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2024-05-04 08:05:51

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「安定成長」期待で「配当貴族指数」にも採用の産業ガス業界をご紹介!

2024/3/6
投資情報部 榮 聡

年初来エヌビディアを筆頭とする生成AI関連の株価上昇が市場の注目を集めていますが、「一本足打法」ではポートフォリオの安定性を欠く懸念もあります。そこで今回はAI関連と一緒に保有する銘柄の候補として、AIから遠い分野で中長期に安定成長が期待される「産業ガス業界」の銘柄をご紹介いたします。

図表1 注目銘柄

銘柄 株価(3/5) 52週高値 52週安値
リンデ(LIN) 460.96ドル 463.04ドル 324.11ドル
エアープロダクツ アンド ケミカルズ(APD) 239.58ドル 307.71ドル 212.24ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 安定成長企業として「産業ガス」銘柄に注目

今回は「産業ガス業界」をご紹介いたします。

米国株式市場は、エヌビディアの素晴らしい決算を受けて史上最高値を更新し続けています。一方、テクノロジー株のみを保有するとポートフォリオが安定しない局面もあると考えられますので、AI技術やITテクノロジーから遠い分野で優良銘柄と考えられる銘柄をご紹介したいという趣旨です。

〇産業ガスの業界とは

産業ガスとは、製造業で原料や中間材、あるいは品質向上、省エネや製造プロセスの安全のため、幅広く産業全般に使われるガスの総称です。

半導体の製造過程で材料として使われるガス、鋼材の溶接に使われるガス、食品の酸化防止のために封入されるガスなどを指し、また、病院で使用される医療用ガスも含まれます。 代表的な産業ガスは、酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、水素、ヘリウムなどです。

産業ガスの企業というと、日本には日本酸素ホールディングス(4091)があり、業界は合従連衡が進んでいます。日本では90年代までは、日本酸素、大陽酸素、東洋酸素の3社の上場企業がありましたが、現在は日本酸素ホールディングスに統合されています。

世界的にも同様で、大手は4〜5社に集約されつつあります。世界的には米国のリンデ、フランスのエアリキード、米国のエアープロダクツアンドケミカルズなどが大手です(図表2)。

〇株式市場での産業ガス業界

産業ガスというと個人投資家の皆さまにはさほどなじみはないかもしれませんが、機関投資家には安定成長が期待される業界として知られており、素材産業の銘柄を組み入れるときに、比較的よく選ばれる銘柄との印象です。

産業ガスは業種としては「素材」産業に属しています。S&P500指数の11業種分類で、「素材」産業には28銘柄がありますが、その中の2つがリンデとエアープロダクツアンドケミカルズです。

リンデの時価総額は2,160億ドルで、素材銘柄として圧倒的に大きく、2番目に大きい塗料のシャーウィンウィリアムズの853億ドルの2倍以上です。エアープロダクツアンドケミカルズは525億ドルで、上から5番目です(3月4日時点)。

米国上場の大手2銘柄は、25年以上増配を継続した実績のある銘柄を集めた、米国の「配当貴族指数」に含まれています。安定成長が期待できる業界である裏付けと言えそうです。

〇最近の株価動向は?

上場大手4社の株価推移を2019年初を100として図表3に示しています。

リンデ、エアリキード、日本酸素ホールディングスは右肩上がりで好調な株価推移となっており、それぞれ、米国のS&P500指数、フランスのCAC40指数、日本のTOPIX指数をアウトパフォームしています。

例外は、米国のエアープロダクツアンドケミカルズで、昨年来他の銘柄に比べてアンダーパフォームしており、直近でも2023年10-12月期決算が市場予想を下回って不振であったことから、株価は大幅な下落となっています。2019年からの推移でも、同銘柄はS&P500指数と同程度の上昇にとどまっています。

全体として株価は好調なものが多く、ここ数週間のリンデ、エアーリキード、日本酸素ホールディングスの株価上昇は目を見張るものがあります。

図表2 産業ガス大手の直近期売上実績(億ドル、上場企業に限定)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3 産業ガス企業の株価(週足)

注:最後のデータは3/1(金)です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2 産業ガス銘柄が安定成長できる背景

産業ガス業界の銘柄が安定成長を期待できる背景として、主に図表4にリストアップした3点があげられます。それぞれ、以下でご説明いたします。

[1] 専門性の高さ

一つ目は、やはり気体のガスを扱いますので、業務の専門性が高く、誰でもおいそれと参入できない業界です。気体を扱うには、それなりの専門知識と設備が必要であり、参入障壁が高いと考えられます。

また、経済学でいう「規模の経済」が働きやすい業界とみられ、日本でも、世界でもここ数十年で合従連衡が進みました。これも中長期で安定成長が可能となる要因と考えられます。

