トランプ外遊がもたらす米国株高、アップル関連銘柄の見直し
- トランプ米大統領が9/17から3日間、国賓として異例の二度目のイギリス訪問を行った。5/13から4日間の中東歴訪の時と同様に、トランプ氏の外遊には外交だけではなく大きなビジネスの話が背後に絡み、その度に米国株相場を押し上げる要因となる傾向が見受けられる。
- トランプ政権は9/18、英国と「米英技術繁栄協定に関する覚書」を発表。内容は、トランプ政権が7月に発表した「AI行動計画」に伴い、同盟国・パートナー国に向けた米国製AIシステムの輸出促進の方針の下で、AI(人工知能)、民生用原子力、核融合、量子コンピュータ、次世代移動通信システム(6G)、測位・航法・計時(PNT)などの戦略的科学技術分野での協力強化の確認といった内容を含む。これを受けて、9/19の米国株市場では、次世代原発を手掛けるオクロ(OKLO)、量子コンピューティング・ネットワークを開発するイオンQ(IONQ)などの新興グロース企業の株価が高騰した。
- 大型ハイテク企業もトランプ政権に追従している。マイクロソフト(MSFT)が2028年までに英国へ300億ドル(約4兆4000億円)を投資すると発表したほか、アルファベット(GOOGL)傘下のグーグルも今後2年間で英国へ50億ポンド(約1兆円)を投資すると発表。対話型AIのChatGPTを展開するOpenAIはトランプ政権のAIインフラ構想「スターゲート計画」を英企業と展開すると発表したほか、エヌビディア(NVDA)もAI向け半導体を提供することで合意した。ビッグデータ解析ソフトウェア・プラットフォームを展開するパランティア・テクノロジーズ(PLTR)は英国防省と7億5000万ポンド(約1500億円)規模の5年契約を年内に締結する見通しのほか、2030年までに総額15億ポンド(約3000億円)の対英投資を実施する方針だ。米国事業が中心のパランティアにとっては、欧州に事業展開できることは大きなメリットとなるだろう。
- アップル(AAPL)は、9/19に販売開始となった新型スマートフォン「iPhone17」の購入予約が好調で、生産増強に動いていると報じられている。アップルはAI分野で他の大型ハイテク企業から出遅れていた。さらに、アップルに部品を供給しているスマホ関連銘柄は、AI半導体やAIインフラ関連銘柄と比べて相対的に株価面で出遅れていたが、見直し買いの局面へと転換する可能性がある。スマホ関連銘柄の中には、今後の成長が見込まれるIoT(モノのインターネット)分野に強い場合もあれば、テスラ(TSLA)が注力している「ロボタクシー」関連で需要が高まると見込まれる自動運転の車載分野に強い場合もある。スマホ関連の出遅れ銘柄について、スマートフォン以外の分野への事業展開の進捗動向などを見た上で投資を検討すべきタイミングだろう。(笹木)
- 9/24号は、ヴァンエック・アフリカ・インデックスETF(AFK)、クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)、ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズ(FCNCA)、ジェフェリーズ・ファイナンシャル・グループ(JEF)、クアルコム(QCOM)、ワークデイ(WDAY) を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(9/19現在)
主要企業の決算発表予定
- 9月24日(水)シンタス
- 9月25日(木)コストコホールセール、カーマックス、アクセンチュア、ジェイビル
- 9月29日(月)カーニバル
主要イベントの予定
- 9月22日(月)
- 米ニューヨーク連銀総裁がパネル討論会に参加、米セントルイス連銀総裁と米クリーブランド連銀総裁と米リッチモンド連銀総裁が講演
- 9月23日(火)
- 国連総会・一般討論演説開始(ニューヨーク、29日まで)、OECDが中間経済見通しを発表
- 米S&Pグローバル製造業・サービス業・総合PM(9月)
- 9月24日(水)
- 米サンフランシスコ連銀総裁が基調講演
- 米新築住宅販売件数(8月)
- 9月25日(木)
- 米シカゴ連銀総裁が討論会で発言、米ニューヨーク連銀総裁が開会のあいさつ、米バーFRB理事が講演、米サンフランシスコ連銀総裁が討論会に参加、G20外相会合(ニューヨーク)
- 米GDP(2Q、確報値)、米新規失業保険申請件数(9月20日終了週)、米卸売在庫(8月)、米耐久財受注(8月)、米中古住宅販売件数(8月)
- 9月26日(金)
- 米リッチモンド連銀総裁が討論会と質疑応答に参加、米ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)が討論会に参加
- 米個人所得・支出(8月)、米個人消費支出(PCE)価格指数(8月)、米ミシガン大学消費者マインド指数・確定値(9月)
- 9月29日(月)
- 米中古住宅販売仮契約(8月)、ダラス連銀製造業活動指数(9月)
- Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
ヴァンエック・アフリカ・インデックスETF (AFK)NYSEArca 分配金:年1回(12月)

