“米国株式市場の戻り上昇はどこまで続くのか?”
- 米国株式市場は、ドル指数および米国債相場とともに戻り上昇を試す局面にある。S&P500株価指数は4/7に一時4835ポイントと、2022年1月に付けた当時のピークだった4818ポイント近辺まで下落したが、その後反転し、4/7から数えて14営業日目の4/25には5528ポイントまで上昇。トランプ米政権が相互関税を一時的に発動して大幅に下落した直前4/2の安値である5571ポイント近くまで上昇。米中貿易摩擦の緩和に向けたお互いのやり取りは今後も続くように思われる。
- 一時は基軸通貨の地位が不安視されて売られていたドル指数は、4/21に、2022年3月以来の安値水準である98ポイント割れまで下落したが、その後の戻りは鈍く、4/25時点で100ポイントを回復していない。また、米10年国債利回りは、4/11に一時4.58%台まで上昇(債券価格は下落)したものの、4/25には4.23%台まで低下(債券価格は上昇)するなど落ち着き始めた。このドル指数と米国債相場の背景には、米FRB(連邦準備制度理事会)ウォラー理事やクリーブランド連銀総裁が関税の影響によっては利下げを支持すると発言したことがある。
- 米国株式市場は、「セル・イン・メイ」の相場格言でも知られる通り5月に売られやすいとされる中、自動車部品へ25%の関税を発動するとされている期限の5/3、および米FOMC(連邦公開市場委員会)が開催される5/6-7を跨いで上昇を継続することができるのだろうか?
- 今後発表される経済指標は徐々にトランプ関税による悪影響の度合いが高まると考えられることから、戻りには限界があると見るべきだろう。全米アクティブ投資運用協会が会員に株式の保有状況を聞き取り、それを指数化した「NAAIM指数」の週次推移を見ると、4/2の49.37ポイントに対し、4/23が40.67ポイントと、株式ポジションのエクスポージャーは、S&P500株価指数の戻り上昇とは逆に減少している。足元の株価上昇は実態を伴っていない可能性が高い。また、将来の米国株式市場(S&P500株価指数)に対する投資家心理を反映する指数として「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数は、弱気相場だった2022年にも、株式が大きく売られる局面で30台後半まで高騰し、その後で株式相場が戻り上昇局面となった際に20割れまで低下後、再び株式市場が下落してVIX指数も高騰するといった動きが繰り返された。VIX指数が20に近づけば要警戒だろう。
- 引き続き、関税の影響を受けにくい、生活密着事業を展開する企業を中心に投資を検討していく局面だろう。ただ、ディフェンシブ銘柄への投資の際には、肥満症治療薬では経口薬の開発が進んでいる点に注意すべきだろう。飲食に関連した需要が中長期的に減退する可能性がある。また、航空宇宙・防衛産業は米国企業の国際競争力が高いことから重要視できるだろう。(笹木)
- 4/30号は、アクソン・エンタープライズ(AXON)、コムキャスト(CMCSA)、GEエアロスペース(GE)、ハウメット・エアロスペース(HWM)、イーライリリィ(LLY)、ローリンズ(ROL)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(4/25現在)
主要企業の決算発表予定
- 4月30日(水)ホスト・ホテル・アンド・リゾート、プルデンシャル・ファイナンシャル、クラウン・キャッスル、アバロンベイ・コミュニティーズ、アルベマール、メットライフ、エベレスト・グループ、MGMリゾーツ・インターナショナル、アフラック、ベンタス、アメリカン・ウォーター・ワークス、CHロビンソン・ワールドワイド、KLA、エクイニクス、アライン・テクノロジー、メタ・プラットフォームズ、イーベイ、UDR、PTC、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、クアルコム、アンシス、グローブライフ、パブリック・ストレージ、マイクロソフト、オールステート、イリノイ・ツール・ワークス、インターナショナル・ペーパー、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ガーミン、パブリック・サービス・エンタープライズ・グルーフ、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、トレイン・テクノロジーズ、ヤム・ブランズ、ウエスタンデジタル、ジェネラックHD、ヘス、バルカン・マテリアルズ、PPL、GEヘルスケア・テクノロジーズ、キャタピラー、ノルウェージャンクルーズラインHD、ヒューマナ
