トルコといえば、日本の投資家にとっては株よりも通貨「トルコリラ」の方が馴染みがあると考えるが、トルコリラは年初から他の高金利通貨や新興国通貨と同様に高パフォーマンスを残している。年初から先週末までのパォーマンスを見てみると、対ドルで1ドル=1.7833リラ(約5.7%上昇)、対円で1リラ=45円75銭(約12.5%上昇)となっている。
マクロ環境に目を向けると、今月の5日に発表された2月の消費者物価指数は、前年比10.43%増と事前予想の同10.40%増を上回る数字ではあったものの、5ヶ月ぶりに伸び率が鈍化した。これは前回の同指数が発表された際の声明文通りの展開であり、トルコ中央銀行の金融政策に大きな影響は与えないだろう。
トルコ中央銀行は先月の21日に同国の政策金利にあたる1週間物レポレートを 据え置いたが、昨年10月に引き上げた翌日物貸出金利を12.5%から11.5%へ1%引き下げた。この引き下げには予想外という意見も見られた。
年初からの同通貨の高パフォーマンスの背景には世界的な投資家のリスクオン姿勢があると考えており、今後も投資家のモメンタムが大きなカギを握ると考えるが、国内でも経常収支やインフレなど注視すべき項目が多いと考えている。目先は底堅い展開を考えているが、不確定要素は依然として多いだろう。
図1:トルコリラの対円、対ドル相場の推移
相対的な高金利と欧州債務危機などの外部環境、国内のインフレ率、経常収支の悪化など、注視すべき項目が多いと考えている
図2:トルコのインフレ関連指標の推移
予想通り、2月はインフレ率が鈍化した
図3:トルコの株価指数と外国人観光客の伸び率推移
日本人投資家に馴染みのないトルコ株式市場推移を見る際の指標に観光客数は有効か?