“相場転換の兆し、オフィス系REITに注意、医療AI”
- S&P500指数は2022年1/4に過去最高値を付け、同年10/13に昨年来安値を付けた。掛かった日数は196日。ダウ工業株30種平均(ダウ平均)は同年1/5に過去最高値を付け、同年10/13に昨年来安値を付けた。掛かった日数は195日だ。それぞれ、昨年10/13から今年7/21までに掛かった日数は193日となる。FOMC(連邦公開市場委員会)の声明発表とパウエル議長記者会見の行われる26日はそれぞれ昨年来安値を付けた日から数えて196日目と、日柄面からは転換点に差し掛かってもおかしくない面があるだろう。
- 実際のところ、2023年4-6月期決算発表で電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)は販売台数が好調で増収増益も、利益率低下を嫌気して発表後に株価大幅下落。動画配信のネットフリックス(NFLX)も、会員数が市場予想を上回り、増収増益でも売上高が市場予想にとどかないとして株価大幅下落となった。市場の期待値が持続不可能なほどに上がっていることが窺われる。
- ナスダック100指数、その構成銘柄でウェート上位のアップル(AAPL)やテスラの日足終値について、14日間の値上がり幅(前日比)の合計を同じ期間の値上がり幅と値下がり幅の合計で割ったパーセンテージである「RSI(相対力指数)14日」を見ると、それぞれ直近で日足終値とRSI14日の動きが逆行する「ダイバージェンス」も観察され、相場が転換しやすい兆しも出ている。
- 情報サイトのEquity Clockによれば、S&P500指数の平均的な季節性について4月と7月が相対的にパフォーマンスが良いのに対し、その反動のせいなのか、それぞれの翌月である5月と8月は相対的にパフォーマンスが良くない傾向がある点も押さえておくべき点だろう。
- また、シンガポール上場の不動産投資信託(REIT)で米国オフィスに投資するマニュライフUSリアルエステート・インベストメント・トラスト(MUST)が保有物件の評価額について約15%減少したと発表したところ、負債のレバレッジ比率が当局の規制上限を超えてしまい、分配金を払えないだけでなく、REITが受けられるべき税制上の優遇措置も受けられなくなる懸念などから投資口価格が大幅に下落。テレワークの進展で米国オフィスの物件価値が下がることが思わぬ波紋を市場に及ぼすリスクには要注意だろう。
- 台湾積体電路製造(TSM)は20日の決算発表で、「生成AI(人工知能)普及に伴う需要は半導体市場全体の落ち込みを相殺するには十分ではない」と述べた。市場は期待を挫かれた格好となったが、AIブームは一過性のものではないだろう。医薬品業界における創薬のような、生成AI市場を遥かに凌ぐ大きな市場での活用が進んでいる。医療でのAI活用が注目されよう。(笹木)
- 7/25号では、ATI(ATI)、GE HealthCare Technologies(GEHC)、アルファベット(GOOGL)、ナイキ(NKE)、サノフィ(SNY)、バンガード・ヘルスケアETF(VHT)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
主要企業の決算発表予定
7月25日(火) | マイクロソフト、アルファベット、ウエイスト・マネジメント、チャブ、コスター・グループ、EQT、ビザ、テキサス・インスツルメンツ、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ、ラム・ウェストン・HD、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ニューコア、パルトグループ、GE HealthCare Technologies Inc、シャーウィン・ウィリアムズ、ベライゾン・コミュニケーションズ、コーニング、インベスコ、レイセオン・テクノロジーズ、パッカー、ドーバー、ムーディーズ、ダウ、3M、バイオジェン、MSCI、ネクステラ・エナジー、アラスカ・エア・グループ、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、NVR、エイブリィ・デニソン、ゼネラル・モーターズ(GM)、ダナハー、キンバリー・クラーク、パッケージング・コープ・オブ・アメリカ、ブラウン・アンド・ブラウン、NXPセミコンダクターズ、ケイデンス・デザイン・システムズ、F5、ワールプール、ドミノ・ピザ |
---|---|
