“FOMC後のVIX指数と長期金利、スマホ生活必需品化”
- 27日発表の米FOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利のFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標上限が2.50%と、0.75ポイント引き上げられた。パウエルFRB議長は会見で「次回以降は会合ごとにしかガイダンスを提供せず、今後の指針をデータに委ねる」としつつ米国経済に軟化の兆候があることから、「CMEフェドウォッチ」による次回9月FOMCの政策金利市場予想は7/29時点で7割以上の確率で0.50%の引き上げにとどまり、年末時点の最多予想も3.25%と約1ヵ月前の3.75%の多数予想から大幅に低下。これを受けて米株式市場は大型ハイテク株を中心として買いの勢いを増していった。
- S&P500株価指数のオプション取引の値動きを基に算出し、株式市場に対する投資家の心理状態を表す「恐怖指数」と言われる「VIX指数」は7/29終値が21.3ポイントまで低下。今年のVIX指数・終値は、 ①1/3-1/14(13日を除く)まで、 ②2月9日、 ③3/28-4/4(31日を除く)の3度の局面で20ポイント割れの水準に達し、その都度S&P500は目先のピークを付けて反転下落を繰り返した。米国マンスリー2022年5月号(5月2日発行)の「米国株とVIX指数の動向」で述べた通り、「VIX指数が20ポイントを下回るまで株価は上昇。その後、VIX指数の30ポイント超までの上昇に伴って株価が下落。買いおよび売りのタイミングの目処としてVIX指数が注視されよう」ということだろう。
- 米10年国債利回りの7/29終値も2.6%台半ばと、FRBが中長期的にも中立的な政策金利と見做す2.50%に近い水準まで低下した。カシュカリ・ミネアポリス総裁が7/29、FOMC後の市場の反応について「市場の解釈に驚いた」と述べたように、来年早期の利下げまで織り込むのは、さすがに行き過ぎだろう。10年国債利回り2.50%も要警戒水準と言えよう。
- 22年4-6月期決算発表では、インフレ進行で消費者の財布の紐が益々固くなるなかでアップル(AAPL)の主力製品のiPhone関連は前年同期比3%増収を確保。「iPhoneの生活必需品化」または「強靭な不況抵抗力を擁するブランド」としての地位を確立したものして、景気後退リスク時の投資対象として魅力が高まったと言えるだろう。スマホの生活必需品化は「Andoroid」を通じてグーグルのアルファベット(GOOGL)にも恩恵をもたらそう。その分、食料品や日用雑貨など本来の意味での生活必需品を取り扱うディフェンシブ銘柄は可処分所得のシェアを奪われている可能性がある。7/25に、5月に続いて2度目の通期下方修正をしたウォルマート(WMT)、低価格のPB商品へのシフトの影響を受けて通期売上高の伸び鈍化見通しを発表したプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)はその煽りを受けている面もありそうだ。(笹木)
- 8/2号では、ボーイング(BA)、アルファベット(GOOGL)、クラフト・ハインツ(KHC)、コカ・コーラ(KO)、マクドナルド(MCD)、チャールズ・シュワブ(SCHW)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄の騰落率(7/29現在)
主要企業の決算発表予定
8月2日(火) | FMC、シーザーズ・エンターテインメント、ペイコム・ソフトウエア、エレクトロニック・アーツ、ギリアド・サイエンシズ、マイクロチップ・テクノロジー、スターバックス、エアビーアンドビー、ソーラーエッジテクノロジー、コテラ・エナジー、オキシデンタル・ペトロリアム、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、マッチ・グループ、ベリスク・アナリティクス、ステリス、エクストラ・スペース・ストレージ、アシュラント、プルデンシャル・ファイナンシャル、ペイパル・ホールディングス、イリノイ・ツール・ワークス、WECエナジー・グループ、S&Pグローバル、エクスペディターズInt'lオブワシントン、マラソン・ペトロリアム、センターポイント・エナジー、カミンズ、レイドスHD、インサイト、ガートナー、ゼブラ・テクノロジーズ、イートン、ヘンリー・シャイン、ウォーターズ、モルソン・クアーズ・ビバレッジ、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、シールド・エアー、アメテック、アイデックスラボラトリーズ、PSEG、ザイレム、ジンマー・バイオメット・HD、キャタピラー、デュポン・ド・ヌムール |
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8月3日(水) | ホスト・ホテル・アンド・リゾート、マラソン・オイル、マケッソン、リンカーン・ナショナル、APA、オールステート、アトモス・エナジー、アルベマール、フォーティネット、フリートコア・テクノロジーズ、セリディアンHCMホールディング、イーベイ、ルシード・グループ、メットライフ、ルーメン・テクノロジーズ、MGMリゾーツ・インターナショナル、アンシス、メルカドリブレ、DXCテクノロジー、クロロックス、ブッキングHD、コルボ、CVSヘルス、ヤム・ブランズ、ボルグワーナー、アメリソースバーゲン、モデルナ、ナイソース、ジェネラック・HD、CDW、PPL、チャールズリバー・ラボラトリーズIntl、トレイン・テクノロジーズ、ピナクル・ウエスト・キャピタル、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、エクセロン、エンタジー |
