米利上げ見通しと長期金利動向
米主要企業のうちアップル(AAPL)とテスラ(TSLA)の過去1年間の日足終値(10/24まで)をみると、アップルは130-180USDのレンジ中心付近へ近づきつつある一方、テスラはやや右下がりボックス圏の下限近くを推移。相場では、一旦大きく振れた相場が平均値へ戻ろうとする傾向のことを「ミーン・リバージョン(平均回帰性)」といい、ボックス相場・レンジ相場においては有効な投資戦略とされる。
日次パフォーマンスの150%の投資成果追求の「DRXデイリー・アップル株ブル1.5倍ETF(AAPU)」と「DRXデイリー・テスラ株ブル1.5倍ETF(TSLL)」、および、日次パフォーマンスの反対の100%の投資成果追求の「DRXデイリー・アップル株ベア1倍ETF(AAPD)」と「DRXデイリー・テスラ株ベア1倍ETF(TSLS)」が注目されよう。
アップルとテスラの個別株ETF活用〜ミーン・リバージョン(平均回帰)狙い
石炭と原油先物・天然ガス先物
石炭価格は、発電用燃料に使う石炭(一般炭)で豪州に次ぐシェアのロシア産(21年で約3割)がウクライナ侵攻に伴う禁輸で供給が限られていること、および主に欧州の天然ガス不足で代替需要が高まりやすく、相対的に価格が下がりにくい傾向がある。国際指標の豪州産は9月中旬の過去最高値から高止まり状態だ。
欧州天然ガス先物は欧州で冬に向けて貯蔵が進んだこともあり、8月下旬から50%超下落。WTI原油先物はOPECプラスが11月の日量200万バレルの大幅減産決定もあり底入れの兆しがみられる。
石炭と原油先物・天然ガス先物〜石炭価格は相対的に下方硬直性あり
ウクライナ情勢と「FAANG2.0」
5月上旬、米銀バンク・オブ・アメリカが「米市場の主役が旧フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグルの「FAANG」から@燃料(F)、A航空・防衛(A)、B農業(A)、C原子力・再生可能エネルギー(N)、D貴金属・鉱物(G)に移行する」という内容のレポートを出した。
「ブルームバーグFAANG2.0価格リターン指数」は、米国株に限らずこれら5業種の世界的代表企業を構成銘柄としている。昨年末以降、昨年末を100とした相対株価は米S&P500株価指数との比較では上回っているものの、足元では100を下回っている。同様に上記@〜Dについて代表的な米国株の相対指数を比べると、@燃料(F)とA航空・宇宙(A)が堅調に推移。B〜Dは主にウクライナ情勢緊迫化が上昇を後押ししやすいだろう。
ウクライナ情勢と「FAANG2.0」〜燃料(F)と航空防衛(A)がFAANG2.0支え
米配当貴族銘柄と高配当利回り
「S&P500配当貴族指数」は、米S&P500指数構成銘柄のうち25年連続して増配している株式を対象とした均等加重型で、時価総額30億USD以上の優良大型株から構成されている。ただ、純利益に占める配当金の比率である「配当性向」および配当利回りを低く抑えることで連続増配年数を長くすることができるのではないかという見方も可能だろう。
S&P500配当貴族指数構成銘柄で連続増配年数が上位30位まで、かつ、配当利回り3%以上について22年度市場予想配当性向をみると、電動工具のスタンレー・ブラック・アンド・デッカー(SWK)を除き予想配当性向は80%台まで。スタンレー・ブラック・アンド・デッカーも非GAAP調整後利益の配当性向は58%。市場全体の下落による配当利回り上昇は投資好機となろう。
米配当貴族銘柄と高配当利回り〜高配当性向でも連続増配年数更新へ
ドル指数と米10年TIPSの上昇
ユーロ・円・ポンド・スイスフランなど複数主要国通貨に対する米ドル相場を指数化した「ドル指数」が20年ぶりの高値水準。これを週足終値・52週間の収益率で過去12年間見た場合、足元は2009年3月、2015年7月に次いで20%超えとなった。また、名目金利から期待インフレ率を引いた実質金利に相当する「物価連動国債利回り(TIPS)の10年物も、足元は2018年12月以来の1%超となり、その前の1%超えは2011年2月以前まで遡る。
15年7月近辺は米国株市場は概ね横ばいで推移し、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数も安定的に推移。一方、09年3月は「リーマンショック」後の株式相場下落時期でVIX指数も高水準だった。足元はドル指数の前年同月比と米10年TIPSの両方が揃っている点で要警戒だろう。
ドル指数と米10年TIPSの上昇〜両方揃うのは2008年リーマンショック以来
米長期金利とインフレ率の歪み
米FRBがインフレ抑制のタカ派方針を強めるなか、米長期金利は名目金利が期待インフレ率(ブレーク・イーブン・インフレ率)を上回って推移。過去7年間では、名目金利とBEIはおおむね同じ方向で動き、両者のスプレッド(格差)は拡大行き過ぎの後には縮小する傾向があった。その点では、直近の両者の乖離がどう縮小するのかが注目される。独10年国債も足元では両者が縮小し、格差がほぼゼロとなっている点も参考となろう。
3日発表の9月の米ISM製造業景況指数の内、支払い価格指数は51.7と前月比0.8ポイント低下。この支払い価格指数と米消費者物価指数(CPI)の前年同月比についても同様に、おおむね同じ方向で動く傾向があることから、将来的にはCPIが遅れて急低下の可能性もあろう。