2025-12-12 07:11:56

“7月は相互関税猶予期限と連邦債務上限引き上げが注目ポイント”

2025/6/26

提供:フィリップ証券株式会社

リサーチ部:笹木 和弘

2025年3月「銘柄ピックアップ」振り返り

2025年3月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から6/20終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、カーバナ(CVNAは関税の影響で新車よりも中古車への選好が高まっていることの恩恵を受けている。パランティア・テクノロジーズ(PLTRは防衛関連ビッグデータ解析、クラウドストライク・ホールディングス(CRWDはセキュリティ関連、インテュイット(INTUは会計・税務関連のそれぞれプラットフォームを扱う。ブロードコム(AVGOスノーフレーク(SNOWはプラットフォームを支えるインフラ関連である。

2025年3月「銘柄ピックアップ」振り返り〜関税メリットとAIプラットフォーム

スターゲート計画とAI半導体銘柄

米国株式市場は、トランプ米大統領が4/2に相互関税を発表後に売りが加速し、S&P500株価指数およびフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が終値で4/8に年初来安値を付けた。4/9に相互関税延期が発表されて以降、米中貿易摩擦の緩和や関税交渉への期待を背景に上昇基調となった。

トランプ氏が5/13から4日間の日程でサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)を歴訪し、米国への投資拡大を呼び込むトップセールス外交を展開した。これがトランプ氏による人工知能(AI)分野の巨額投資計画(スターゲート計画)の関連銘柄が注目される契機となった。ソフトバンクグループ傘下の英アームホールディングス(ARMは、スマホ関連の比率が高い中、データセンター向け需要が高まることで業績拡大の余地があるだろう。

スターゲート計画とAI半導体銘柄〜トランプ大統領中東歴訪から見直し

量子コンピューティング新時代

エヌビディアNVDAは開発者会議「GTC2025」(3/17-21)において量子コンピューティングをテーマに「Quantum Day」を3/20に初開催。有力スタートアップが集結する研究拠点を新設するとともに、同社のGPUやソフトウエアの普及を図る目的だ。

米国の量子コンピューティング関連銘柄の株価は「Quantum Day」以降、堅調に推移している。2025年1-3月の売上高は、イオンキュー(IONQ)が前年同期比0.2%減の756万USD、Dウェーブ・クオンタム(QBTS)が同6.1倍の1500万USD、リゲッティ・コンピューティング(RGTI)が同52%減の147万USD、クオンタム・コンピューティング(QUBT)が同44%増の39万USD。まだ小規模だが、量子コンピューターとスーパーコンピューターのハイブリッド型が普及すれば業績拡大の前倒しが期待される。

量子コンピューティング新時代〜エヌビディア「Quantum Day」が号砲

オラクルはスターゲート計画で躍進

データベース(DB)大手の米オラクルORCLが企業のAI(人工知能)活用に伴うクラウドコンピューティングサービスの需要増を受けて好調だ。ITシステムにおけるDBの重要性およびDB分野でのオラクルへの信頼感から、DBサーバーを備えた同社のクラウド基盤を使って統合基幹業務システム(ERP)等のソフトウェアを提供する動きが拡大。アプリケーション(ソフトウェア)と基盤(インフラ)に関するクラウドサービスの売上比率は40%台で推移し、利益率向上に寄与している。

ラリー・エリソン会長兼CTOによればマルチ・クラウドのデータセンターは現在23ヵ所稼働に対し、今後1年間で47ヵ所の構築を計画。同社はトランプ政権による4年間で5000億USDの巨額投資プロジェクト「スターゲート計画」に参画している。

オラクルはスターゲート計画で躍進〜クラウド基盤加速・アプリと相乗効果

WSTS(世界半導体市場統計)

世界主要半導体メーカー加盟の統計機関WSTSによる世界半導体市場統計の最新版が6/3に公表された。2025年の半導体市場が前年比11.2%増、2026年が同8.5%増と市場拡大を予測している。AI(人工知能)需要に伴うデータセンター投資の恩恵を受け、メモリー製品やロジック製品が市場拡大の牽引役となっている。AI関連以外では関税問題や輸出規制に伴う地政学リスクなど不透明要素が多く、相対的に伸びが鈍い予測である。

2026年も牽引役は引き続きAI関連であるが、ネットワークの端末に直接搭載しその端末上でデータ処理を行う技術である「エッジAI」など応用領域が拡がることにより、電子機器への半導体搭載金額が増加すると見込まれる。地域別では米国の牽引と欧州の回復が期待される。

WSTS(世界半導体市場統計)〜データセンター投資の恩恵とAI関連中心

米国債のCDS動向

米格付会社ムーディーズが5/16、米国債信用格付けを最上位「Aaa」から「Aa1」に引き下げた。他の米格付会社も、S&Pグローバルが2011年8月に、フィッチが2023年8月に最上位から1段階引き下げていることから市場は冷静に受け止めているが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、米国債の信用格付けが低く見られていることがわかる。

5年物国債について発行体の信用リスクを表すCDSスプレッドでは、米国債は4月以降に50bps台まで上昇し、5月には中国国債やイタリア国債と同水準となった。6月に入り、中東情勢の緊迫化に伴い軍事力を背景とした米ドルの強さが再認識され、40bps台まで低下。トランプ税制・歳出法案が議会上院で可決した場合、信用リスクの見方が注目される。

米国債のCDS動向〜税制・歳出法案と債務上限問題は7月上旬に本番

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