- 5月1日(木)アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、デクスコム、ホロジック、メトラー・トレド・インターナショナル、EOGリソーシズ、モホーク・インダストリーズ、アップル、アトラシアン、アムジェン、マイクロストラテジー、インガソール・ランド、ゴーダディ、モノリシック・パワー・システムズ、モトローラ・ソリューションズ、アマゾン・ドット・コム、エバーソース・エナジー、ジュニパーネットワークス、アーサー・J・ギャラガー、コンソリデーテッド・エジソン、アメレン、ライブ・ネーション・エンタテインメント、エアビーアンドビー、ストライカー、WWグレンジャー、ケラノバ、サザン、エスティローダー、ベクトン・ディッキンソン、パーカー・ハネフィン、CVSヘルス、アプティブ、カーディナルヘルス、バイオジェン、マクドナルド、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、ビルダーズ・ファースト・ソース、ハーシー、アイデックスラボラトリーズ、ドミニオン・エナジー、フォーティブ、チャーチ・アンド・ドワイト、エクセロン、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、ピナクル・ウエスト・キャピタル、クアンタ・サービシーズ、ハベル、バクスターインターナショナル、KKR、アメテック、イーライリリー、DTEエナジー、アイデックス、タルガ・リソーシズ、アイアンマウンテン、モデルナ、ハウメット・エアロスペース、マスターカード、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、キャリア・グローバル、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、スマーフィット・ウエストロック、リンデ
- 5月2日(金)フランクリン・リソーシズ、シェブロン、アポロ・グローバル・マネジメント、AES、シーボー・グローバル・マーケッツ、ティー・ロウ・プライス・グループ、エクソンモービル、イートン、シグナ・グループ、デュポン・ド・ヌムール
- 5月5日(月)ダイヤモンドバック・エナジー、コテラ・エナジー、バーテックス・ファーマシューティカルズ、パランティア・テクノロジーズ、ウィリアムズ・カンパニーズ、クロロックス、フォード・モーター、ヘンリー・シャイン、カミンズ、タイソン・フーズ、オン・セミコンダクター、ロウズ、ジンマー・バイオメット・HD
- 5月6日(火)デボン・エナジー、アシュラント、エレクトロニック・アーツ、ジェン・デジタル、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、アリスタネットワークス、コアペイ、モザイク、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、ウィン・リゾーツ、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、エクスペディターズInt'lオブワシントン、マラソン・ペトロリアム、グローバルファウンドリーズ、ゾエティス、データドッグ、ジェイコブズ・ソリューションズ、ウォーターズ、ボール、レイドスHD、デューク・エナジー、マリオット・インターナショナル、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、グローバル・ペイメンツ、コンステレーション・エナジー、ガートナー、IQVIAHD、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、WECエナジー・グループ
- 5月7日(水)CFインダストリーズ・HD、コルテバ、アップラビン、フォーティネット、アトモス・エナジー、オキシデンタル・ペトロリアム、メルカドリブレ、ドアダッシュ、アーム・HD、APA、ペイコム・ソフトウエア、スカイワークス・ソリューションズ、センコラ、ウォルト・ディズニー・カンパニー、ビストラ・コープ、ウーバー・テクノロジーズ、チャールズリバー・ラボラトリーズIntl、デイフォース、ベリスク・アナリティクス、ジョンソンコントロールズインターナショナル、ブンゲ・グローバル、マーケットアクセス・HD、エマソン・エレクトリック、バイオテクネ、CDW、ロックウェル・オートメーション、ナイソース、トリンブル
主要イベントの予定
- 4月30日(水)
- 米ADP雇用統計(4月)、 米GDP速報値(1Q)、米中古住宅販売成約指数(3月)、米個人所得・支出(3月)、米個人消費支出(PCE)価格指数(3月)
- 5月1日(木)
- 米自動車販売(4月)、米新規失業保険申請件数(4月26日終了週)、米S&Pグローバル製造業PMI(4月)、米ISM製造業景況指数(4月)、米建設支出(3月)
- 5月2日(金)
- 米雇用統計(4月)、米製造業受注(3月)
- 5月5日(月)
- 米S&Pグローバルサービス業・総合PMI(4月)、米ISM非製造業総合景況指数(4月)
- 5月6日(火)
- 米FOMC(7日まで)、米貿易収支(3月)
- 5月7日(水)
- 米FOMC最終日・声明発表とパウエルFRB議長記者会見、米消費者信用残高(3月)
- Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アクソン・エンタープライズ (AXON)NASDAQ 2025/5/7に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