[2] 顧客との関係が安定

2つ目は、顧客との関係が安定しやすい業界です。

産業ガスの会社が顧客にガスを供給する方法として、タンクローリーで運ぶ、ガスボンベで届けるなどもありますが、パイプラインを引いて顧客の工場内に施設を建設して供給するケース(「オンサイト」での提供と呼ばれます)も多くあります。この場合は設備投資が必要となるため、顧客からすれば、おいそれと契約を変えることが難しくなります。このため、競争が制限的になり、顧客との関係が安定すると考えられます。

米国の大手2社では、エアープロダクツアンドケミカルズはオンサイトの売上比率が49%に達しています。リンデは、オンサイトの比率がやや低く24%です。

[3] 顧客産業の広さと業績の安定

3つ目は、素材産業の中では需要が比較的安定しています。

素材産業というと景気への感応度が強く、シクリカルな業界の代表例になりますが、その中で産業ガス業界は相対的に安定していると言われます。顧客の産業としては、化学・エネルギー、製造業、ヘルスケア、エレクトロニクス、食品・飲料など幅広いことが要因です。

リンデのケースですが、売上の66%はディフェンシブな産業向けだと述べています(図表5)。また、原材料として使用する天然ガス価格の変動は、顧客に転嫁する契約になっていることが多く、これも業績変動への影響を抑える要因です。

図表4 産業ガス業界の特長

※各種報道をもとにSBI証券が作成

図表5 リンデの産業別売上構成比(2022年12月期、リンデ・エンジニアリングを除く)

※会社資料をもとにSBI証券が作成

3 リンデとエアープロダクツアンドケミカルズのご紹介

リンデ(LIN)  時価総額: 2,163億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
22.12 334 8% 62.0 11% 12.29
23.12 329 -2% 69.9 13% 14.19
24.12予 344 5% 74.8 7% 15.45
25.12予 364 6% 80.7 8% 16.90
26.12予 384 5% 87.4 8% 18.72
株価(3/4): 455.60ドル 予想PER(24.12期): 29.5倍

【会社概要】
2018年10月にドイツのリンデと米国のプラクセアが経営統合してできた世界最大の産業用ガス会社です。世界100ヵ国以上で事業展開するグローバル企業で本社は英国にあり、株式はNASDAQ証券取引所に上場しています。配送手段別売上は、パッケージ36%、マーチャント(タンクローリーなど)29%、オンサイト24%、その他11%、地域別売上は、米州43%、欧州・中東・アフリカ26%、アジア太平洋20%、エンジニアリング7%、その他4%です(2023年12月期)。韓国にあるサムスンディスプレイ向け設備を拡張、高純度窒素の新工場が2024年末に稼働予定です。

【業績動向】
柔軟なビジネスモデル、厳格な業務への集中、増加しつつある質の高い受注残、慎重な資産アロケーションなどによって、2024年およびそれ以降も中期的に10%以上のEPS成長を達成することが期待されます。10-12月期決算は、売上が前年同期比5%増、EPSが同14%増で、市場予想をそれぞれ3%、4%上回って堅調でした。

 エアープロダクツ アンド ケミカルズ(APD)  時価総額: 524億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
22.9 12,699 23% 2,285.5 13% 10.27
23.9 12,600 -1% 2,485.2 9% 11.16
24.9予 12,654 0% 2,735.8 10% 12.33
25.9予 13,531 7% 2,972.2 9% 13.34
26.9予 14,705 9% 3,254.6 10% 14.68
株価(3/4): 238.41ドル 予想PER(24.9期): 19.3倍

【会社概要】
産業ガスの世界的大手の1社で、産業用ガス製造供給、液化天然ガス設備で約50ヵ国、750超の施設を運営します。1940年に創業、本社はペンシルベニア州アレンタウンです。配送手段別売上は、オンサイト49%、マーチャント(タンクローリーなど)44%、機器販売7%、地域別売上は、北米41%、米中以外の世界43%、中国16%です(2023年9月期)。42年連続増配です。

【業績動向】
10-12月期決算は、比較的売上構成比が高い中国の需要低迷の影響を受けて、売上は前年同期比6%減、EPSは同7%増で、それぞれ市場予想を6%下回って不振となりました。株価も大幅な調整となりました。ただ、中期的な成長力は失っていないとみられます。同社の成長機会として、グリーン水素(水を電気分解して生産される水素)、ブルー水素(天然ガスや石炭等の化石燃料を分解して生産される水素)が注目されています。カリフォルニア州での「持続可能な航空燃料(SAF)」向けのグリーン水素プロジェクト、ルイジアナ州でのブルー水素プロジェクトのほか、サウジアラビアの世界最大級のグリーン水素製造装置ではEPC(設計・調達・建設)で参画しています。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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