23年9月「銘柄ピックアップ」を振り返る
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今年9月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から12/22終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、複数クラウドを並列で動かすマルチクラウドのスノーフレーク(SNOW)が首位。企業のDX(デジタル変革)支援のワークデイ(WDAY)が2位、脱中国サプライチェーン再構成でシンガポールのフレックス(FLEX)が3位。バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)はバイオ医薬品の中でも相対的に業績安定。ケメド(CHE)やウエイスト・マネジメント(WM)も含め、景気に左右されにくいディフェンシブが上位を占めた模様だ。
23年9月「銘柄ピックアップ」を振り返る〜クラウド、シンガポール、医薬品
米大統領選挙年のS&P500推移
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2024年のグローバル株式市場の動向を予測する場合の最重要ファクターは、4年毎の米大統領選挙年ということだろう。米大統領選の予備選挙・党員集会が集中する3月第2火曜日である「スーパー・チューズデー」(24年は3/5)から株式相場は一挙に「選挙モード」入りしやすい。
1992年以降の米大統領選挙年におけるS&P500株価指数の動きを比較すると先ず「リーマンショック」2008年や「ITバブル崩壊」2000年を含むことが注目される。クリントン再選確実だった1996年、オバマ再選確実だった2012年は相対的に好パフォーマンスだった。2020年は新型コロナ禍による暴落からの反発の勢いから年間通せば好調。それ以外の年は、選挙直前まで春から小動きを繰り返す退屈な動きで推移。選挙前後から動き出した点が注目される。
米大統領選挙年のS&P500推移〜2008年除きはっきりするのは選挙以降
メタ・プラットフォームズとセールスフォース
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2022年に株価不振だった米主要IT2社が2023年になって見違える株価パフォーマンスとなっている。SNS大手メタ・プラットフォームズ(META)は22年の年間騰落率が▲64%に対し今年の年初来騰落率(12/22終値)が+194%。クラウド型ソフトウェアのセールスフォース(CRM)は22年年間騰落率が▲48%に対し今年の年初来騰落率(12/22終値)が+101%に上る。
メタ社は「23年は効率化の年」としてコスト抑制に努めた結果、売上高総費用比率が22年10-12月の80%から23年7-9月に59%まで低下。1ユーザー当たり収益も増加と効率化が続く。セールスフォースも「物言う株主」の圧力の下で成長重視から収益性最優先に転換。調整後営業利益率が過去最高に上ると同時に売上も増加。株価見通しは引き続き良好だろう。
メタ・プラットフォームズとセールスフォース〜利益率・収益性改善の継続が鍵を握る
騰落率下位銘柄に投資すべき?
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ダウ工業株30種平均を構成する30銘柄で12/22終値の年初来騰落率上位銘柄は、4位までが昨年年間騰落率で下位7銘柄に含まれていた。業績不振後の短期間で経営立直しといった米国特有の経営ダイナミズムに加え、超大型ハイテク株が過剰流動性の受け皿となりやすいことから昨年の金融引締め強化に伴う株価下落からの反動・反発の面もあろう。
下位10銘柄の内5銘柄が昨年の年間騰落率で上位10銘柄に含まれていた。2024年も同様に、騰落率上位銘柄と下位銘柄が23年から入れ替わることも想定される。年間騰落率で21年30位、22年28位と不振のウォルト・ディズニー(DIS)は23年に年初来(12/22終値)騰落率18位(+5.1%)と回復の兆し。21年まで遡り経営再建余地が大きい銘柄も注目される。
騰落率下位銘柄に投資すべき?〜今年の騰落率上位銘柄は前年下位
WSTS(世界半導体市場統計)
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世界主要半導体メーカー加盟の統計機関WSTSによる世界半導体市場統計の最新版が11/28に公表された。2023年の半導体市場が前年比9.4%減(従来予想10.3%減)の一方、2024年が同13.1%増(同:11.8%増)と、両年とも上方修正見通しを示した。23年の落ち込みが大きくかつ24年伸び率が大きいのがメモリー。
メモリーの中でも生成AI(人工知能)の追い風を受けているのは、データ記憶保持に使い、高速処理に向いているDRAMである。地域別では中国含むアジア太平洋地域が23年に同14%減(同:15.1%減)、24年に同12%増(同:10.7%増)と上方修正。生成AIに強いDRAMの広帯域メモリー(HBM)は韓国勢がシェア約9割を占めるも、米マイクロン・テクノロジー(MU)もシェア1割を占めている。
WSTS(世界半導体市場統計)〜米・アジア太平洋にメモリで投資対象は?
原油と金(ゴールド)の供給サイド
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WTI原油先物価格終値は12/6、OPECプラス協調減産見送りに加え、米国ガソリン在庫大幅増加を受けて今年6月以来の1バレル70ドル割れとなった。12/1発表のベーカー・ヒューズによる米国内石油・天然ガス掘削リグ数も3週連続で前週比増となったことも要因の1つだろう。更に、「大統領選で再選すれば石油掘削の拡大に踏み切る」とのトランプ前大統領の発言も効いたかもしれない。
CMX金先物価格は1日のパウエル議長発言を受けた早期利下げ観測に伴うドル安から上昇を加速。12/4アジア時間に一時1オンス2150ドルまで上昇もその後は売りに押され12/6終値1オンス2044ドル。主要産金会社の7-9月の金生産量は前四半期比で増加、生産コストは減少と、売り要因となる兆しが出始めた。