- MVIS GDP Africa指数の価格と利回りに連動する投資成果を目指す。同指数はアフリカ企業やアフリカに高いエクスポージャーを持つ、大型かつ高い流動性のある企業の銘柄をカバーする。
- 9/19終値で時価総額が82百万USD、過去12ヵ月間は無配。組入上位6銘柄はナンバーズ(南アフリカ)、バリック・マイニング(カナダ)、アティジャリワファ銀行(モロッコ)、エアテル・アフリカ(英国)、バンク・セントラーレ・ポピュレール(モロッコ)、Guaranty Trust Holding Company(ナイジェリア)。
- 昨年末終値から9/19終値までの騰落率は、当ETF(インカムゲインを除く)が+54.1%に対し、ダウ工業株30種平均株価が+8.9%、S&P500株価指数が+13.3%、ナスダック100が+17.2%。新興国市場でアフリカ諸国の存在感が高まる中、米FRB(連邦準備理事会)の年内利下げ継続見通しに伴ってグローバル投資資金が米国外へシフトする場合、アフリカへの投資割合の増加が見込まれる。
クラウドストライク・ホールディングス (CRWD)NASDAQ 2025/11/26に2026/1期3Q(8-10月)の決算発表を予定

- 2011年設立。エンドポイント向けクラウド型セキュリティサービス「ファルコン」を提供。AI(人工知能)を搭載したプラットフォームを通じて侵入情報を顧客と共有し、共同で防衛することに特徴がある。
- 8/27発表の2026/1期2Q(5-7月)は、売上高が前年同期比21.3%増の11.68億USD(会社予想11.44-11.51億USD)、非GAAPの調整後EPSが同5.7%増の0.93USD(同0.82-0.84USD)。7月末の年間経常収益(ARR)が同20%増の46.6億USD、うち2Qの純増分が2.21億USDと会社予想を上回った。
- 通期会社計画を上方修正。売上高を前期比20-22%増の47.49-48.05億USD(従来計画47.43-48.05億USD)、調整後EPSを同5-8%減の3.60-3.72USD(同3.44-3.56USD)とした。同社は9/18に開催した投資家向け説明会でAI(人工知能)戦略を説明し、ARRが26年度末の50億USDを基準に5年毎に倍増の見通しを示した。AIの寄与を踏まえ、経営陣が従来の慎重姿勢を改め、強気に転じた。
ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズ (FCNCA)NASDAQ 2025/10/24に2025/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

- 1898年設立の金融持株会社。ファースト・シチズンズ銀行を擁する。2022年1月に、大型機械リースや消費者金融を展開するCITを統合。2023年3月、経営破綻したシリコンバレーバンクを買収した。
- 7/25発表の2025/12期2Q(4-6月)は、営業収益が前年同期比3.5%減の23.73億USD、非GAAPの調整後EPSが同12.0%減の44.78USD。調整後の非金利収益が7%増の5.13億USD(同4.8-5.1億USD)の一方、預貸利鞘の縮小により純金利収益が7%減の16.95億USD(会社予想16.3-17.3億USD)。
- 通期会社計画は、純金利収益が前期比4-6%減の66.8-68.8億USD(従来計画65.5-69.5億USD)にレンジ縮小、調整後の非金利収益が同1-5%増の19.7-20.5億USD(同19.5-20.5億USD)へ下限を引上げ。ファースト・シチズンズ銀行は世代をまたぎ同族経営を基に長期視点で経営しつつ、積極的な買収戦略により規模を拡大。トランプ政権の看板政策である金融規制緩和の恩恵が見込まれる。
ジェフェリーズ・ファイナンシャル・グループ (JEF)NYSE 2025/9/29に2025/11期3Q(6-8月)の決算発表を予定

