“「FAANG2.0」該当銘柄と「ブレトンウッズ3.0」”
- ロシアのウクライナ侵攻長期化が避けられそうもない見通しのなか、5月上旬に米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BAC)が出した顧客向けレポートが注目度を増している。それは、米国市場の主役が旧Facebookのメタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アップル(AAPL)、ネットフリックス(NFLX)、Googleのアルファベット(GOOGL)の主要ハイテク企業を表す「FAANG」から、①燃料(Fuels)、②航空・防衛(Aerospace & defence)、③農業(Agriculture)、④原子力・再生可能エネルギー(Nuclear and renewable energy)、⑤金および非鉄金属・貴金属(Gold and other base & precious metals)を意味する「FAANG2.0」に交代するという内容のものだ。
- この「FAANG2.0」の考え方を指数化したものとして「ブルームバーグFAANG2.0価格リターン指数」がある。6/10現在で構成銘柄が49銘柄であり、これら5つの各分野ごとに20%のウェートが割り振られ、その中で個別銘柄が分野毎に時価総額に応じてウェート付けされるという内容だ。構成銘柄に含まれる米国上場の北米企業を見ると以下の通りだ。
- ①「燃料」では、エクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)、コノコフィリップス(COP)、EOGリソーシズ(EOG)などが入っている。②「航空・防衛」は、レイセオン・テクノロジーズ(RTX)、ロッキード・マーチン(LMT)、ボーイング(BA)、ノースロップ・グラマン(NOC)、ゼネラル・ダイナミクス(GD)、L3ハリス・テクノロジーズ(LHX)などを含む。③「農業」は、ディア(DE)、ニュートリエン(NTR)、モザイク(MOS)など農機や肥料関連が該当する。④「原子力・再生可能エネルギー」は、ソーラーエッジテクノロジー(SEDG)やプラグ・パワー(PLUG)が名を連ねる。⑤「金および非鉄金属・貴金属」には、ニューモント(NEM)、バリック・ゴールド(GOLD)、テック・リソーシズ(TECK)などがある。
- クレディ・スイスの短期金利ストラテジストのゾルタン・ポズダー氏は、ロシアへのエネルギー禁輸などの経済制裁強化の中で、ドル資産差し押さえを危惧する国が原油や金などのコモディティを裏付けとした通貨をドルに代わる代替資産として求めるようになるという「ブレトンウッズ3.0」の考え方を提唱している。金と交換可能なドルを軸にした第2次大戦後の「ブレトンウッズ体制」に続き、1971年ニクソン・ショックでドルと金との交換が停止されて以降のドル基軸通貨体制が「ブレトンウッズ2.0」という位置づけだ。時代の大きな構造変化の中で「ブレトンウッズ3.0」と「FAANG2.0」とを関連付けて投資の指針とすることは有益な面もあるだろう。今週の「銘柄ピックアップ」の内5銘柄は「ブルームバーグFAANG2.0価格リターン指数」の構成銘柄とした。(笹木)
- 6/14号では、CFインダストリーズ・ホールディングス(CF)、エンブリッジ(ENB)、エンフェーズ・エナジー(ENPH)、フリーポート・マクモラン(FCX)、トランスダイム・グループ(TDG)およびタペストリー(TPR)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄の騰落率(6/10現在)
主要企業の決算発表予定
6月16日(木) | アドビ、クロ―ガー |
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主要イベントの予定
6月14日(火) |
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6月15日(水) |
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6月16日(木) |
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6月17日(金) |
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6月20日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
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(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は6/10現在であり、変更される可能性があります。