“「引締め最終局面?」、指数リバランス、BRICs会議”
- 金融引締めの「タカ派」色を強める米FRB(連邦準備制度理事会)とインフレ率鈍化を織り込もうとする株式市場の対決姿勢は、第1ラウンドの5月の個人消費支出(PCE)価格指数、第2ラウンドの6月の米雇用統計を経て、第3ラウンドとして6月の米消費者物価指数(CPI)でインフレ率鈍化が示されたことで株式市場優勢となった。市場は「金融引締めは最終局面、FOMC(連邦公開市場委員会)での0.25ポイント利上げを最後に引締めを停止」という見方を固めて動き出したかのように見受けられる。FRB関係者が金融政策に関する発言を自粛する「ブラックアウト期間」に入ったこともあり、FOMCまでは市場の見方を遮るものは出てきそうにない。その間には主要企業の4-6月期決算発表が相次ぐことから、短期的に堅調な相場展開が想定されよう。
- 物価やコストの指標を見る場合、特に前年同月比伸び率ではエネルギーや穀物相場が昨年6月までの急騰後に低下基調を辿ったことに注意が必要だろう。同伸び率は、1年前のベースが上昇すれば低く出やすい一方、同ベースが低下すれば高く出やすい面がある。その上、今年はエルニーニョ現象により既に穀物価格高騰の傾向が見られるほか、ロシアが17日、ウクライナ産穀物を黒海経由で輸出する手続きの「穀物合意」から離脱すると発表したこともあり、食糧価格高騰が懸念される。
- 米ナスダック上場で金融を除く時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均による「ナスダック100指数」が異例のリバランスを実施すると報じられた。指数構成比率4.5%以上を占める大型株の影響力が合計で48%を超えた場合、ウェートを減らすことができるとする規定に従うものだ。対象となる大型株がリバランスによる売り圧力を受ける可能性がある一方、他の構成銘柄は逆に恩恵を受ける可能性もある。14日終値でナスダック100構成銘柄の時価総額が小さい順に10社挙げると、ルーシッド・グループ(LCID)、シリウスXMホールディングス(SIRI)、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)、ゼットスケーラー(ZS)、エンフェーズ・エナジー(ENPH)、ダイヤモンド・バック・エナジー(FANG)、イーベイ(EBAY)、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)、アライン・テクノロジー(ALGN)、アンシス(ANSS)である。
- 8月22〜24日に南アフリカで開催予定の「BRICSプラス」年次首脳会議で加盟国が米ドルに対抗して金(ゴールド)を裏付けとした「金本位制」に基づく決済通貨の導入が審議される予定だ。どのような影響を金融市場にもたらすかは未知数も、中央銀行による金買いを期待させる材料にはなり得よう。イラン、アルゼンチン、サウジアラビアなど「グローバル・サウス」の新興国が相次いでBRICSへの加盟申請を行っており、軽視できない面もあろう。(笹木)
- 7/19号では、アライン・テクノロジー(ALGN)、シェニエール・エナジー(LNG)、ヴァンエック金鉱株ETF(GDX)、バリック・ゴールド(GOLD)、MPマテリアルズ(MP)、べリスク・アナリティクス(VRSK)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
主要企業の決算発表予定
7月18日(火) | JBハント・トランスポート・サービシズ、オムニコム・グループ、モルガン・スタンレー、チャールズ・シュワブ、プロロジス、ロッキード・マーチン、バンク・オブ・アメリカ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ、シンクロニー・ファイナンシャル |
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7月19日(水) | ZBナショナル・アソシエーション、IBM、スチール・ダイナミクス、クラウン・キャッスル、エキファックス、テスラ、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス、ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ、キンダー・モルガン、ラスベガス・サンズ、ネットフリックス、ゴールドマン・サックス・グループ、シチズンズ・フィナンシャル・グループ、ベーカー・ヒューズ、ナスダック、ハリバートン、USバンコープ、エレバンスヘルス、ASMLホールディング |
7月20日(木) | インテュイティブサージカル、WRバークレー、PPGインダストリーズ、CSX、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、キーコープ、DRホートン、トゥルイスト・ファイナンシャル、トラベラーズ、マーシュ・アンド・マクレナン、ニューモント、スナップオン、プール、フリーポート・マクモラン、ジェニュイン・パーツ、アボットラボラトリーズ、アメリカン航空グループ、フィリップ・モリス・インターナショナル、マーケットアクセス・ホールディングス、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、フィフス・サード・バンコープ |
7月21日(金) | コメリカ、リージョンズ・ファイナンシャル、ローパー・テクノロジーズ、ハンチントン・バンクシェアーズ(オハイオ州)、シュルンベルジェ、アメリカン・エキスプレス、インターパブリック・グループ |
7月24日(月) | ワールプール、アレクサンドリア・リアル・エステート・エクイティーズ、パッケージング・コープ・オブ・アメリカ、NXPセミコンダクターズ、ブラウン・アンド・ブラウン、ケイデンス・デザイン・システムズ、F5、ドミノ・ピザ |
主要イベントの予定
7月18日(火) |
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7月19日(水) |
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7月20日(木) |
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7月24日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アライン・テクノロジー(ALGN)市場:NASDAQ・・・2023/7/27に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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シェニエール・エナジー(LNG)市場:NYSE・・・2023/8/3に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ヴァンエック金鉱株ETF(GDX)市場:NYSEArca・・・分配金:年1回
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バリック・ゴールド(GOLD)市場:NYSE・・・2023/8/8に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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MPマテリアルズ(MP)市場:NYSE・・・2023/8/3に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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べリスク・アナリティクス(VRSK)市場:NASDAQ・・・2023/8/2に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は7/14現在であり、変更される可能性があります。