米国トピックス12月号・最終号
米国トピックスは今回が最終回となります。
米国株式の情報については引き続き、外国株式レポートを参照ください。
関連銘柄
2018年末商戦の予想と注目銘柄は?
NRF(全米小売業協会)によれば、2018年11月〜12月の米国年末商戦の小売売上高が7,170-7,209億ドルとの見通し。売上成長率は4.3-4.8%と2017年の5.3%からやや低下するものの、NRFは「米国経済の状況に沿うように、個人消費も堅調なペースで増加し、力強い状態が続いている」とコメントした。
今年の年末商戦の幕開けとなる11/23の「ブラックフライデー」(感謝祭翌日の金曜日)は、インターネット通販の売上高が前年比+23.6%の62.2億ドルと記録を更新した。ネット通販の値引きが最大となる11/26の「サイバーマンデー」は+17.6%の約78億ドルとみられている。11/22の「感謝祭」から「サイバーマンデー」までの間に全米で約1億6,400万人が買い物したと推測され、多くの小売店は客足も順調に伸びた。11/26時点、好調な年末商戦の小売データを受け、アマゾン(AMZN)、メーシーズ(M)など小売大手の株価が大幅に上昇し、消費財関連株も全般的に買われた。
足元の相場では、米国年末商戦に対する期待感が高まっているなか、ここで昨年の年末商戦で売上高の上位となった銘柄を紹介します。
2017年主要米国小売企業の売上ランキング |
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ランキング |
企業名 |
コード |
業種 |
2017年売上高 (十億) |
店舗数 |
1 |
小売チェーン最大手 |
374.80 |
5,328 |
||
2 |
スーパー大手 |
115.89 |
3,902 |
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3 |
通販最大手 |
102.96 |
456 |
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4 |
会員制倉庫型リテール |
93.08 |
510 |
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5 |
住宅用建材品販売 |
91.91 |
1,968 |
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6 |
ドラッグストア大手 |
82.75 |
7,980 |
||
7 |
ドラッグストア大手 |
79.54 |
9,778 |
||
8 |
総合ディスカウントストア |
71.88 |
1,822 |
||
9 |
住宅用品、生活家電小売 |
63.13 |
1,839 |
||
12※ |
電気機器 |
38.60 |
272 |
- ※10位のアルバートソンズ、11位のロイヤル アホールドは非公開企業のため、ランキングから除外された
- (NRFよりSBI証券作成)
世界最大のヘッジファンド「Bridgewater」は何を買った?
米国では1億ドルの資産を運用する機関投資家は、SEC(米国証券取引委員会)へ四半期末から45日以内に運用するポートフォリオを所定の様式(13 Form)で提出する義務がある。機関投資家は、米国の銀行、証券会社、年金運用会社、投資顧問など主要の運用機関が含まれている。
13Fレポート(13 Form)は、機関投資家の現時点のポジションを反映していないものの、13Fレポートを通じて機関投資家の取引動向と運用戦略を観察することが可能。11/14時点、世界最大のヘッジファンド「Bridgewater」の13Fレポートから同社の2018/3Qのポジションを開示され、投資家の注目を集めた。
2018/3Qの金額ベースのポジションは、米国主要株指数、債券の連動型のETFが最も多い。また、同社は世界最大のゴールドETFであるSPDR ゴールド シェア(GLD)を通じて、3Qのゴールドへの投資ポジションを大幅に増やした。
個別銘柄では、FANGなど人気なハイテク銘柄のポジションをほとんど保有せず、トール ブラザーズ(TOL)、セルジーン(CELG)など業績が安定している銘柄のポジションが多い。2Qに比べて、Bridgewaterはユナイテッド ステーツ スチール(X)、メーシーズ(M)、インテル(INTC)などのポジションを増やした。一方、同社はCVSヘルス(CVS)、オラクル(ORCL)、キャタピラー(CAT)のポジションを減らし、スターバックス(SBUX)、ユナイテッド パーセル サービス(UPS)、イントゥイット(INTU)、パシフィック ガス アンド エレクトリック(PCG)を売却した。
2018/3QのポジションTOP10 ETF |
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順位 |
銘柄名 |
コード |
連動指数 |
ポジション |
年初来 |
1 |
米国S&P500指数 |
2,282,117 |
-2.1% |
||
2 |
中国A株トランジション・インデックス |
