バークシャー・ハサウェイ増減株
ウォーレン・バフェット率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(BRK/B)が14日に米証券取引委員会(SEC)に届け出た12月末時点の保有株リストでは、7-9月にADR株式約41億USD購入していた半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造/TSMC(TSM)の約86%分を10-12月に売却していたと判明。半導体見通しの弱さよりも、米国や日本で工場建設に乗り出したことに伴う費用負担が嫌気された可能性もあろう。
バークシャーはテスラ(TSLA)等の銀行株も大幅に売却。エネルギー株保有は維持していることからインフレに伴う金利上昇見通しの中でも預貸利鞘悪化や景気鈍化による不良債権費用の増加などを見込んでいる可能性があろう。
バークシャー・ハサウェイ増減株〜半導体ファウンドリTSMCと銀行株を売り
テスラの業績堅調と株価推移
テスラ(TSLA)の10-12月決算は大幅値下げが奏功し納車台数が前年同期比44%増と伸びて売上高が同37%増、非GAAPの調整後EPSも同40%増と堅調に推移。イーロン・マスクCEOによれば今年1月も記録的な受注台数の模様だ。同社は自動車事業だけでなく、エネルギー生成・貯蔵事業が主のその他事業売上構成比が約12%を占める。バッテリー容量拡大のほかエネルギー貯蔵・サービス所、充電スタンド数、充電コネクター数等EV増加を支えるインフラ設備網を拡充。
株価は1/6安値101.81USDから反転上昇に転じるなか、2/9終値のRSI(相対力指数)14日間は「買われ過ぎ」ラインと言われる70%を超えて77.42%まで上昇。
テスラの業績堅調と株価推移〜エネルギー生成・貯蔵事業も成長Driver
メタ・プラットフォームズは復活か
メタ・プラットフォームズ(META)は、2/1の10-12月決算発表後に株価上昇。短編動画機能「リール」の人工知能(AI)改善でアップル(AAPL)のプライバシー方針変更への対応が奏功。ユーザー数および1ユーザー当たり平均収益が増加。それに加え、同社と競合する中国のTikTok利用を米国で禁じることを求める法案が米議会に提出されていることも同社への強い追い風となりそうだ。
同社は仮想空間「メタバース」への設備投資増強で22年7-9月以降の売上高総費用率が80%まで悪化。これに対し同社CEOは「23年は効率化の年になる」と述べてコスト抑制に努める姿勢に加えて400億ドル自社株買い枠拡大を示した。
メタ・プラットフォームズは復活か〜平均稼働ユーザー数と総費用率が鍵
半導体大手AMDとインテル比較
半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の10-12月決算は、データセンター部門が前年同期比42%増収、組込みシステム部門が同19%増収。PC向け等クライアント部門が同51%減収と落ち込んだのを吸収して売上増、非GAAPの調整後粗利益率も拡大。特にFPGA(製造後に構成設定できる集積回路)半導体大手ザイリンクス買収によりテスラなど電気自動車向け組込みシステムを伸ばすなど成長軌道に乗っている。
競合の半導体首位のインテル(INTC)の10-12月決算は、需要減退のPC向けなどクライアント・コンピューティング部門が同36%減収に加えデータセンター・AI部門もAMDに市場シェアを奪われて同33%減収。調整後粗利益率低下が加速。PC市場の回復待ちも時間を要するだろう。
半導体大手AMDとインテル比較〜AMDはザイリンクス買収から飛躍へ
鉄鋼株は昨年10月より世界で上昇
中国のゼロコロナ政策終了に伴う経済再開による鉄の需要回復期待を背景に、鉄鋼株価が世界的に上昇。世界的に金融引締め局面でハイテク株から低PER(株価収益率)など割安バリュー株に投資先を振り向ける動きも後押しになっている。また、価格交渉力を高めることで鉄鋼業界全体の利益率も向上している。
米・日・欧・中の代表的鉄鋼株の株価推移を見ると、昨年10月以降、米国のニューコア(NUE)の上昇が顕著だ。ニューコアは日本製鉄(5401)とアルセロール・ミタルが高炉中心であるのと異なり、高炉よりもCO2排出度合いが低い電炉で世界首位。また、ドル高一服で輸出採算向上も寄与していると考えられる。中国の宝山鋼鉄は中国の不動産開発の動向がリスク要因とみなされている可能性がある。
鉄鋼株は昨年10月より世界で上昇〜電炉世界最大手ニューコアが堅調
「アダニ問題」のインド株への影響
空売りの手法で知られる米投資会社ヒンデンブルグ・リサーチが1/24、インドの新興財閥アダニ・グループに関する調査報告書を発表しアダニが市場操作や不正会計をしていると告発。グループ会社の株価下落を受け、中核企業のアダニ・エンタープライズは2/1、予定していた2000億INR(ルピー)の公募増資を撤回すると発表。同グループはインド有数の民間インフラ企業で石油・ガス・港湾、空港や鉱山等幅広い業種に権益を持ち、モディ政権とも密接な関係があるとされる。
インド株全体の下落まで状況は悪化していないが、貿易赤字拡大で通貨安となりやすい点がインド経済の弱点だ。足元ではインフレ率伸び鈍化がみられるもののモディ政権の支持率が下がると直接投資の伸び鈍化に繋がる懸念があろう。