黒字転換。
  • 通期会社計画は、造船2事業について売上高が前期比2-4%増の89-91億USD、営業利益率が同0.3-1.3ポイント上昇の5.5-6.5%と従来計画を据え置いた。地政学的緊張に対応して海軍力強化へ予算が拡大する中、同社は原子力空母や潜水艦の国内独占的建造者として米海軍から多額の契約を獲得。トランプ政権の国内造船プログラムへの注力を背景に高利益率の空母・潜水艦を受注。

インフォシス (INFY)NYSE 2026/1/4に2026/3期3Q(10-12月)の決算発表を予定

  • 1981年設立。インドのバンガロールが本拠の世界有数のITコンサルティング・ソフトウェア受託開発企業。幅広い業界にアプリケーション開発、製品共同開発、システム実用化などサービスを提供。
  • 10/16発表の2026/3期2Q(7-9月)は、売上高が前年同期比3.7%増の50.76億USD、純利益が同8.0%増の8.39億USD。営業利益率が0.1ポイント悪化したものの、大口案件のTCV(合計契約金額)が67%増の31億USDへ拡大したことを受け、フリーキャッシュフローが31%増の11億USDへ伸長。
  • 通期会社計画は、為替の影響除く売上高を前期比2-3%増(従来計画1-3%増)へ上方修正に対し、営業利益率は20-22%(前年同期実績21.1%)で据え置いた。トランプ政権が高度な外国人技術者向けビザ(査証)「H-1B」の申請基準を厳格化する方針を出したことを受け、米国の業務を海外に分散する「業務オフショア」の動きが広がる。IT業務に強いインドの同社への需要増が見込まれる。

インテュイティブサージカル (ISRG)NASDAQ 2026/1/23に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

  • 1995年設立。腹腔鏡手術のロボット支援システム「ダヴィンチ」や管腔内視鏡肺生検のロボットシステム「イオン」の開発・製造・販売を行う。ダヴィンチの設置台数は2025年9月末時点で1万763台。
  • 10/21発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比22.9%増の25.05億USD、非GAAPの調整後EPSが同30.4%増の2.40USD。調整後粗利益率は1.1ポイント低下した。ダヴィンチは、手術件数が19%増、出荷件数が13%増。イオンは、手術件数が52%増、設置台数が30%増(954台)。
  • 通期会社計画を上方修正。ダヴィンチの手術件数を前期比17.0-17.5%増(従来計画15.5-17.0%増)、調整後粗利益率を同1.6-2.1ポイント低下の67.0-67.5%(同66.0-67.0%)とした。ダヴィンチの最新版「ダヴィンチ5」のグローバル商用化が加速。手術時間短縮を伴う精度向上により病院の利用率が高まり、アップグレード需要を喚起する好循環が拡がる。イオンの新規承認の拡大も見込まれる。

3M (MMM)NYSE 2026/1/21に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

  • 日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値 (陰線)」なら緑、「始値<終値 (陽線)」なら赤。
  • 1902年設立の化学・電気素材メーカー。「安全・産業(作業現場向け)」、「交通・電機」、「消費者」の3事業を展開。ヘルスケア事業は2024年4月に「ソルベンタム(SOLV)」として分離・独立した。
  • 10/21発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比3.5%増の65.17億USD、継続事業ベース非GAAPの調整後EPSが同10.6%増の2.19USD。事業別売上高は、安全・産業が5%増収、交通・電機が2%増収、消費者が1%増収。航空・宇宙業界やデータセンターの需要増が後押しした。
  • 通期会社計画を上方修正。継続事業ベース非GAAPの調整後EPSを前期比9-10%増の7.95-8.05USD(従来計画7.75-8.00USD)とした。航空宇宙業界の顧客からの収益拡大は、大手航空宇宙企業の元トップだったブラウンCEOの手腕に負う面が大きいと見込まれる。米国や中国における産業材の底堅い需要を背景に、価格を引き上げた新商品の投入や納品の遅延率引き下げが奏功した。
  • 決算発表の予定は現地10/24現在であり、変更される可能性があります。

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