8月4日(木) | EOGリソーシズ、アメレン、リージェンシー・センターズ、ノートンライフロック、アムジェン、リパブリック・サービシズ、バーテックス・ファーマシューティカルズ、アライアント・エナジー、ベンタス、スカイワークス・ソリューションズ、エクスペディア・グループ、ライブ・ネーション・エンタテインメント、アトラシアン、コルテバ、AES、パブリック・ストレージ、モトローラ・ソリューションズ、ワーナーブラザース・ディスカバリー、ケロッグ、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、ゾエティス、パラマウント・グローバル、ボール、ウエストロック、コノコフィリップス、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、ペン・ナショナル・ゲーミング、バルカン・マテリアルズ、アイアンマウンテン、イーライリリー、オルガノン、デューク・エナジー、ジョンソンコントロールズインターナショナル、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、EPAMシステムズ、センプラ・エナジー、クアンタ・サービシーズ、NRGエナジー、アプティブ、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、アビオメッド、ハウメット・エアロスペース、バイオテクネ、エバジー、データドッグ、パーカー・ハネフィン、Constellation Energy Corp、ベクトン・ディッキンソン、シグナ、パーキンエルマー |
8月5日(金) | ウエスタンデジタル、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、トリンブル |
8月8日(月) | プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、ONEOK、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、ニューズ・コーポレーション、ビアトリス、タイソン・フーズ、ドミニオン・エナジー |
主要イベントの予定
8月2日(火) | 米シカゴ連銀総裁とセントルイス連銀総裁の講演、共和党全国委員会(RNC)夏季会合(シカゴ、5日まで)、中間選挙予備選(アリゾナ州、カンザス州、ミシガン州、ミズーリ州、ワシントン州)、自動車販売(7月)、求人件数(6月) |
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8月3日(水) | 「OPECプラス」閣僚級会合、米耐久財受注(6月)、ISM非製造業総合景況指数(7月)、S&Pグローバル米総合・サービス業PM・確定値I(7月) |
8月4日(木) | 米クリーブランド連銀総裁が講演、中間選挙予備選(テネシー州)、CPAC(保守政治行動会議)2022(テキサス州、7日まで)・トランプ前米大統領らが講演予定、新規失業保険申請件数 (7月30日終了週)、貿易収支 (6月) |
8月5日(金) | 米雇用統計(7月)、米消費者信用残高(6月) |
- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
ボーイング(BA)市場:NYSE・・・2022/10/27に2022/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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アルファベット(GOOGL)市場:NASDAQ・・・2022/10/26に2022/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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クラフト・ハインツ(KHC)市場:NYSE・・・2022/10/27に2022/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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コカ・コーラ(KO)市場:NYSE・・・2022/10/27に2022/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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マクドナルド(MCD)市場:NYSE・・・2022/10/27に2022/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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チャールズ・シュワブ(SCHW)市場:NYSE・・・2022/10/14に2022/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は7/29現在であり、変更される可能性があります。