24年10月「銘柄ピックアップ」振り返り
昨年10月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から1/24終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、イーロンマスクCEO率いるテスラ(TSLA)はAI(人工知能)銘柄の側面が強調された。シェニエール・エナジー(LNG)はエネルギー生産拡大、ブラジルの航空機大手エンブラエル(ERJ)も「空飛ぶクルマ」のトランプ政策が背景にある。インテュイティブ・サージカル(ISRG)やブリストルマイヤーズスクイブ(BMY)のディフェンシブ銘柄も堅調に推移。微博[ウェイボー](WB)は中国政府の景気刺激策が追い風となった。
24年10月「銘柄ピックアップ」振り返り~トランプ・トレードとディフェンシブ
ダウ平均構成銘柄の年間騰落率
ダウ工業株30種平均株価を構成する30銘柄について2023年(22年末~23年末)および24年(23年末~24年末)の株価騰落率を見ると、生成AI(人工知能)普及を背景に画像処理半導体(GPU)のエヌビディア(NVDA)が各年ともに2位以下に大差をつけて首位。大型ハイテク株が軒並み好調な中でエヌビディアの主要大手顧客でもあるマイクロソフト(MSFT)は、24年が23年よりも株価の伸びが縮小した。
ウォルマート(WMT)と3M(MMM)は、23年よりも24年に大きく順位を上げた。ウォルマートは根強いインフレで高所得者層も同社の店舗に価値を見出すようになったこと、3MはPFAS(有機フッ素化合物)関連の巨額和解金支払い発生後の24年5月に就任したブラウンCEOの下で経営再建が進んでいることがその背景にある。
ダウ平均構成銘柄の年間騰落率~前年低順位からの下剋上の可能性
米半導体とマグニフィセントセブン
米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成されるSOX(フィラデルフィア半導体)指数は、生成AI(人工知能)人気沸騰を受けて昨年前半に上昇が加速。米国の代表的株価指数のS&P500に対する倍率は昨年7月上旬に、ITバブル時の2000年3月を超えて1.02倍の史上最高水準に達した。また、主要半導体銘柄を含み、金融を除くナスダック上場時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均であるナスダック100指数は、米国の景気敏感関連やディフェンシブ関連も含む代表的な30銘柄の平均株価のダウ平均株価に対する比率が昨年末まで上昇継続。12月末に0.50倍と2000年3月を超えて史上最高水準に達した。
半導体銘柄とマグニフィセントセブンへの物色集中の偏りが今後どのように変化していくのかが米国株の鍵を握るだろう。
米半導体とマグニフィセントセブン~AI相場の中で偏りは維持可能か?
米国株はスピンオフ銘柄に好機
米国市場でスピンオフへの注目が高まっている。旧ゼネラル・エレクトリックから昨年4月にスピンオフしたGEベルノバ(GEV)の株価は大幅に上昇。同銘柄がウェートの約3割を占めるブルームバーグ米国スピンオフ指数も昨年はS&P500指数を大きくアウトパフォームした。
スピンオフは、特定の事業や完全子会社を切り出して独立し、新会社として立ち上げる事業再編手法の一つ。新企業と元の企業との資本関係が切れることなく継続し、スピンオフによって切り離された会社の株式は元の会社の株主に分配される。トランプ政権の政策を巡る思惑で米国株市場の変動性が高まりやすい中でマクロ環境に影響されることなく企業価値の向上に焦点を絞り、スピンオフ銘柄に注目することは有効だろう。
米国株はスピンオフ銘柄に好機~「トランプ2.0相場」に左右されにくい投資
米政策金利引き下げによる影響
米FRB(連邦準備制度理事会)が昨年9/18に政策金利を0.50ポイント引き下げた後、それまで低下していた米10年国債利回りは9/17の3.6%割れから反転上昇し、今年1/14に一時4.8%を超えた。消費者物価指数(CPI)上昇率の前年同月比も昨年9月の2.4%まで低下していた中で10月以降に上昇が加速し、1/14発表の12月CPI上昇率は2.9%となった。ドルインデックスも上昇した一方、米ドル相場と逆相関になりやすい金先物価格は上昇一服傾向が見られた。米長期金利上昇が引き続き米ドル買い要因となるのかは今後の焦点だろう。
石油・天然ガスなど化石燃料の開発規制の緩和を目指すトランプ次期政権発足を前にして、原油価格の上昇が加速してきている点が注目される。
米政策金利引き下げによる影響~長期金利、物価、ドル指数、原油上昇
中国の対内直接投資は減退続く
中国では対内直接投資の流入が成長の原動力となってきたが、2023年半ば以降にマイナス(流出超過)となって以降、工場新設など新規投資分が撤退や事業縮小に伴う資本の回収分を下回っていることを背景に、流出に歯止めがかからない。対中国投資意欲低下の背景として、従来は労働コスト上昇や中国経済の減速などが指摘されてきたが、新たに、?米中摩擦激化、?中国による安全保障関連法規制の強化が外資系企業の不安を喚起していることなどが挙げられる。
経済減速に対し財政支出とともに金融緩和に注力するも、人民元安により資本流出に拍車がかかっている。中国政府も出資比率規制の撤廃など外資政策の改善に乗り出しているものの、日本など海外投資に回る余地も考えられるだろう。
中国の対内直接投資は減退続く~歯止めを志向も金融緩和で人民元安

