“ブラックロックの株主宛て手紙、テスラ台数、穀物需給”
- 資産運用会社ブラックロック(BLK)のラリー・フィンクCEOが3/24、株主宛ての手紙の中で、以下の3点を記している。第1に、ロシアのウクライナ侵攻がグローバリゼーションに終止符を打った点。「脱グローバル化」は、前トランプ政権の時の米中経済摩擦および2018年10月のペンス前副大統領による中国批判の演説の時から始まっていた側面もあるものの、ロシアとの経済戦争に突入することで決定的となったと言えるだろう。第2に、各国がエネルギーの脱ロシア依存を模索するなかで、温暖化ガス削減に向けた取り組みが短期的に軌道修正を余儀なくされるが、長期的には今回のエネルギー危機が再生可能エネルギーへのシフトを加速するとした点。第3に、国際決済システムのSWIFTからの排除といったロシアへの経済制裁を踏まえ、各国で従来の通貨に依存することを再考する動きが加速し、デジタル通貨の役割が拡大する可能性に言及した点である。
- 銘柄選定の観点では、「脱グローバル化」によるロシア・中国からの米国への生産シフト、短期的な石油・エネルギー関連銘柄の復活と中長期での再生可能エネルギー関連銘柄へのシフト、およびフィンテック企業への再注目といった点が示唆されよう。暗号資産を含むデジタル通貨は、仮想空間のメタバース上では法定通貨を上回る主要な役割を担う可能性が高いだろう。
- 電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)が4/2発表した2022年1-3月のEVの世界販売台数は前年同期比68%増の31万48台、生産台数が同69%増の30万5407台と伸びたものの、中国・上海市が3月下旬に都市封鎖に踏み切ったことから同市郊外のEV工場の操業を一時停止したことが響き、前四半期比では販売台数が0.5%増、生産台数が0.1%減にとどまった。22年1-2月ではテスラの販売台数に占める中国の割合が52%に上ることから中国の新型コロナ動向が短期的に株価の重しとなりやすいものの、今年3月に独ベルリンのギガファクトリー稼働などにより中国への依存度の低下が期待されよう。
- 米農務省が3/31に発表した農家の作付け意向調査によると、2022年のトウモロコシの作付面積が前年比4%減の見通しの一方、大豆が同4%増の見通し。肥料価格高騰で肥料を多く使うトウモロコシの作付けを減らし、肥料が少なくて済む大豆を増やす農家が増えた模様だ。トウモロコシは世界輸出の14%を占めるウクライナからの輸出が止まり、かつ米農家の作付面積が減少すれば相場が高騰する可能性が高いだろう。また、小麦の作付面積は同1%増にとどまるものの四半期在庫が同22%減と2008年以来の低水準となった。作付面積の増加ペースが鈍いと需給逼迫が進むと想定されよう。(笹木)
- 4/5号では、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ(APD)、コルテバ(CTVA)、セレンス(CRNC)、インチュイト(INTU)、ニュートリエン(NTR)、タンデム・ダイアベティス・ケア(TNDM)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(4/1現在)
主要企業の決算発表予定
4月7日(木) | ラム・ウェストン・ホールディングス、コナグラ・ブランズ、コンステレーション・ブランズ |
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主要イベントの予定
4月5日(火) |
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4月6日(水) |
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4月7日(木) |
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4月8日(金) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
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(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は4/1現在であり、変更される可能性があります。