2025年6月「銘柄ピックアップ」振り返り
2025年6月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から9/26終値までの騰落率上位6銘柄のうち、米国防総省の量子コンピューター技術開発支援を受けたイオンキュー(IONQ)に加え、データセンター関連のアリスタネットワーク(ANET)やコヒレント(COHR)のほか、AI半導体のブロードコム(AVGO)など引き続きAI(人工知能)インフラ・半導体に関連した銘柄が堅調だ。電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)はロボタクシー事業が見直されているほか、金価格上昇を受けてヴァンエック金鉱株ETF(GDX)も好調だ。
2025年6月「銘柄ピックアップ」振り返り〜量子コンピューター関連の台頭
米国株相場と財政年度替わり月
米国財政年度は10月〜翌年9月までである。そのため、9月末になると翌財政年度における予算案や債務上限の議会承認が得られなかった場合に連邦政府機関の閉鎖を警戒する動きが金融市場で発生しやすい。一方で、「つなぎ予算」が成立すればその反動に伴う安心感から米国株市場が堅調に推移する傾向がみられる。年末商戦やサンタクロース・ラリーといったアノマリー的な動きもあり、2014〜2024年の間におけるS&P500株価指数の年末終値は、2018年だけを除いて9月末を上回った。
第一次トランプ政権期の2018年は、トランプ大統領がメキシコ国境の壁建設予算の要求に対して民主党が反対して予算案がまとまらず、12/22から35日間、米連邦政府機関の一部が閉鎖された。
米国株相場と財政年度替わり月〜12月末は9月末より高い年が多い
米利下げと米ドル、米長期金利
米FRB(連邦準備理事会)が9/17、米FOMC(連邦公開市場委員会)で6会合ぶりに0.25ポイントの利下げを決めた。FRBによる最新の金利・経済見通しでは年内残り2回の会合でそれぞれ0.25ポイントの利下げが決定されるとの予想が示された。
昨年も同様に、9月に政策金利が0.50ポイント引き下げられた。さらに10月と12月のFOMCでそれぞれ0.25ポイントの利下げが実施され、3回の政策金利引き下げの間、米10年国債利回り、ドルインデックス、米消費者物価指数(CPI)がそれぞれ上昇した。足元の経済環境は当時と比べて雇用が弱含む一方、トランプ関税に伴う物価上昇圧力が強くなっていると考えられる。米10年国債利回りの上昇(米国債売り)とドル指数の下落が重なれば、米国株市場が波乱となる展開も予想される。
米利下げと米ドル、米長期金利〜1年前は米ドル買い、米長期金利上昇
オラクルの6-8月期は確変モード
主にデータベース管理ソフトを扱うオラクル(ORCL)が9/9に2025年6-8月期決算を発表。8月末時点の「RPO(残存履行義務)」が5月末の3.3倍の4550億USDに増えた。RPOとは、継続課金のSaaSビジネスにおいて契約済みで将来に収益を見込む受注残高を意味する。同社の2025年5月通期の売上高に対し、8月末受注残高が10年分以上、3ヵ月間(6-8月)の受注高が7年分以上に達する。
7月にオープンAI向けに大規模データセンターを設けてクラウドサービスを提供する契約(年300億USDの規模)を締結した。これはオラクルとオープンAI、およびソフトバンクグループが共同で進めるAI(人工知能)インフラ投資プロジェクトである「スターゲート計画」の一環であり、トランプ政権の看板政策に位置付けられる。
オラクルの6-8月期は確変モード〜約5年分の売上高相当の受注高を獲得
米小売りのコストコとウォルマート
米小売り最大手ウォルマート(WMT)が8/21に発表した5-7月期決算は売上高が前年同期比4.8%増に対し、営業利益は同8.2%減。企業規模を活かした低価格で他社顧客を奪い集客好調も、関税コストを吸収し切れないことを示す内容と受け取られた。一時的要因の影響を除く調整後営業費用率は緩やかな上昇傾向の一方、粗利益率は在庫管理や商品構成の改善により改善していることから、関税コストへの耐性が強い面もみられる。
会員制倉庫型店舗のコストコホールセール(COST)は、顧客への利益還元優先の方針から粗利益の源泉を会費収入とする独自のビジネスモデルで成長。関税コストを販売価格に転嫁しても価格面の優位性は変わらないとみられ、会費収入の伸びが成長を支えると予想される。
米小売りのコストコとウォルマート〜関税コスト上昇の逆風へ高い抵抗力
米ドルと米国債の信認問題
米ドルと米国債の信認問題が再び市場の焦点となりつつある。そのきっかけとなったのは、第1に、トランプ米大統領によるクック理事の解任問題や側近のミラン理事就任でFRBの独立性が脅かされること。第2に、米連邦控訴裁が8/29、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税措置を違憲と判断したこと。最高裁判決の動向は不透明も、関税収入の還付が必要となればトランプ政権の公約に基づく大規模税制・歳出法の財源が失われ、米国債の信認問題につながる。
超長期国債の30年物利回りは財政プレミアムを織り込みやすい。米国では5%が上限として意識されてきたが、ドイツや英国で財政悪化への懸念から9月前半に上昇が目立った。欧州発で米国債利回りの上昇を後押しする可能性がある。
米ドルと米国債の信認問題〜欧州債利回り上昇が米国債利回りの上昇へ