7月26日(水) | モリーナ・ヘルスケア、アイデックス、サービスナウ、インビテーション・ホームズ、イーベイ、ラムリサーチ、アメリカン・ウォーター・ワークス、メタ・プラットフォームズ、UDR、エベレスト・グループ、テラダイン、ユナイテッド・レンタルズ、アメリプライズ・ファイナンシャル、ローリンズ、タイラー・テクノロジーズ、L3ハリス・テクノロジーズ、シーゲート・テクノロジー・HD、PTC、グローブライフ、エドワーズライフサイエンス、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル、オライリー・オートモーティブ、チポトレ・メキシカン・グリル、アーチ・キャピタル・グループ、アライン・テクノロジー、ユニオン・パシフィック、アンフェノール、CMEグループ、クエスト・ダイアグノスティクス、AT&T、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、フォーティブ、ヘス、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、コカ・コーラ、アレジオン、ヒルトン・ワールドワイド・HD、サーモフィッシャーサイエンティフィック、TEコネクティビティ、ボーイング、ゼネラル・ダイナミクス、ファイサーブ、オーチス・ワールドワイド、テレダイン・テクノロジーズ |
7月27日(木) | ジュニパーネットワークス、メトラー・トレド・インターナショナル、プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、KLA、ウェアーハウザー、エジソン・インターナショナル、インテル、シンシナティ・ファイナンシャル、デクスコム、アーサー・J・ギャラガー、モホーク・インダストリーズ、ファースト・ソーラー、ライブ・ネーション・エンタテインメント、エンフェーズ・エナジー、イーストマン・ケミカル、ベリサイン、モンデリーズ・インターナショナル、TモバイルUS、フォード・モーター、WWグレンジャー、S&Pグローバル、インターナショナル・ペーパー、サウスウエスト航空、LKQ、バレロ・エナジー、KRCインテリム、コムキャスト、HCAヘルスケア、バクスターインターナショナル、ラボラトリー・コープ・オブ・アメリカHldg、ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ・グルー、キューリグ・ドクターペッパー、マクドナルド、アメリカン・タワー、PG&E、ノーフォーク・サザン、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、ボストン・サイエンティフィック、マスコ、ノースロップ・グラマン、ハネウェルインターナショナル、テキストロン、センターポイント・エナジー、エクセル・エナジー、ブリストル マイヤーズ スクイブ、キャリア・グローバル、ハーシー、アッヴィ、マーチン・マリエッタ・マテリアルズ、マスターカード、ペンテア、トラクター・サプライ、CMSエナジー、ウエスト・ファーマシューティカル・サービシズ、アメリカン・エレクトリック・パワー、DTEエナジー、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、A.O.スミス、リンデ |
7月28日(金) | フランクリン・リソーシズ、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、シェブロン、チャーチ・アンド・ドワイト、チャーター・コミュニケーションズ、ティー・ロウ・プライス・グループ、ニューウェル・ブランズ、コルゲート・パルモリーブ、エクソンモービル、センティーン、エーオン、アストラゼネカ |
7月31日(月) | ダイヤモンドバック・エナジー、リパブリック・サービシズ、ホロジック、アリスタネットワークス、SBAコミュニケーションズ、エバーソース・エナジー、モノリシック・パワー・システムズ、ロウズ、オン・セミコンダクター |
主要イベントの予定
7月25日(火) |
|
---|---|
7月26日(水) |
|
7月27日(木) |
|
7月28日(金) |
|
7月31日(月) |
|
- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
ATI(ATI)市場:NYSE・・・2023/8/2に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
|
GEHealthCareTechnologies(GEHC)市場:NASDAQ・・・2023/7/25に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
|
アルファベット(GOOGL)市場:NASDAQ・・・2023/7/25に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
|
ナイキ(NKE)市場:NYSE・・・2023/9/29に2024/5期Q(6-8月)の決算発表を予定
|
サノフィ(SNY)市場:NASDAQ・・・2023/7/28に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
|
バンガード・ヘルスケアETF(VHT)市場:NYSEArca・・・分配金:年4回(3・6・9・12月)。
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
|
- (※)決算発表の予定は7/21現在であり、変更される可能性があります。