- 1993年設立。法執行機関(警察等)や刑務所、軍隊他向けに電気兵器類(スタンガンの一種で電気ショックで相手を動けなくさせるテーザー銃)やソフトウェアセンサーシステムを開発・製造・販売。
- 2/26発表の2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比33.6%増の5.75億USD、非GAAPの調整後EBITDAが同55.6%増の1.41億USD。期末契約残高が42.2%増の101億USD。ソフトウェア事業(売上比率40%)が41%増収、テーザー事業(同38%)が37%増収、センサー事業が18%増収。
- 2025/12通期会社計画は、売上高が前期比22-27%増の25.5-26.5億USD、調整後EBITDAマージンが同横ばいの25%。トランプ政権の政策の下で不法移民規制や薬物輸入規制強化目的で警察など法執行機関向けテーザー銃の需要増が見込まれる。民間向けにも、車載カメラシステムで補完するためのAI(人工知能)技術を利用した車両ナンバー認識システム(LPR)の伸びが期待される。
コムキャスト (CMCSA)NASDAQ 2025/7/23に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

- 1963年設立のケーブルテレビ最大手企業。CATVや高速インターネットを扱う接続&プラットフォーム部門、従来のメディア関連NBCユニバーサル事業のコンテンツ&エクスペリエンス部門を展開。
- 4/24発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比0.6%減の298.87億USD、非GAAPの調整後EPSが同4.5%増の1.09USD。接続&プラットフォーム部門が0.7%減収も、全体売上比率59%の住宅向け接続収入における価格引上げを受けて、全体の調整後EBITDAマージンが0.77ポイント上昇。
- 2025/12期会社計画は未公表。米消費者の間でケーブルテレビを解約して動画配信サービスに乗り換える動きが加速する中、同社はケーブルテレビ局事業をスピンオフし、動画配信サービス「ピーコック」に経営資源を集中する方針とした。1Qはロサンゼルスの山火事の影響を受けて減収減益だったテーマパーク事業は、5月にフロリダ州オーランドで「エピック・ユニバース」の開園が要注目だ。
GEエアロスペース (GE)NYSE 2025/7/22に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

- 1892年創業。従来は巨大コングロマリット企業だったが、本体に航空部門を残し、2023年1月にヘルスケア部門(GEヘルスケア)、24年4月にエネルギー部門(GEベルノヴァ)のスピンオフを完了。
- 4/22発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比10.9%増の99.35億USD、非GAAPの調整後EPSが同60.2%増の1.49USD。調整後営業利益率が4.6ポイント上昇。受注高は商業エンジン・サービス(売上比率70%)が15%増の95億USD、防衛&駆動技術(同30%)が横ばいの30億USD。
- 2025/12通期会社計画は、売上高が前期比10%前半の伸び率、調整後EPSが同11-18%増の5.10-5.45USD。トランプ関税の先行き不確実性が大きい中で従来計画を据え置いた。航空宇宙産業は米国にとって貿易黒字であり、米国企業の競争力があることから中国も高い関税を課しにくい分野だろう。アジア系航空会社を中心に、商用機向けエンジン受注や保守サービスの需要が堅調に推移。
ハウメット・エアロスペース (HWM)NYSE 2025/5/1に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

- 1888年設立。航空宇宙・輸送業界向けの先端エンジニアリング・ソリューションを提供。エンジン製品、ファスニング・システム、エンジニアリング・ストラクチャ、鍛造ホイールの4事業セグメントを展開。
- 2/13発表の2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比9.2%増の18.91億USD(会社予想18.50-18.90億USD)、例外項目の影響を除く非GAAPの調整後EPSが同39.6%増の0.74USD(同0.70-0.72USD)。鍛造ホイールが12%減収も、他の3事業はそれぞれ10%台前半の増収と堅調に推移。
- 2025/12通期会社計画は、売上高が前期比7-9%増の79.30-81.30億USD、調整後EPSが同16-19%増の3.13-3.21USD。米商務省が24日発表した3月の耐久財受注では、民間航空機が前月比139%の大幅増。2月に米フィラデルフィア近郊で発生した航空機用ファスナーメーカー工場の大規模火災を契機に航空機部品関連のサプライチェーン見直し機運が高まっている。同社へ追い風だろう。
イーライリリィ (LLY)NYSE 2025/5/1に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

- 1876年創業。糖尿病などの内分泌系、神経系、心臓血管系の疾患や癌に対する治療薬を扱う。GLP-1受容体作動薬の「マンジャロ」と「ゼップバウンド」が肥満症治療薬として注目を集めている。
- 2/6発表の2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比44.7%増の153.32億USD、非GAAPの調整後EPSが同114%増の5.32USD。2型糖尿病治療薬・週1回注射を行うマンジャロ(売上比率26%)が60%増収、肥満症治療薬・週1回皮下注射を行うゼップバウンド(同14%)が985%増収。
- 2025/12通期会社計画は、売上高が前期比29-35%増の580-610億USD、調整後EPSが同73-85%増の22.5-24.0USD。同社は4/17、経口肥満症治療薬の第3治験の結果を発表。良好な減量結果が示された。経口薬は皮下注射型より増産しやすく品不足の解消が期待されるほか、注射に抵抗を感じる患者からも需要が見込まれる。同社は同薬を年内に各国規制当局に承認申請を行う見通し。
ローリンズ (ROL)NYSE 2025/7/24に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
- 日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値 (陰線)」なら緑、「始値<終値 (陽線)」なら赤。
- 1948年設立の害虫・シロアリ駆除会社。北米、豪州中心に世界各地で直営に加えフランチャイズ方式で、住宅や商業用施設にホテル、食品サービス、食品メーカー、小売など各業界で事業展開。
- 4/23発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比9.9%増の8.22億USD、非GAAPの調整後EPSが同10.0%増の0.22USD。増収率のうち既存事業が7.4ポイント、買収効果が2.5ポイント。粗利益率が0.2ポイント上昇の一方、調整後営業利益率が0.5ポイント低下。フリーキャッシュフローは17%増だった。
- 2025/12期の会社計画は未公表。同社は4月に害虫管理の米大手企業(年間売上約6500万USD)のサエラ・ホールディングスの買収を完了。同社は害虫駆除市場における米国首位の企業であり、有力な競争相手が見当たらないため利益率を確保しやすい点を強みとする。戦略的な買収による地理的拡大、および買収後の効率性改善により、着実にキャッシュフローの拡大を進めている。
- 決算発表の予定は現地4/25現在であり、変更される可能性があります。
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