2025-12-10 07:53:49

トランプ・習近平会談は2018年のデジャブなのか?

2025/10/21

提供:フィリップ証券株式会社

リサーチ部:笹木 和弘

トランプ・習近平会談は2018年のデジャブなのか?

  • 中国政府によるレアアース(希土類)輸出規制の発表とその後の米中摩擦の再燃は、市場の不安心理を増幅させた。相場の先行きへの警戒感を示すことから「恐怖指数」とも呼ばれる「VIX指数」は、トランプ米大統領が中国からの輸入品に追加で100%の関税をかける考えを示した10/10、警戒ゾーンとされる20ポイント以上へと上昇。10/17に一時29ポイント近辺まで上昇後、一時20ポイントを下回った後、終値が20.78ポイントとなり、警戒感が薄れたことを示唆した。トランプ氏が今月末から韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて中国の習近平国家主席と直接会談を行う予定としたほか、100%追加関税は持続可能ではないと発言したことがその要因となった。SNSを通じて市場に不安心理を煽り、自ら火消しに努める「マッチポンプ」的なやり方はトランプ氏の「お家芸」とも言えるもので、多くの投資家はトランプ流の交渉駆け引きにおける「脅し」を「Trump Always Chickens Out(トランプはいつも尻込みして退く)」の略語で「TACO」と呼び、押し目買いの好機とみなしている。今回も従来通りに「TACO」となり、米国株市場が引き続き堅調に推移することになるのだろうか?
  • ベッセント米財務長官が10/15、米CNBCの取材に対し、「米国株市場の変動により米国が中国との貿易交渉の姿勢を変えることはない」とコメントしていたことは気になる。これは、米国株市場が大幅に下落してもトランプ米政権が退かない可能性を示唆しているかもしれない。中国では10/20から4日間、中国共産党の「4中全会」が開催される。軍幹部人事のほか、2026〜30年までの5ヵ年経済計画を議論する重要な会議だ。米国への対決姿勢強化が示される可能性もある。
  • 2018年にも10月〜12月にかけて米中関係は現在と類似した推移をたどった。同年10/4に当時のペンス副大統領がハドソン研究所で演説を行い、「新冷戦宣言」と受け止められて米中関係の長期的な悪化懸念につながった。ペンス演説を契機に米国株市場は大幅に下落し、VIX指数は上昇した。米中交渉はしばらく進展しなかったが、同年11月末〜12月初にブエノスアイレスでG20サミットが開催され、それに合わせて実施されたトランプ・習近平会談で「90日間の関税猶予」が合意された。市場は「摩擦激化の回避」と好意的に受け止められて一時的に上昇したものの、その後、ほどなくトランプ氏は「私はタリフマン(関税男)だ」とSNSに投稿し、米中交渉に対して譲歩する気がないことをアピールした。その背景には、中国側の譲歩が不十分と米国側が感じたことや共和党の支持基盤を固めて支持率維持を図るため、強硬な通商政策をアピールする必要があったと考えられる。今年も、来年11月に控える中間選挙に向けて、トランプ米政権が強硬なスタンスへと豹変してくる可能性は残る。銘柄選択ではディフェンシブ色を強めるのがベターかもしれない。(笹木)

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(10/17現在)

