歴史は繰り返すのだろうか?1929年に米国で株価が大暴落した後に世界恐慌が発生して経済が低迷。失業者が増加する中、米国政府は国内産業を保護するため、フーバー大統領の下で1930年に、農産物や工業製品の関税を大幅に引き上げる「スムート・ホーリー法」を成立させた。ところが各国が報復として米国製品の輸入に対して関税を引き上げ、貿易量が激減したことから国際貿易が縮小し、世界恐慌がさらに深刻化した。
トランプ大統領が発表した相互関税に対し、中国政府が報復措置として米国からの全輸入品に対して米相互関税と同じ34%を課すとしたことは、当時の歴史を思い起こさせる。
1930年代の米国は高関税政策の失敗を受け、自由貿易政策に回帰。フランクリン・ルーズベルト大統領の下で1934年に成立した「互恵通商協定法」によって、大統領に他国と関税を相互に引き下げる交渉権を与え、二国間の貿易協定を増やし、関税を段階的に引き下げていった。このように「相互関税」とは歴史的には、他国と関税を相互に引き下げることを目的としているものだ。
トランプ大統領と同様に、自らを「タリフマン(関税男)」と名乗った「元祖タリフマン」が第25代米大統領ウィリアム・マッキンリーである。マッキンリー氏は下院歳入委員長として1890年にマッキンリー関税法を成立させ、平均関税率を大幅に引き上げた。マッキンリー氏も大統領任期1期目は高関税政策だったが、自由貿易の重要性を認識するようになり、2期目の開始年に高関税政策の抜本的転換を提唱した。このように過去の歴史から米国の高関税策を紐解いていくと、トランプ大統領も遠くない将来、自由貿易と関税引き下げに転換するのではないかと推察される。
主要株価指数の4/4終値を見ると、ダウ工業株30種平均株価(ダウ平均)は2022年1月高値の3万6952ドルよりも約1300ドル高い水準、そしてS&P500指数は2022年1月高値の4818ポイントよりも約250ポイント高い水準となった。その一方、ナスダック総合指数は2021年11月高値の1万6212ポイントを大きく下回った。市場の不安感を反映する「恐怖指数」と言われるVIX指数が4/4に45.31ポイントまで高騰したこともあり、ダウ平均とS&P500指数がそれぞれ2022年1月高値を下回る水準まで下落すれば底打ち反転から大幅なリバウンドへと移行する可能性があるだろう。その一方、新型コロナ・パンデミックで株式市場が強い売りに見舞われた2020年2-3月は、S&P500株価指数で2月高値から3月安値まで35.4%下落した。2025年2月の過去最高値から35.4%下落した水準が4000ポイントを割れの水準であることも頭の片隅に置いておくべきだろう。(笹木)