“ロビンフッド上場〜その周辺の金融関連にもチャンス”
- 7/29、米国で人気の株式取引アプリを運営するロビンフッド・マーケッツ(HOOD)がナスダック市場に新規上場。初値は公開価格を8.4%下回ったものの、7/30終値での時価総額は293億ドルに上った。同社は手数料完全ゼロで若者層の支持を受け、今年3月末で残あり口座数が前四半期末比44%増の1,800万口座、保護預り残高が同28.5%増の809.32億ドルと急成長。また、今年1-3月では月間稼働ユーザー数が前四半期比51%増の1,770万人、1ユーザー当たり平均収入が同26%増の137ドルと伸びた。
- 一方で、ユーザーに誤解を与えたり、投資家の大群がビデオ販売のゲームストップ(GME)など、SNSやネット掲示板を通じた情報拡散で短期間で急激に株価が上昇した銘柄を意味する「ミーム銘柄」に関して一部銘柄の取引制限したことで不利益をもたらしたとして金融取引業規制機構(FINRA)に7,000万ドルの制裁金を支払うことで合意するなど、不測の事態が発生するリスクも抱えている。
- 同銘柄の2021年1-3月期は、売上高が前年同期比4.1倍の5.22億ドル、内、トランザクション(執行)収入が同4.4倍の4.20億ドルで、総収益に占める比率が約80%を占める。ユーザーからの手数料収入はゼロだが、売買注文を執行するためにルーティングするマーケットメーカーから徴収する手数料が主な収益源であることがわかる。マーケットメーカーは買値と売値のスプレッドを設定していると想定されることから、売買手数料の代わりに同スプレッドによる負担がユーザーに課されていると見るべきだろう。
- 一方で、富裕層ビジネスで多額の管理費用や成功報酬の手数料を徴収する従来型の資産運用ビジネスは顧客に高コストを課すもので、一見するとロビンフッドの事業モデルとは対極にあるように見える。しかし、MSCI(MSCI)のような金融情報サービス会社が開発・設定するインデックスをベンチマークとして、それを上回る成果を挙げることにより、富裕層向け資産運用ビジネスにおいて手数料や管理費用が正当化される面もある。
- また、今年1-3月のロビンフッドのトランザクション収入に対するアセット別の構成比では、オプションが47%、株式が31%、仮想通貨(暗号資産)が21%となっている。特に仮想通貨は前年同期比で約21倍と急拡大。仮想通貨の上昇局面ではロビンフッドは買われやすい銘柄になるとみられる。更に、CBOEやCMEグループ(CME)のようにオプションを取り扱う取引所もロビンフッドの取引増加により恩恵を受ける面があろう。(笹木)
- 8/3号では、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)、アルベマール(ALB)、CMEグループ(CME)、ディア(DE)、MSCI(MSCI)、ロックウェル・オートメーション(ROK)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(7/30現在)
主要企業の決算発表予定
8月3日(火) | アカマイ・テクノロジーズ、FMC、デボン・エナジー、マイクロチップ・テクノロジー、ペイコム・ソフトウエア、マッチ・グループ、パブリック・ストレージ、プルデンシャル・ファイナンシャル、オキシデンタル・ペトロリアム、ONEOK、アクティビジョン・ブリザード、ベリスク・アナリティクス、アシュラント、ホスト・ホテル・アンド・リゾート、シーザーズ・エンターテインメント、ダビータ、ライブ・ネーション・エンタテインメント、アムジェン、ユナム・グループ、フランクリン・リソーシズ、ラルフローレン、エクスペディターズInt'lオブワシントン、シールド・エアー、アメテック、デュポン・ド・ヌムール、ジェイコブズ・エンジニアリング・グループ、イートン、IPGフォトニクス、ディスカバリー、ヘンリーシャイン、ガートナー、ウォーターズ、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、レイドスHD、L3ハリス・テクノロジーズ、インサイト、ウィリス・タワーズ・ワトソン、クロロックス、コノコフィリップス、カミンズ、イーライリリー、マリオット・インターナショナル、ゼブラ・テクノロジーズ、フィリップス66、WECエナジー・グループ、PSEG、ザイレム、アンダーアーマー、ジンマー・バイオメット・HD |
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8月4日(水) | リンカーン・ナショナル、EOGリソーシズ、APA Corp、ウエスタンデジタル、エレクトロニック・アーツ、エッツィ、MGMリゾーツ・インターナショナル、ルーメン・テクノロジーズ、アトモス・エナジー、マラソン・オイル、メットライフ、マケッソン、アンシス、アルベマール、フリートコア・テクノロジーズ、ウィン・リゾーツ、DXCテクノロジー、オールステート、ブッキング・HD、コルボ、フォックス、ウエスタンユニオン、ゼネラル・モーターズ(GM)、CVSヘルス、アメリソースバーゲン、マラソン・ペトロリアム、チャールズリバー・ラボラトリーズIntl、クラフト・ハインツ、ボルグワーナー、エクセロン、エマソン・エレクトリック、トレイン・テクノロジーズ、ハウメット・エアロスペース、トリンブル、バルカン・マテリアルズ、CDW、ナイソース、エンタジー、ロイヤル・カリビアン・クルーズ |
8月5日(木) | リージェンシー・センターズ、アメレン、アライアント・エナジー、イルミナ、レスメド、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、モトローラ・ソリューションズ、エクスペディア・グループ、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、ニューズ・コーポレーション、ケロッグ、センターポイント・エナジー、カーディナルヘルス、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、ボール、ペン・ナショナル・ゲーミング、ゾエティス、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、ピナクル・ウエスト・キャピタル、バイアコムCBS、アイアンマウンテン、モデルナ、PPL、センプラ・エナジー、デューク・エナジー、アプティブ、アビオメッド、エバジー、デンツプライ・シロナ、AES、ヘインズブランズ、NRGエナジー、クアンタ・サービシーズ、ウエストロック、パーカー・ハネフィン、シグナ、ベクトン・ディッキンソン |
8月6日(金) | ドミニオン・エナジー、ノルウェージャンクルーズライン・HD、ベンタス、Corteva Inc、バークシャー・ハサウェイ |
8月9日(月) | CFインダストリーズ・HD、ステリス、タイソン・フーズ、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、Viatris |
8月10日(火) | シスコ |
主要イベントの予定
8月3日(火) |
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8月4日(水) |
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8月5日(木) |
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8月6日(金) |
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8月9日(月) |
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8月10日(火) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)市場:NYSE・・・2021/10/29に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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アルベマール(ALB)市場:NYSE・・・2021/8/4に2021/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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CMEグループ(CME)市場:NASDAQ・・・2021/10/28に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ディア(DE)市場:NYSE・・・2021/8/4に2021/10期3Q(5-7月)の決算発表を予定
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MSCI(MSCI)市場:NYSE・・・2021/10/27に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ロックウェル・オートメーション(ROK)市場:NYSE・・・2021/11/10に2021/9期4Q(7-9月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は7/30現在であり、変更される可能性があります。