24年12月「銘柄ピックアップ」振り返り
昨年12月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から3/24終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、AI(人工知能)によるビッグデータ解析のパランティア・テクノロジーズ(PLTR)が首位。中南米で事業展開するメルカドリブレ(MELI)、米国内で通信事業を営むAT&T(T)やTモバイルUS(TMUS)、およびグローバルXビデオゲーム&EスポーツETF(HERO)など、トランプ関税の影響を受けにくいとみられる銘柄が上位を占めた。電子機器受託製造のジェイビル(JBL)も関税に柔軟に対応しやすいだろう。
24年12月「銘柄ピックアップ」振り返り~海外Eコマース、生活インフラなど
選挙公約に忠実なトランプ大統領
トランプ米政権の関税を巡る「朝令暮改」による不確実性に対し、米国株市場の「恐怖指数」として知られるVIX指数が終値で3/11に27.86まで上昇。ところが、トランプ大統領による一連の政策は、大統領選挙戦時の公約集「アジェンダ47」と照らし合わせると、公約を忠実に実行しようとする政治家としての生真面目さが窺われる。
3/12に発動された鉄鋼とアルミニウムへの輸入に対する25%関税は「普遍的基本関税」の公約からすれば、まだほんの一部分だろう。4/2に具体的内容が公表される見通しの相互関税は「相互貿易法」において創設が言及されているほか、レアメタル権益確保を通じ、ウクライナ支援に関する補償を求める姿勢も「米国第一の外交政策」の内容に沿う。「選挙公約」の意味合いは米国と日本とでは異なりそうだ。
選挙公約に忠実なトランプ大統領~粛々と有言実行。交渉材料にあらず
エヌビディア年次開発者会議(GTC)
米エヌビディア(NVDA)のジェンセン・ファンCEOが3/18、年次開発者会議「GTC」の基調講演を行った。中国の新興企業「DeepSeek」が1月に低コストで高度なAI(人工知能)モデル「R1」を開発したと伝わったことに対し、エヌビディア製の半導体の需要が伸び悩むとの見方が株式市場で広がっていた中、ファンCEOはこの見方を否定。AI処理を効率化するソフトウエア「ダイナモ」を使ってR1を動かす場合、GPUの1つ当たり処理能力が30倍以上に高まると述べた。さらに、ダイナモはオープンソースとして外部に無償公開するとした点も注目される。
同社が10年近く取り組んできたヒト型ロボット新技術も公開。アジリティ・ロボティクスの「ディジット」の開発にはエヌビディアのシミュレーション技術が使われている。
エヌビディア年次開発者会議(GTC)~DeepSeekと共存、ヒト型ロボ注力
エヌビディアの11-1月期決算評価
米半導体大手エヌビディア(NVDA)が2/26に発表した2024年11月-2025年1月期決算は売上高・純利益ともに市場予想を上回った。2025年2-4月期の売上高見通しも市場予想を上回った。データセンター部門は前年同期比93%増収で売上比率が約9割を占めた。AI(人工知能)半導体需要が引き続き拡大すると見られる中で主力の新型AI半導体「ブラックウェル」の売上が約110億USDに上った。
高性能AI半導体の生産を拡大することは必ずしも株価にプラスとは限らない。非GAAPの調整後粗利益率は24年2-4月期をピークに3四半期連続で前四半期比マイナス。中国のDeepSeekが高性能AIを低コストで開発したことでAI開発に必要な半導体が想定より少なくなる可能性があり、今後の利益率低下が懸念される。
エヌビディアの11-1月決算評価~高性能AI半導体の利益率への影響懸念
金先物1000ドル単位節目は鬼門
CMX金先物(期近)終値は3/18に1オンス3040.8ドルと、史上最高値を更新。背景には、トランプ米政権の関税政策に伴う景気不透明感に加え、イスラエルがパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスを標的に大規模空爆を実施したことで地政学リスクが高まったことがある。
過去に金価格が1オンス1000ドル単位の節目を初めて突破後の推移を見ると、2008年3月に1000ドル超え後、同年9月まで約26%下落。2020年8月に初めて2000ドル突破後、2022年9月安値まで約21%下落した。中東情勢はトランプ米政権が断固とした姿勢を鮮明にし、ウクライナ情勢もプーチン露大統領との協議という新たな段階に入るなど硬軟使い分けて問題解決を模索中。必ずしも地政学リスクが高まっていると言い切れないだろう。
金先物1000ドル単位節目は鬼門~1000ドル、2000ドル超え後に調整あり
トランプ政策と原油生産・銅価格差
米国政府は3/12から米国が輸入する鉄鋼・アルミ製品に25%の追加関税を導入した。その前に銅に対しても追加関税をかけるための大統領令に署名し、実態調査をするよう米商務省に指示した。銅は3/12からの関税発動には入らなかったものの、次の対象になりかねないとの懸念から1月下旬以降、先物価格が上昇を加速。3/18に中心限月価格が1ポンド当たり5USD(1トン当たり1万1020USD)を超えた。関税リスクが米国の銅価格の上乗せ分に織り込まれて銅の国際指標の英LME3ヵ月先物との価格差(終値)は3/21に1トン当たり1417ドルまで拡大した。
化石燃料増産を目指すエネルギー政策に関し、ベーカー・ヒューズの2/21を含む週の国内石油・天然ガス掘削リグ稼働数が24年6月以来の高水準を記録した。
トランプ政策と原油生産・銅価格差~「ドリル・ベイビー・ドリル」と銅割増金