“アーク・イノベーションETF銘柄とバフェット銘柄”
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12月を会計年度末とする企業や機関にとって7月の月初は下半期入りの節目の時期に当たる。そこで相場の潮目も変化し始めたのだろうか。
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ブルームバーグによると、米国の著名投資家キャシー・ウッド氏が運用する運用資産約92億ドルの旗艦ファンド「アーク・イノベーションETF(ARKK)」への今月1日の資金流入額が3億2300万ドルと、5月以来最大となった。同ファンドは、「破壊的イノベーション」関連企業の株式銘柄への投資に特化するとしており、利上げが逆風となりやすいグロース銘柄への集中投資のため、年初来で約50%の下落となった。ウッド氏の主張によれば、米金融当局は既に「スイッチをインフレからデフレに切り替えている」とのことだ。
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7/8時点の同ETF組み入れ上位10銘柄は以下の通り。①ビデオ会議アプリのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)、②電気自動車のテスラ(TSLA)、③動画配信向け家電製品のロク(ROKU)、④バイオテクノロジーのCRISPRセラピューティクス(CRSP)、⑤遠隔診療のテラドック・ヘルス(TDOC)、⑥RPA(ロボティック・プロセス自動化)のユーアイパス(PATH)、⑦がん検出剤のイグザクト・サイエンシズ(EXAS)、⑧バイオテクノロジーのインテリア・セラピューティクス(NTLA)、⑨モバイル決済のブロック(SQ)、⑩暗号資産売買プラットフォームのコインベース・グローバル(COIN)である。
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インフレの心配が薄れればこれらの銘柄の出番も自ずと到来すると考えられる。13日に6月の米消費者物価指数(CPI)の発表があり、15日に消費者による将来の期待インフレ率を示す7月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)も発表される。8日発表の6月の雇用統計では、平均時給が前年同月比5.1%上昇と伸び率が市場予想を上回るなどインフレ減速の手がかりを得るまでには至らなかった。クリーブランド連銀公表のCPI前年同月比リアルタイム推計値である「CPIナウ」では、エネルギーと食料品を除いたコアCPIおよびコアPCE(個人消費支出)が6/30以降に伸び率減速の兆しを示しつつある
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上記ETFと対照的なのが、先週述べたウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK/B)の割安株中心の保有株式ポートフォリオだろう。この「バフェット銘柄」の中にも、マルチクラウド対応データベース基盤のスノーフレーク(SNOW)や南米でデジタル銀行プラットフォームのヌー・ホールディングス(NU)のようなグロース銘柄が含まれていることは注目されよう。今回の「銘柄ピックアップ」では、メタ・プラットフォームズ(META)を除き、「バフェット銘柄」の中でも今年1-3月で新規に買い付けたか、または買い増しした銘柄を掲載している。(笹木)
- 7/12号では、アライ・フィナンシャル(ALLY)、セラニーズ(CE)、マケッソン(MCK)、メタ・プラットフォームズ(META)、マーケル(MKL)、RH(RH)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄の騰落率(7/8現在)
主要企業の決算発表予定
7月12日(火) | ペプシコ |
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7月13日(水) | ファスナル、デルタ航空 |
7月14日(木) | モルガン・スタンレー、コナグラ・ブランズ、シンタス、ファースト・リパブリック・バンク、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー |
7月15日(金) | シティグループ、ステート・ストリート、ユナイテッドヘルス・グループ、ウェルズ・ファーゴ、プログレッシブ・コープ、USバンコープ、ブラックロック、PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン |
7月18日(月) | IBM、ゴールドマン・サックス・グループ、プロロジス、バンク・オブ・アメリカ、シンクロニー・ファイナンシャル |
主要イベントの予定
7月12日(火) |
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7月13日(水) |
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7月14日(木) |
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7月15日(金) |
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7月18日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
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(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は7/8現在であり、変更される可能性があります。