“タカ派、ディフェンシブ、ハイテク・半導体のバリュー化”
- 「ハト派」として知られた米ブレイナードFRB理事が4/5、系統的な利上げとFRBバランスシートの急速な縮小に言及したことに続き、6日公表の3/15-16のFOMC議事要旨で、FRBが約9兆ドルの保有資産を最大月950億ドル圧縮する案で「おおむね合意」していたことが明らかとなり、市場を驚かせた。
- インフレ退治に向けたFRBの「超タカ派」方針が示されたことを受け、米10年国債利回りが8日末、2.7%を超える水準まで上昇。景気後退の兆候として市場が注目する10年と2年の国債利回り較差は、0.2%近くの「順イールド」となって景気後退懸念が一旦遠のいたものの、他方、名目利回りとインフレ連動債利回りの較差で実質金利を意味するTIPSの10年物利回りがマイナス0.15%とマイナス幅が縮小。過去2年間で10年物TIPS利回り(終値)が最低(マイナス幅が最大)だった昨年11月中旬と比較してマイナス幅が1%以上縮小した。実質金利のマイナス幅拡大は、負債を梃子に成長を目指すグロース銘柄に有利とみられるなか、最近の10年物TIPS利回り上昇(マイナス幅縮小)に伴い、高PERグロース銘柄を中心に構成されるナスダック総合指数も昨年11月の史上最高値圏16,000ポイント近辺から下落基調で推移している。
- 更に、FRBのタカ派スタンスでの金融引締めが景気の急激な悪化を招く懸念から景気敏感株と消費関連株への物色も遠のきやすいなか、業績が景気変動に左右されにくい物色対象として、医薬品・医療機器などヘルスケアや生活必需品関連小売りといった「ディフェンシブ」、および原材料・物資の仕入れを伴わずデジタル化需要の恩恵を受けやすい「大型ハイテクIT」が注目される。その内、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)といった巨大時価総額の大型ハイテクIT銘柄は、2020年3月以降のFRBによるバランスシート拡大による過剰流動性の恩恵を受けた面が大きく、その縮小による反動には要注意だろう。
- ディフェンシブ銘柄の中では、経済再開に向けた「最後のピース」とも位置付けられる新型コロナ飲み薬に係るファイザー(PFE)とメルク(MRK)、新型コロナ以外の感染症や癌にも普及し始めた自宅用検査キットに係る銘柄、更に、持続血糖モニタリング機器と共に、インスリンポンプの自動注入技術の進展が著しい糖尿病関連が注目される。また、金利上昇により高PERのグロース銘柄として一律に売られやすいハイテクITや半導体関連には、予想PERや配当利回りで割安感を強め、バリュー銘柄として存在感を高めつつある銘柄も見受けられる。ハイブリッドクラウドやマルチクラウドといったクラウド関連、およびテレワークとオフィスのハイブリッド勤務の恩恵を受けやすいハイテク銘柄で低PER・高配当利回りの場合に投資機会を見い出せよう。(笹木)
- 4/12号ではアボットラボラトリーズ(ABT)、オートゾーン(AZO)、HP(HPQ)、KLA(KLAC)、メドトロニック(MDT)、クアルコム(QCOM)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(4/8現在)
主要企業の決算発表予定
4月12日(火) | カーマックス |
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4月13日(水) | ファスナル、ファースト・リパブリック・バンク、デルタ航空、ブラックロック、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー |
4月14日(木) | PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ、プログレッシブ・コープ、ユナイテッドヘルス・グループ、USバンコープ、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、シティグループ、ステート・ストリート |
4月18日(月) | シンクロニー・ファイナンシャル、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、バンク・オブ・アメリカ、チャールズ・シュワブ、JBハント・トランスポート・サービシズ |
主要イベントの予定
4月12日(火) |
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4月13日(水) |
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4月14日(木) |
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4月15日(金) |
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4月18日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
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(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は4/8現在であり、変更される可能性があります。