世界経済の全般的な商品価格動向とインフレを示す先行指標とされる「S&P GSCIトータルリターン指数」は、2002年頃からリーマンショック前の08年前半に上昇。その後は20年4月まで長期低落傾向を辿った後に反転上昇。一方で、米国株相場との比較で同指数をS&P500指数で割った倍率は反転上昇を示しておらず、対株式でのコモディティ価格の歴史的な割安水準は放置されたままである。インフレ見通しの局面下では、コモディティ相場が株式相場を主導していく可能性が高まりつつあるのかも知れない。
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コモディティの対株式での割安度〜2002年から08年前半類似の展開も
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米供給管理協会(ISM)が1/4に発表した12月の製造業景気指数は前月比2.4ポイント低下の58.7と、昨年1月以来の低水準となった。一方で、価格指数が同14.2ポイント低下の68.2、入荷遅延指数が同7.3ポイント低下の64.9とインフレ懸念の主要因となっている供給制約が和らいでいる兆候が示された。雇用指数は同0.9ポイント上昇の54.2と堅調に推移。
他方、1/4発表の11月の米労働省雇用動態調査(JOLTS)では、求人件数が過去最高近辺にとどまるなかで自発的離職者数が過去最高を記録するなど、労働者が給与やテレワークなどより良い条件を求めて強気で転職活動を行う一方、雇用者が人材引き留めに苦慮していることが示された。賃金上昇を通じたインフレ圧力は依然として高いと言えよう。
米ISM製造業景況指数とJOLTS〜供給制約は緩和傾向だが、雇用は強含む
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メキシコペソは対円で堅調に推移。日足終値は今年1/4に昨年4/24に付けた過去4年内安値から約32%上昇。同期間のドル円値上がり率(約8%)を大きく上回った。メキシコは米国に近い恵まれた立地にあることから毎年多くの海外からの直接投資があり、年間約400万台に迫る自動車生産国として世界各国の大手自動車メーカーが大型拠点を構えている。2020年輸出品目では自動車・同部品が約30%を占めるほか、同年の輸出相手国は米国が8割以上を占めている。
米金融政策正常化による新興国通貨下落懸念が囁かれるなか、メキシコ中銀は既に昨年6月以降5会合連続で合計1.5%の利上げを実施。10年国債利回りがCPI上昇率を上回り実質金利プラスであることから影響は限定的とみられよう。
米国経済の恩恵を受けるメキシコ〜自動車・電機の対米国輸出の動向
利上げ局面の米4大商業銀行〜純金利マージンと効率性レシオがポイント
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エヌビディア(NVDA)は、リアルタイム画像処理に特化したGPUに強みを有する。元々は収益のブレが大きいゲーム関連事業を柱としていたが、AI(人工知能)と機械学習が重視され始めた2019年頃からデータセンター部門が急拡大し、増収と粗利益率上昇の好循環で業績が推移。イスラエル半導体設計会社メラノックスの買収もその流れを後押しした。
同社は、半導体大手インテル(INTC)の牙城とも言えるCPUの開発に注力中。低消費電力技術を擁する英半導体設計アーム買収が承認されれば優位に立とう。また、オートモーティブ部門は昨年11月に自動運転プラットフォームをリリースした。自動運転でもインテル傘下モービルアイとの競争が想定されるなか、同部門の成長可能性は大きいと言えよう。
エヌビディア快進撃の持続性〜粗利益率上昇の鍵は車の自動運転か?
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コンピュータにおける演算や制御等の機能を1枚の半導体チップに集積し、コンピュータの心臓部であるCPUとして用いられるマイクロプロセッサでは、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)がインテル(INTC)を激しく追い上げている。
2021年7-9月決算では、AMDは売上高が前年同期比54%増となり、粗利益率が48%に達した。クライアントPC、サーバ用CPU、グラフィクス、ゲームコンソール等全ての製品領域で増収。一方で、インテルは売上高が同5%増にとどまり、業績を牽引する成長事業が見当たらない状況だが、2021年初よりCEOに就任したゲルシンガー氏の下、半導体受託製造への本格参入を打ち出した。米国での半導体支援を促すために520億ドルを投じる半導体支援法案の成立が待たれる。
米半導体大手のAMDとインテル〜AMDのインテル追撃は続くのか?
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