23年1月「銘柄ピックアップ」を振り返る
今年1月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から4/21終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、ゼネラル・エレクトリック(GE)、トランスダイム・グループ(TDG)、CAE(CAE)が航空部品・訓練関連である。次に、オン・セミコンダクター(ON)やアナログ・デバイセズ(ADI)といった半導体メーカーは、パワー半導体や自動運転、アナログ信号とデジタルデータの変換関連といったといった特徴がある。更に、モンゴDB(MDB)はChatGPTのような生成型AI(人工知能)における大規模言語モデルとの関連も注目されよう。
23年1月「銘柄ピックアップ」を振り返る〜航空部品・半導体・データベース
金融システム不安とMMF・金価格
米シカゴ連銀が算出する全米金融環境指数は、短期金融市場、債券市場、株式市場、シャドー・バンキングの金融環境を示す指数。サンプル期間の平均値をゼロ、標準偏差を1とし、正の値は金融市場が平均より引き締まり、負の値は緩和された状態であることを示す。直近では2/3の▲0.3676までマイナス拡大後に、3/24の▲0.2000までマイナス幅縮小と、平均値より引き締まりが進んだ。これに対し、米MMF(マネー・マーケット・ファンド)残高が2/10の4.80兆USDから4/14の5.27兆USDまで増加と、銀行預金からのシフトが窺われた。
CMX金先物価格は昨年11/3安値1オンス1615USDから上昇基調。金価格は金融環境指数のマイナス拡大・緩和進行時にも買われ、金融システム不安に伴う引き締まり進行時も買われていることになる。
金融システム不安とMMF・金価格〜シカゴ連銀の金融環境指数は緩和的
通貨高を背景に堅調な欧州株
構成銘柄に有力なエネルギー株や薬品株を擁する英FTSE100、およびユーロ圏の優良銘柄で構成されるユーロストック50は、S&P500に代表される米国株と比べて昨年来株価が相対的に堅調。英FTSE100はエネルギー価格上昇の恩恵を受けた一方で、ユーロストック50は昨年9月まではS&P500と連動していたものの、10月以降に大きくアウトパフォームした
背景には、ユーロドル相場のパリティ(1ユーロ1ドル)割れからの反転上昇がある。インフレ圧力が高水準の場合、通貨高がコスト高騰を和らげる面もあろう。金融システム不安から利上げ停止観測が出やすい米国に対し、ユーロ圏は金融引締め強化のタカ派観測が根強い。長期金利格差縮小に伴うユーロドル相場の強い展開とともに欧州株の堅調な推移が期待されよう。
通貨高を背景に堅調な欧州株〜英FTSE100とユーロストック50に注目
米住宅底入れ観測は本物か?
住宅市況は金利動向に敏感であることから景気動向に先行するとされる。米住宅建設大手レナー(LEN)の株価も決算発表後20日終値は昨年来安値の22年6月安値から約79%上昇。米住宅業界を取り巻く環境は、フレディマック住宅ローン30年実効金利が昨年10月の7%超えから低下も6%台で高止まり。新築一戸建て住宅販売価格は住宅ローン金利のピークアウトから下落も、新築一戸建て住宅販売件数の底入れから増加基調に転じるには力不足の面もみられる。
3月の住宅着工件数と建設許可件数は一戸建て住宅が前月比増も集合住宅の減少幅が大きく全体では共に減少。住宅メーカーにとっては在庫が抑制され、住宅価格下落圧力が高くないため市場の警戒ほど悪くないと見る余地もあろう。
米住宅底入れ観測は本物か?〜住宅ローン金利と融資基準厳格化が鍵
ファイザーのブロックバスター製品
大型新薬で世界での年間売上高が10億ドルを超える医薬品を一般に「ブロックバスター」と呼び、製薬企業の命運はブロックバスターを開発できるかどうかに掛かっている面は大きい。
ファイザー(PFE)は、新型コロナワクチン(コミナティ)と経口抗ウイルス薬(パクスロビド)の開発・販売の貢献により、21年以降に製薬企業で世界首位の売上高を誇る。同社はこれら2製品を含め10製品のブロックバスターを擁する。その中には同業他社との共同開発によるものに加えて企業買収で獲得した新薬も含まれる。ファイザーは新型コロナ関連上位2製品を除いた医薬品での成長が課題となるなか、2023年度は新型コロナワクチン大幅減収見通しを織り込んで予想PER(25日終値基準)は11倍台と割安水準。
ファイザーのブロックバスター製品〜10製品あり、武田薬品工業との比較
アリババ事業6分割でIPO目指す
アリババ集団(BABA)は3/28、市場競争力と企業価値向上のため同社を6事業グループ分割し各事業が独立経営を行う新組織体制に再編すると発表。6事業は、①中国(Taobao Tmall)コマース事業、②グローバル・コマース事業、③中国ローカルサービス事業、④物流に係るツァイニャオ・ネットワーク事業、⑤クラウド事業、Eデジタルメディアおよびエンターテインメント事業であり、中国コマース事業のみアリババ集団の完全子会社となるものの6事業グループはそれぞれCEOが着任してIPOを目指すとされる。
ツァイニャオ・ネットワーク事業は香港市場へのIPO準備を開始と報じられた。中国政府からの規制圧力緩和に加え、コングロマリット・ディスカウント解消によるグループ企業価値顕在化も期待される。