“コモディティの時代の到来が近いのか?”
- 米ファイザー(PFE)と独ビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンが12/8に英国で接種が開始される予定となり、米国でも米食品医薬品局(FDA)が12/10の会合での使用許可判断次第で翌11日にも同ワクチンの接種が始まる見通しとなった。ワクチン普及による早期経済正常化に加え、超党派議員で提出の大型追加経済対策法案の早期成立への期待が楽観的見通しとなり米国株相場を押し上げている。米国株および米国株価指数に係るコールオプション(買う権利)の取引枚数は今年11月に月間過去最高を記録。米資産運用会社ブラックロック(BLK)は、11/23の週次コメンタリーで2021年に期待される循環的上昇の恩恵を受けやすい投資対象として米小型株を挙げた。小型株指数のラッセル2000に連動するiシェアーズ・ラッセル2000ETF(IWM)が注目される。
- その一方、11/17、バンク・オブ・アメリカのストラテジストがヘッジファンドなどの投資家調査に基づき、株式への資産配分が2018年1月以来の高水準であること、現金保有の割合が2015年4月以来の低さとなったことなどから株式に対する投資家のセンチメントが「極端な強気」に近づいているとして、「今後、数週間から数ヵ月、ワクチンの材料は売りだ」としてリスク資産を売り始める時期だとの見解を示した。調査会社ギャラップの世論調査によれば、新型コロナワクチンを無料で接種できるとしても、接種を希望すると答えた米国人の割合が58%にとどまるなど、ワクチン普及が容易には進まない現実に目が向く可能性もあろう。
- ストラテジーの観点で最も注目すべきは、株式相場とコモディティ相場の関係だろう。S&Pコモディティ指数のS&P500指数に対する倍率(S&Pコモディティ・米株式倍率)を1970年以降で見ると、現在は、(1)1972年の優良ハイテク銘柄を中心とした「ニフティ・フィフティ」バブル(同倍率1.2倍近辺)、(2)2000年の「ドット・コム」バブル(同倍率1.5倍近辺)時を下回る0.5倍近辺と過去最低水準まで低下。同倍率は、ニフティ・フィフティバブル後には1973-1974年のオイルショックまで同倍率8倍近辺に急騰。そして、ドット・コムバブル後に2008年のWTI原油先物価格1バレル147ドル台まで急騰後、リーマンショックが到来する前までに同倍率8.5倍近辺に急騰した。同比率の中長期的上昇を睨み、ニューモント(NEM)のような貴金属関連、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)のような穀物関連などコモディティを取り扱う企業への投資に妙味がありそうだ。その前提として、ドル安トレンドが明確化するかどうかがポイントと言えよう。(笹木)
- 12/8号では、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、セールスフォース・ドットコム(CRM)、パロアルトネットワークス(PANW)、ペプシコ(PEP)、TJX(TJX)、ビザ(V)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(12/4現在)
主要企業の決算発表予定
12月8日(火) | ブラウン・フォーマン、オートゾーン |
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12月9日(水) | キャンベルスープ |
12月10日(木) | ブロードコム、ルルレモン・アスレティカ、オラクル、コストコホールセール、アドビ |
主要イベントの予定
12月8日(火) |
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12月9日(水) |
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12月10日(木) |
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12月11日(金) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)市場:NASDAQ・・・2021/1/28に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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セールスフォース・ドットコム(CRM) 市場:NYSE・・・2021/2/25に2021/1期4Q(2020/11-2021/1)の決算発表を予定
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パロアルトネットワークス(PANW) 市場:NYSE・・・2021/2/24に2021/7期2Q(2020/11-2021/1)の決算発表を予定
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ペプシコ(PEP) 市場:NASDAQ・・2021/2/21に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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TJX(TJX) 市場:NYSE・・・2021/2/24に2021/1期4Q(2020/11-2021/1)の決算発表を予定
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ビザ(V) 市場:NYSE・・・2021/1/29に2021/9期1Q(10-12月)の決算発表を予定
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- (※)決算発表の予定は12/4現在であり、変更される可能性があります。