主要企業の決算発表予定

  • 10月21日(火)
    テキサス・インスツルメンツ、EQT、チャブ、インテュイティブサージカル、オムニコム・グループ、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、ネットフリックス、ゼネラル・エレクトリック、ナスダック、フィリップ・モリス・インターナショナル、ゼネラル・モーターズ、エキファックス、パルトグループ、ノースロップ・グラマン、ハリバートン、RTX、ジェニュイン・パーツ、ロッキード・マーチン、パッカー、クエスト・ダイアグノスティクス、ダナハー、コカ・コーラ、エレバンス・ヘルス、ペンテア、3M
  • 10月22日(水)
    サウスウエスト航空、モリーナヘルスケア、パッケージング・コープ・オブ・アメリカ、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル、ファーストエナジー、テスラ、グローブライフ、ラムリサーチ、ユナイテッド・レンタルズ、クラウンキャッスル、キンダーモルガン、ラスベガス・サンズ、IBM、オライリー・オートモーティブ、アンフェノール、CMEグループ、エイブリィ・デニソン、AT&T、ボストン・サイエンティフィック、レノックス・インターナショナル、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、ノーザン・トラスト、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ムーディーズ、NVR、テレダイン・テクノロジーズ
  • 10月23日(木)
    モホーク・インダストリーズ、ニューモント、ノーフォーク・サザン、インテル、デッカーズ・アウトドア、ベーカー・ヒューズ、ベリサイン、フォード・モーター、ユニオン・パシフィック、TモバイルUS、ブラックストーン、ドーバー、CBREグループ、ダウ、バレロ・エナジー、トラクター・サプライ、PG&E、センターポイント・エナジー、ハネウェル・インターナショナル、テキストロン、ローパー・テクノロジーズ、ハズブロ、ウエスト・ファーマシューティカル・サービシズ、プール、フリーポート・マクモラン、アレジオン
  • 10月24日(金)
    イリノイ・ツール・ワークス、プロクター・アンド・ギャンブル、HCAヘルスケア、ゼネラル・ダイナミクス
  • 10月27日(月)
    ニューコア、プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、ウェルタワー、ケイデンス・デザイン・システムズ、アーチ・キャピタル・グループ、ウエイスト・マネジメント、ハートフォード・インシュアランス・グループ、ブラウン・アンド・ブラウン、シンシナティ・ファイナンシャル、F5、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ、NXPセミコンダクターズ、キューリグ・ドクターペッパー

主要イベントの予定

  • 10月21日(火)
    • APEC財務相会合(韓国・仁川、22日まで)
  • 10月23日(木)
    • 米新規失業保険申請件数(10月18日終了週)、米中古住宅販売件数(9月)
  • 10月24日(金)
    • 米CPI (9月)、 米S&Pグローバル製造業・サービス業・総合PMI (9月)、米新築住宅販売件数 (9月)、米ミシガン大学消費者マインド指数・確報値(10月)
  • 10月27日(月)
    • 米耐久財受注(9月)、米製造業受注(9月)、ダラス連銀製造業活動指数(10月)
  • Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

アボット・ラボラトリーズ (ABT)NYSE 2026/1/22に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

  • 1900年設立。多角化されたヘルスケア企業。栄養剤製品事業、診断事業(診断システム・検査)、後発医薬品事業、医療機器事業(心不全・糖尿病等向け)を営む。2024/12期で53期連続増配。
  • 10/15発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比6.9%増の113.69億USD、非GAAPの調整後EPSが同7.4%増の1.30USD(会社予想1.28-1.32USD)。新型コロナ検査関連の影響を除く既存事業売上高は7.5%増。医療機器事業(売上比率48%)が13%増収で全体の業績を牽引した。
  • 通期会社計画は、新型コロナ検査関連の影響を除く既存事業売上高が前期比6.0-7.0%増と従来計画を据え置いた。センサー寿命の延長やアプリ連携を背景に、連続血糖モニタリング(CGM)を中心に糖尿病ケア需要が急増していることや心臓関連デバイスの採用が拡大していることが医療機器事業の成長を後押ししている。3Qの調整後営業利益率が前年同期比0.40ポイント改善の23.0%。

カメコ (CCJ)NYSE 2025/11/5に2025/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

  • 1987年設立のカナダのウラン製造・販売企業。世界最大のウラン鉱床を保有。ウラン探査・採掘のウラン部門、精製・変換の燃料サービス部門を営む。カザフスタンで国営企業と合弁で生産を行う。
  • 7/31発表の2025/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比46.7%増の8.77億USD、非IFRSの調整後EPSが同5.7倍の0.71USD。ウラン事業(売上比率80%)では平均実現価格が2%上昇に加え、販売量が40%増加。原子力発電設備大手ウエスチングハウスの調整後EBITDAが3.9倍の3.52億USD。
  • 通期会社計画を上方修正。ウエスチングハウス関連の調整後EBITDAを同9-20%増の5.25-5.80億USD(従来計画3.55-4.05億USD)、ウラン平均実現価格を9%上昇(同5%上昇)とした。一方で、売上高は5-13%増の33.0-35.5億USD、ウラン生産量は4%減と従来計画を据え置いた。ウランはAI(人工知能)データセンター向けの原発需要増に対し、ロシア産禁輸を含めた供給不足が続く見通し。

CVSヘルス (CVS)NYSE 2025/10/29に2025/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