- 1962年設立の総合金融サービス企業。投資銀行・資本市場業務、アセットマネジメント、直接投資を米国内外で行う。独立系投資銀行で世界最大。三井住友フィナンシャルGと資本業務提携。
- 6/25発表の2025/11期2Q(3-5月)は、営業収益が前年同期比1.3%減の16.34億USD、EPSが同37.5%増の0.40USD。主力の投資銀行・資本市場収入が2%減の14.70億USDに加え、アセットマネジメント収入も1%減の1.5億USDとなった。また、経費率が5.5ポイント上昇の91.7%へ悪化した。
- 2Q年率リターンの調整後有形株主資本(優先証券など外部に利益が流出しやすい資本を除く)に対する比率が前年同期比3.6ポイント低下の5.5%へ悪化する中でも、四半期配当を前年同期比0.05USD増配の0.40USDとした。三井住友フィナンシャルGが同社への持ち分を15%から20%へ拡大方向で協議中。同社が日本市場の株式関連業務を戦略的に強化している点も注目される。
クアルコム (QCOM)NASDAQ 2025/11/6に2025/9期4Q(7-9月)の決算発表を予定

- 1985年設立。ワイヤレス機器で使用する半導体製品の設計・開発・基盤技術商業化を行う。半導体チップ販売のQCT、ライセンス販売のQTLの主要2事業のほか新興企業への投資等のQSIを展開。
- 7/30発表の2025/9期3Q(4-6月)は、売上高が前年同期比10.3%増の103.65億USD(会社予想99-107億USD)、非GAAPの調整後EPSが同18.9%増の2.77USD(同2.60-2.80USD)。売上比率87%を占めるQCTでは、主力のスマホ向けが7%増収に加え、車載向けが21%増収、IoT向けが27%増収。
- 2025/9期4Q(7-9月)会社計画は、売上高が前年同期比1-8%増の103-111億USD、調整後EPSが同2-10%増の2.75-2.95USD。アップル(AAPL)は、9/19に発売の新型スマホ「iPhone17」について購入予約が好調につき生産増強に動いていると報じられた。半導体のモデムチップに関してクアルコムは2026年のiPhone発売分まではアップルにライセンスを供与していることから恩恵を受ける見通し。
ワークデイ (WDAY)NASDAQ 2025/11/26に2026/1期3Q(8-10月)の決算発表を予定
- 日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値 (陰線)」なら緑、「始値<終値 (陽線)」なら赤。
- 2005年に設立。クラウドERP(統合基幹業務システム)大手。グローバル人事業務、給与支払い、財務管理のSaaSベースのエンタープライズ・ソリューションを提供。全世界で1万社超の企業が利用。
- 8/21発表の2026/1期2Q(5-7月)は、売上高が前年同期比12.6%増の23.48億USD、うち継続課金サブスクリプション収入が同14.0%増の21.69億USD(会社予想21.60億USD)、非GAAPの調整後EPSが同26.3%増の2.21USD。調整後営業利益率が4.1ポイント上昇の29.0%(同28.0%)へ改善した。
- 通期会社計画を上方修正。売上高を前期比14%増の88.15億USD(従来計画88.00億USD)、調整後営業利益率を同3.1ポイント上昇の29.0%(同28.5%)とした。「物言う株主」として知られる米ヘッジファンドのエリオット・インベストメント・マネジメントが9/17、同社への20億USD以上の出資を行ったことを明らかにした。エリオットは「大きな進展を遂げている」としてワークデイ経営陣を支持している。
- 決算発表の予定は現地9/19現在であり、変更される可能性があります。
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