“年内2回の「恐怖警報」は2018年10月の再来か?”
- VIX指数が20日終値で2日連続20ポイントを超えた。VIX指数は株価の変動性の予想を示す指数で、上昇すれば相場変動に対する市場の警戒度が高く、下落すれば低いとされる「恐怖指数」であり、中長期的には20ポイントが市場の強気と弱気の分岐点でもある。今年は、3月に信用不安による金融機関の破綻連鎖が起きた9-27日、および5月の4日と24日しか終値で20ポイントを上回っていない。3月に続いての「恐怖警報」が発令しただろうか?
- 2018年も同様にVIX指数が年に2回警報を発していたことは記憶に新しい。2018年は2月に「VIXショック」と呼ばれる大幅な世界同時株安が発生。1月の米雇用統計で時間当たり賃金が大幅な伸びを示したことで米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げペースが加速するとの見方が広がり、米長期金利が大幅に上昇したことが背景にあった。そして10月になって同様に「タカ派的FRB」に加え、米中貿易摩擦に伴う中国景気への見方の変化も世界的株価大幅下落を後押しした。2018年のVIX指数終値は、2月に4日の17.31から5日の37.32ポイントまで急騰。その後は4/11の20.24ポイントを最後に20割れで推移。そして10/10に22.96ポイントに上昇後、2ヵ月程度の間20ポイントを挟んだレンジの揉み合い相場で推移。12/24に36.07ポイントへ高騰しピークアウトした。
- 2023年10月も、FRBの金融引き締めが長期化しそうだとの見方が背景にある「タカ派FRB」では2018年と同様だ。地政学リスクの点でも今回の中東情勢の悪化と2018年の米中対立先鋭化は類似点が指摘されよう。
- 最近の長期金利上昇は軍事支援強化も含めた財政拡大に伴う国債需給悪化懸念も反映されており、雇用や消費の強さも相まってVIX指数の強さが2018年よりも粘着性を帯びる可能性もある。米作家マーク・トゥエインが言ったとされる「歴史は繰り返さないが韻を踏む」という格言も想い起されよう。
- 米国株の代表的な航空宇宙・防衛株指数の「ダウ・ジョーンズ米国セレクト航空宇宙・防衛株指数」の日足終値を見ると、過去14日間の上げ幅(前日比)の合計を、同期間の上げ幅合計と下げ幅合計を足した数字で割った「RSI(相対力指数)」が20日に43.23%の水準。同指数は9日が前日比4.4%の大幅上昇となったなか、RSIの14日は9日の52.33%に対してその前日が29.48%と、売られ過ぎとされる30%を割っていた。
- デンマークの薬品企業ノボ・ノルディスク(NVO)が2型糖尿病と肥満症向けに開発・販売しているGLP-1受容作動薬を中心とした医薬品業界の大胆な変化への注視継続に加え、消費者の懐が厳しくなることを睨んだ生活必需品のディスカウント小売業への見直しが必要な局面と考えられよう。(笹木)
- 10/24号では、エアロバイロンメント(AVAV)、コストコホールセール(COST)、ダラー・ゼネラル(DG)、ダラー・ツリー(DLTR)、ロイヤルティ・ファーマ(RPRX)、AT&T(T)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(10/20現在)
主要企業の決算発表予定
10月24日(火) | チャブ、ウエイスト・マネジメント、コスター・G、アルファベット、F5、マイクロソフト、ビザ、ロバート・ハーフ、イリノイ・ツール・ワークス、ゼネラル・エレクトリック、ダウ、ニューコア、ハリバートン、コーニング、シャーウィン・ウィリアムズ、パルトG、ベライゾン・コミュニケーションズ、コカ・コーラ、インベスコ、テキサス・インスツルメンツ、ドーバー、RTX、クエスト・ダイアグノスティクス、パッカー、HCAヘルスケア、ペンテア、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、キンバリー・クラーク、3M、ネクステラ・エナジー、ファイサーブ、NVR、ゼネラル・モーターズ、シンクロニー・ファイナンシャル、ダナハー、センティーン |
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10月25日(水) | IBM、モリーナ・ヘルスケア、エベレスト・G、ベーカー・ヒューズ、アイデックス、EQT、メタ・プラットフォームズ、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ、インビテーション・ホームズ、KLA、アメリプライズ・ファイナンシャル、ユナイテッド・レンタルズ、グローブライフ、エクイニクス、サービスナウ、ローリンズ、テラダイン、エドワーズライフサイエンス、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル、オライリー・オートモーティブ、ワールプール、アライン・テクノロジー、TモバイルUS、アンフェノール、CMEG、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、マーケットアクセス・ホールディングス、フォーティブ、ノーフォーク・サザン、ヘス、ゼネラル・ダイナミクス、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ボーイング、ローパー・テクノロジーズ、ムーディーズ、オーチス・ワールドワイド、テレダイン・テクノロジーズ、エイブリィ・デニソン |
