“中国恒大集団問題から米連邦債務上限問題へ”
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モルガン・スタンレーが9/7、10月末までに経済成長に「特大のリスク」があることを理由に挙げて米国株の投資判断を「アンダーウェイト」に、世界株式を「イコールウェイト」に引き下げた。その矢先、過剰債務と資金繰り不安に揺れる中国不動産大手の中国恒大集団の経営の先行き懸念が一段と深まり、9/20の米国株はNYダウ平均株価が前週末比614ドル安と大幅に下落。投資家心理を測る指標とされて「恐怖指数」と呼ばれるVIXは28%台と約7ヵ月ぶりの高値に上昇した。
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同集団への懸念は今に始まった話ではない。9/16に同社傘下の企業の社債取引が停止された時点から急展開してきた面はあるものの、中国政府はデータ保護の観点からのネット企業への規制に始まり、高すぎる教育費に歯止めをかけるための学習塾・家庭教師への規制、オンラインゲームやマカオカジノへの規制など、幅広い産業統制を打ち出していた。その中に、高騰する不動産価格の抑制も折に触れて問題として挙げられ、同集団の過剰債務が不動産価格の高騰を煽っているものとして中国政府から目を付けられていた面がみられる。その意味では、同集団の債務不履行・デフォルト懸念は中国政府のコントロールの下である程度は想定されているものと見る余地があり、過剰に恐れるべきものではないだろう。
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それでも、同集団が発行した社債やCP(コマーシャルペーパー)を保有する投資家や債権者の資産に穴が開くことは避けられないだろう。そうなると、その損失穴埋めのために他の保有資産を売却するので幅広いアセットの価格が下落圧力に晒される可能性、あるいは今年3月に発生した「アルケゴス騒動」のように高いレバレッジをかけた投資家が追証を払えずに金融機関や投資銀行に損失が飛び火する可能性は残るかもしれない。
- また、デフォルトリスクへの意識の高まりが米連邦債務上限の引き上げ問題に波及するリスクにも要注意だろう。イエレン財務長官は議会に対して繰り返し連邦債務上限の引き上げか適用一時中止を要請。さもなければ上限突破を回避するための政府資金は10月のいずれかの時点で尽きて「経済的大惨事」を招くとした。これに対し、マコネル共和党上院院内総務はイエレン財務長官の要請を拒否している。今は然るべき時機を待ちつつ、銘柄をじっくりと選別する時期なのかもしれない。(笹木)
- 9/22号では、ホロジック(HOLX)、 NXPセミコンダクターズ(NXPI)、 ペガシステムズ(PEGA)、 ソテラ・ヘルス(SHC)、 クアルトリクス・インターナショナル(XM)、 ゼンデスク(ZEN) を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(9/17現在)
主要企業の決算発表予定
9月22日(水) | ゼネラル・ミルズ |
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9月23日(木) | 携程旅行網[トリップドットコムグループ]、コストコホールセール、ナイキ、アクセンチュア、ダーデン・レストランツ |
主要イベントの予定
9月22日(水) |
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9月23日(木) |
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9月24日(金) |
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9月25日(土) |
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9月27日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
ホロジック(HOLX)市場:NASDAQ・・・2021/11/4に2021/9期4Q(7-9月)の決算発表を予定
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NXPセミコンダクターズ(NXPI)市場:NASDAQ・・・2021/10/26に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ペガシステムズ(PEGA)市場:NASDAQ・・・2021/10/28に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ソテラ・ヘルス(SHC)市場:NASDAQ・・・2021/11/3に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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クアルトリクス・インターナショナル(XM)市場:NASDAQ・・・2021/11/10に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ゼンデスク(ZEN)市場:NYSE・・・2021/10/29に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は9/17現在であり、変更される可能性があります。