  • 薬局大手のCVSと薬剤給付管理(PBM)大手のケアマークが合併して2007年に設立。薬局サービス、小売・長期介護(薬剤給付管理のPBM運営を含む)、ヘルスケア福利厚生の3事業を展開。
  • 7/31発表の2025/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比8.4%増の989.15億USD、非GAAPの調整後EPSが同0.1%減の1.81USD。主に高齢者向け保険の回復と薬局需要の拡大が増収に寄与した一方で、医療費上昇とメディケア・アドバンテージ(MA)契約の規制強化が響き利益率が悪化した。
  • 通期会社計画を上方修正。調整後EPSを前期比16-18%増の6.3-6.4USD(従来計画6.0-6.2USD)、営業キャッシュフローを同18%減の75億USD(同70億USD)とした。同社は保険、薬局、PBMの統合ヘルスケア事業モデルの相乗効果を強みとする。医療費高騰や当局の規制圧力の中でも保険加入者基盤の拡大、ウェルネス関連製品の売上増、高需要の肥満症薬の効率的管理等などで吸収。

エスティローダー (EL)NYSE 2025/10/30に2026/6期1Q(7-9月)の決算発表を予定

  • 1946年に創業の高級化粧品メーカー。買収を通して「エスティ・ローダー」、「クリニーク」ほか25種類を超えるブランドを世界約150 の国・地域で展開。百貨店、免税店のほか、Eコマースにも注力。
  • 8/20発表の2025/6期4Q(4-6月)は、売上高が前年同期比11.9%減の34.11億USD、非GAAPの調整後EPSが同85.9%減の0.09USD。米州(売上比率28%)が6%減収、欧州・中東・アフリカ(同38%)が22%減収、アジア太平洋(同34%)が3%減収。コスト圧縮が追いつかずに大幅減益となった。
  • 2026/6通期会社計画は、米トランプ関税の影響を考慮して既存事業ベース・為替一定の調整後売上高が前期比0-3%増、調整後EPSが同26-39%増の1.90-2.10USD。同社は2025-27年を主な実行期間として、コスト構造最適化、収益性向上、デジタル・イノベーション主導の成長戦略へ転換を図る「Beauty Reimagined」戦略を打ち出した。既に中国本土の売上回復の兆しが報告されている。

ファスナル (FAST)NASDAQ 2026/1/19に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

  • 1967年創業の工業・建設資材の卸売大手。ファスナー、ボルト、ナットなどを業者向けに販売。世界で1986ヵ所の在庫拠点を展開(2025年9月末)。顧客内店舗や資材の自動販売機の設置も行う。
  • 10/13発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比11.7%増の21.33億USD、EPSが同12.3%増の0.29USD。製造業の景況感が低調だった中、全米・地域単位の団体や政府組織など大口先からの収益が拡大。ファスナー拡張プロジェクトやサプライチェーン効率化で利益率が改善。
  • 通期会社計画は、売上高を前期比9.5-10.5%増(従来計画8-10%増)へ上方修正。一方で、EPSは同10-12%増と従来計画を据え置いた。ファスナー販売は製品在庫の改善と価格引上げが奏功し、9月単月で前年同月比15%増。また、独自の在庫管理システムが製造業以外の建設・インフラ関連の市場にも浸透する中、従来の製造業現場の市場環境が低迷する中でも業績が拡大している。

チャールズ・シュワブ (SCHW)NYSE 2026/1/21に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

  • 日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値 (陰線)」なら緑、「始値<終値 (陽線)」なら赤。
  • 1971年設立の金融持株会社。個人向け証券仲介や銀行業務の「投資家サービス」、独立系投資顧問業者向けオンライン口座・売買管理、事業戦略立案等のサポート等の「機関サービス」を運営。
  • 10/16発表の2025/12期3Q(7-9月)は、営業収益が前年同期比26.6%増の61.35億USD、非GAAPの調整後EPSが同70.1%増の1.31USD。純金利収益は、総資産当たり平均利回り上昇もあり37%増の30.50億USD、資産管理報酬が13%増の16.73億USD。営業収益総費用率が11.2ポイント改善。
  • 2025年9月末の顧客総資産は前年同期比17%増の11.59兆USD、中核的な純資産の新規追加額が同44%増の1375億USDへ拡大。口座におけるミレニアル世代・Z世代の拡大、および高付加価値サービスであるウェルスマネジメント・ソリューションを採用する顧客が増えていることが成長のドライバーとなっている。デジタルプラットフォーム強化や暗号資産への対応で更なる成長が見込まれる。
  • 決算発表の予定は現地10/17現在であり、変更される可能性があります。

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