“相場変化の節目、視線の先は新興国と空”
- 6月最終週が到来した。12月決算が多い海外企業および運用会社にとっては上半期の中間決算の時期であり、年金による株式や債券などポートフォリオ配分におけるリバランスも想定される。特に米国株は株式運用の代表的なベンチマークとされるS&P500株価指数が時価総額加重平均の指数であることから、時価総額の大きい大型ハイテク株への資金シフトが進めば指数が上昇しやすい。これはナスダック総合指数やナスダック100指数も同様だ。
- 生成AI(人工知能)を材料としてエヌビディア(NVDA)を中心にマイクロソフト(MSFT)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)が買われ、バッテリー充電網の規格標準化進展を材料としてテスラ(TSLA)が買われたことは運用会社にとって好都合の面があった。ただ、度重なる米FRB(連邦準備制度理事会)による年内追加利上げ示唆を真に受けずに大型ハイテク株が買い上げらる面が見られたのは少し行き過ぎの面もあったように思われる。
- 21-22日のパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長による議会証言に加え、英イングランド銀行が22日に0.50%ポイントの大幅利上げを決定。欧米先進国で金融引き締め局面が続き、経済成長が年後半にも損なわれるとの懸念が一挙に高まったことで米国株相場の流れが反転の可能性もある。
- 他方、ブラジル中央銀行は21日の金融政策決定会合で政策金利を7会合連続で据え置いた。5月の消費者物価指数(CPI)上昇率が11ヵ月連続で鈍化し、中央銀行目標の上限(4.75%)を3ヵ月連続で下回ったことから、次回8月会合でも利下げの見方も出てきている。インフレ率減速による政策金利据え置きを継続しているインドやインドネシアを含め、国際的に存在感を増す「グローバルサウス」と呼ばれる新興国への資金シフトも予想される。引き続き、新興国のADR(米国預託証券)などへの積極スタンスが検討されようう。
- 主要米国株の中では航空機産業関連、特に航空機部品が有望だろう。米ボーイング(BA)と欧州エアバスは18日、今後20年間の航空機長期需要予測を発表し、昨年時点から上方修正。また、商用航空機の引渡しで世界の約2割を占めるとされている中国で、国有系航空機メーカーが開発した初めての国産中型ジェット旅客機「C919」が5/28、上海と北京を結ぶ便で商用旅行を開始。その中核部品・システムの約4割を海外企業が占め、ゼネラル・エレクトリック(GE)やハネウエル・インターナショナル(HON)、レイセオン・テクノロジーズ(RTX)といった米企業が名を連ねる。更にGEは22日、インド空軍の次期戦闘機に搭載するエンジンを製造することでインドの国営航空機メーカーと契約に調印と、中国とインドが航空機の主戦場になりそうだ。(笹木)
- 6/27号では、 CAE(CAE)、エンブラエル(ERJ)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、コーニング(GLW)、カーマックス(KMX)、レナー(LEN)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(6/23現在)
主要企業の決算発表予定
6月27日(火) | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス |
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6月28日(水) | マイクロン・テクノロジー、ゼネラル・ミルズ |
6月29日(木) | ナイキ、マコーミック、ペイチェックス |
6月30日(金) | コンステレーション・ブランズ |
主要イベントの予定
6月27日(火) |
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6月28日(水) |
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6月29日(木) |
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6月30日(金) |
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7月3日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
CAE(CAE) 市場:NYSE・・・2023/8/10に2024/3期1Q(4-6月)の決算発表を予定
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エンブラエル(ERJ) 市場:NYSE・・・2023/7/28に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ゼネラル・エレクトリック(GE) 市場:NYSE・・・2023/7/25に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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コーニング(GLW) 市場:NYSE・・・2023/7/26に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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カーマックス(KMX) 市場:NYSE・・・2023/9/28に2024/2期2Q(6-8月)の決算発表を予定
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レナー(LEN) 市場:NYSE・・・2023/9/21に2023/11期3Q(6-8月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は6/23現在であり、変更される可能性があります。