23年4月「銘柄ピックアップ」を振り返る
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今年4月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から7/24終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、コロナ禍収束後に手術件数回復傾向のインテュイティブ・サージカル(ISRG)が首位。バイデン政権の看板政策「インフラ投資雇用法」関連でベントレー・システム(BSY)が続く。ラムリサーチ(LRCX)のような半導体製造関連も堅調を持続。マリオット・インターナショナル(MAR)のような旅行・娯楽関連もコロナ禍収束後の好調を持続。コムキャスト(CMCSA)もユニバーサル・スタジオなど娯楽・映画関連が業績を牽引している。
23年4月「銘柄ピックアップ」を振り返る〜医療機器・インフラ投資関連等
米CPI上昇率・前年比のカラクリ
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米労働省が12日発表した6月の消費者物価指数(CPI、季調済み)は前年比3.0%上昇と、5月の4.0%から鈍化。約2年ぶりの小幅な伸びとなった。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比4.8%上昇と、前月の5.3%から鈍化。市場では「追加利上げはあと1回」という楽観論が優勢となってきた。
WTI原油先物は昨年6月中旬以降、今年3月の1バレル64ドル台まで下落基調を辿った。CBT小麦先物も同様に昨年6月から今年5月頃まで下落基調。また、米中古車販売価格の代表的指標のマンハイム指数も含めて、軒並み前年比では大幅マイナスで推移。来月以降は基準となる前年分の価格が下落していくことから、足元で需要の減退が見られない限りは、CPI上昇率が上振れしやすいだろう
米CPI上昇率・前年比のカラクリ〜原油・穀物は昨年6月まで値上り傾向
エルニーニョ現象とウクライナ情勢
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今春、世界的異常気象の原因となる「エルニーニョ現象」が発生。干ばつや豪雨等の頻発により食糧価格が高騰の兆し。砂糖やカカオ豆などの国際価格は歴史的高値圏にある。国連食糧農業機関(FAO)によればエルニーニョの影響はアセアンやインド、豪州、西アフリカなどで干ばつをもたらす懸念がある。アセアンでコメの国際指標となるタイ産米のバンコク輸出価格が2年4ヵ月ぶり高値だ。
ロシアが17日にウクライナなどとの黒海穀物合意の停止を決めたことも食料高懸念を高めている。同国は小麦輸出量で世界1位、ウクライナは5位だ。ウクライナは植物油原料の菜種の輸出大国であり、代替的植物油のパーム油価格高騰も懸念される。小麦と植物油の相場高騰は世界経済への影響も大きいだろう。
エルニーニョ現象とウクライナ情勢〜穀物価格高騰のインフレ圧力懸念
史上最高値更新のインドSENSEX
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インドの株価指数であるSENSEX終値は史上最高値を更新し7/20に6万7571まで値を伸ばした。人口や所得の増加を背景に企業の業績拡大が続くとの期待が投資マネーの流入に繋がっている。21年末を基準としても、7/21時点でブラジル・ボベスパ指数に次ぐ上昇率だ。先進国の金融引締め観測と対照的に、エルニーニョ現象によるインフレリスクが残るも、ブラジルの今年8月に続きインドも10-12月の利下げ観測が市場で台頭。
米国上場のインド株ADRを見ると大手銀行や後発医薬品会社の株価が堅調の一方、世界的にインドの強みとされるソフトウェア開発受託や情報通信技術(ICT)といったIT企業の株価は出遅れている。生成AI(人工知能)の需要増加がインドIT企業への追い風となるか注目されよう。
史上最高値更新のインドSENSEX〜ADRは銀行・医薬品高くIT関連出遅れ
ネットフリックス23年4-6月期決算
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米動画配信ネットフリックス(NFLX)が19日、2023年4-6月期決算を発表。有料会員数が3ヵ月で589万人増と市場予測を超える大幅増。広告付き低価格プラン導入に加え、同居していない人とのアカウント共有取り締まりに際して米国等で有料でアカウントをシェアする取り組みが奏功した。これに対し株価は時間外取引で一時10%下落。広告収入やパスワード共有への課金収入が市場の期待ほど売上高に繋がらなかったとの見方だ。
フリーキャッシュフローが前四半期に続いて高水準のほか営業利益率も前四半期比1.3ポイント上昇(22.3%)と好意的に評価されるべき面もあった。19日終値で年初来上昇率が62%に達していたことから、更なる上昇のための市場の期待値が上がり過ぎていた面もありそうだ。
ネットフリックス23年4-6月期決算〜会員数増と利益率堅調も株価は下落
ナスダック100「特別なリバランス」
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米ナスダック上場で金融を除く時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均により算出される「ナスダック100指数」が異例のリバランスを実施することとなった。今月24日に指数構成銘柄のウエイトが再配分された。
ナスダックの規定によれば、指数構成比率4.5%以上を占める大型株の影響力が合計で48%を超えた場合、ウエイトを減らすことができるとされている。7/12終値ではウエイト4.7%で6位(テスラ)までの累積ウエイトが55.6%に達した。昨年末の場合は、ウエイト6.5%で4位(アマゾン・ドット・コム)までの累積ウエイトは44.1%にとどまっていた。リバランスに伴い、対象となるウエイト上位の大型時価総額銘柄の売り需要の一方、その他の構成銘柄の買い需要も発生するとみられる。