10月26日(木) | ウェアーハウザー、リパブリック・サービシズ、フォード・モーター、ジュニパーネットワークス、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、モホーク・インダストリーズ、ファーストエナジー、デクスコム、L3ハリス・テクノロジーズ、UDR、アーサー・J・ギャラガー、アマゾン・ドット・コム、バイオ・ラッド・ラボラトリーズ、シンシナティ・ファイナンシャル、レスメド、プリンシパル・ファイナンシャルG、インテル、エンフェーズ・エナジー、イーストマン・ケミカル、チポトレ・メキシカン・グリル、ベリサイン、WWグレンジャー、LKQ、メルク、サウスウエスト航空、KRCインテリム、バレロ・エナジー、マスコ、ノースロップ・グラマン、ブンゲ、ラボラトリー・コープ・オブ・アメリカHldg、ハネウェルインターナショナル、キューリグ・ドクターペッパー、インターナショナル・ペーパー、コムキャスト、Kenvue Inc、キャリア・グローバル、ニューモント、テキストロン、A.O.スミス、アメリカン・タワー、シーゲート・テクノロジー・ホールディングス、バルカン・マテリアルズ、アルトリアG、ハーシー、トラクター・サプライ、PG&E、CMSエナジー、センターポイント・エナジー、ボストン・サイエンティフィック、ハズブロ、マスターカード、ウエスト・ファーマシューティカル・サービシズ、ウィリス・タワーズ・ワトソン、ブリストル マイヤーズ スクイブ、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、リンデ |
10月27日(金) | ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ・グルー、フィリップス66、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、チャーター・コミュニケーションズ、シェブロン、ティー・ロウ・プライス・G、エクセル・エナジー、アッヴィ、コルゲート・パルモリーブ、ライオンデルバセル・インダストリーズ、エクソンモービル、エーオン |
10月30日(月) | FMC、アリスタネットワークス、パブリック・ストレージ、モノリシック・パワー・システムズ、VF、アーチ・キャピタル・G、マクドナルド、オン・セミコンダクター、リビティ、ロウズ |
主要イベントの予定
10月24日(火) |
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10月25日(水) |
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10月26日(木) |
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10月27日(金) |
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10月30日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
エアロバイロンメント(AVAV)市場:NASDAQ・・・2023/12/6に2024/4期2Q(8-10月)の決算発表を予定
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コストコホールセール(COST)市場:NASDAQ・・・2023/12/14に2024/8期1Q(9-11月)の決算発表を予定
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ダラー・ゼネラル(DG)市場:NYSE・・・2023/12/1に2024/1期3Q(8-10月)の決算発表を予定
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ダラー・ツリー(DLTR)市場:NASDAQ・・・2023/11/22に2024/1期3Q(8-10月)の決算発表を予定
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ロイヤルティ・ファーマ(RPRX)市場:NASDAQ・・・2023/11/8に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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AT&T(T)市場:NYSE・・・2024/1/25に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は10/20現在であり、変更される可能性があります。