2,081,235 |
-17.4% |
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3 |
エマージング・マーケットIMIインデックス |
588,741 |
-17.3% |
||
4 |
金の国際価格(ロンドン午後金決値決め) |
440,779 |
-7.5% |
||
5 |
MSCI エマージング・マーケット・インデックス |
340,663 |
-17.2% |
||
6 |
米ドル建て投資適格社債で構成される指数 |
287,570 |
-7.5% |
||
7 |
米国大型株を含むS&P500指数 |
235,646 |
-2.0% |
||
8 |
バークレイズ米国国債20年超インデックス |
231,473 |
-8.2% |
||
9 |
米ドル建てハイイールド社債で構成される指数 |
217,670 |
-5.3% |
||
10 |
JPモルガン・エマージング・マーケット債券指数の価格および利回りに連動する指数 |
189,964 |
-11.6% |
(BridgewaterよりSBI証券作成)
2018/3QのポジションTOP10 個別銘柄 |
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順位 |
銘柄名 |
コード |
連動指数 |
ポジション |
年初来 |
1 |
高級住宅建設会社 |
43,657 |
-32.5% |
||
2 |
バイオ製薬会社 |
38,125 |
-37.2% |
||
3 |
総合鉄鋼会社 |
33,298 |
-31.3% |
||
4 |
電話通信大手 |
31,460 |
-23.8% |
||
5 |
半導体最大手 |
31,237 |
-0.7% |
||
6 |
建設会社 |
26,052 |
-22.3% |
||
7 |
独立系石油・ガス |
24,857 |
-45.2% |
||
8 |
独立系投資管理グループ |
23,522 |
-44.3% |
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9 |
データ処理サービス |
23,419 |
-23.7% |
||
10 |
重電メーカー |
22,723 |
-57.9% |
(BridgewaterよりSBI証券作成)
マクロ材料
OECD:世界経済は先行きの減速感が強い
●11/21時点、OECD(経済協力開発機構)は、2019年の世界経済が減速すると予測した。11月の2018年の世界GDP成長予想は9月から変わらないものの、2019年は▲0.2%の3.5%と急速に減速する可能性がある。米中貿易摩擦が続く中、力強い米国の経済成長は「ピークに達した」とみられ、米国のGDP成長が2.7%にとどまる見通し。また、貿易摩擦の激化などに伴い、中国は2019年が6.3%に減速すると予測された。
米国経済を反映する小売関連指数
●米国年末商戦が本格化しているなか、消費関連の経済指標に対する注目度が高まっている。10月の小売売上高は前月比+0.8%と5ヵ月ぶりの高い伸びとなり、市場予想の+0.5%を上回った。また、米国商務省は米国GDPの約7割を占める個人消費は2018/4Q(10-12月)にも増加を続けると示唆した。一方、2つの懸念材料に注意する必要がある。①消費の基調を測度するコア売上高は10月が+0.3%と市場予想に届かず、9月も下方修正された。②11月のミシガン大学消費者信頼感指数は前月比▲1.1%の97.5と2ヵ月連続のマイナスとなった。直近の株安の影響を受けて、中高所得層の景況感が低下しているとみられている。
マクロ分析、市場見通し等、動画でチェック!
ミクロ分析
年末に小売関連の買戻しが期待できるか?
●貿易摩擦の長期化、中国経済の減速などから10、11月の米国株式は急落、貿易摩擦の影響が小さい小売セクターにも波及した。米国代表的な小売指数であるS&P500小売指数(S5RETL)は、11/23時点の株価が、今年最高値の2,443.12(9/4時点)から▲19.7%の1,962.44に下落した。一方、記録的な感謝祭小売売上高と良好な年末商戦見通しが株価を支える好材料視されている。今後、アマゾン(AMZN)、メーシーズ(M)などの株価が堅調に推移するほか、一時的に大きく売られたダラー ツリー(DLTR)、ホーム デポ(HD)、ベストバイ(BBY)に買い戻しのチャンスがあるだろう。
バイオ医薬品規模の成長
●イギリスの調査企業EvaluatePharmaは、世界でのバイオ医薬品市場規模が順調に増加すると見ている。医薬品全体の市場規模は、2018年が8,680億ドルとなり、バイオ医薬品の比率が26.5%に達す見通し。2024年は、バイオ医薬品の比率が医薬品市場規模の全体の30%を超えると予測される。日米欧を比較すれば、米国が最も大きなバイト医薬品市場となっている。また、企業別をみると、2024年のバイオ医薬品売上高見通しTOP10の中、メルク(MRK)、アムジェン(AMGN)、ジョンソン エンド ジョンソン(JNJ)など米国の製薬7社があり、圧倒的な優勢になりそうだ。