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【米テック株ウォッチャー】米10年債利回り:なぜ急上昇・急低下?

2023/10/11
投資情報部 李 燕

テック株の動向を大きく左右する米長期金利が急上昇後、10月に入ってから急低下しています。なぜ、長期金利は急上昇し、そして足元では急低下しているのか。テック株への影響が大きいだけに、今一度その背景要因を確認してみたいと思います。

図表1 主な言及銘柄 (Bloomberg銘柄名)

銘柄 株価(10/10) 52週高値 52週安値
インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF(QQQ) 368.59米ドル 387.98米ドル 254.26米ドル
プロシェア ウルトラプロ ショート QQQ ETF(SQQQ) 18.76米ドル 69.55米ドル 16.38米ドル
アップル(AAPL) 178.39米ドル 198.23米ドル 124.17米ドル
マイクロソフト(MSFT) 328.39米ドル 366.78米ドル 213.43米ドル
アルファベット A(GOOGL) 138.060米ドル 139.16米ドル 83.34米ドル
アマゾン ドットコム(AMZN) 129.48米ドル 145.86米ドル 81.43米ドル
エヌビディア(NVDA) 457.98米ドル 502.66米ドル 108.13米ドル
テスラ(TSLA) 263.62米ドル 299.29米ドル 101.81米ドル
メタ プラットフォームズ A(META) 321.84米ドル 326.20米ドル 88.09米ドル
  • 注:ブル・ベアETFについては、レポートの最後にある注意事項をご確認ください。
    ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 米10年債利回り:なぜ急上昇・急低下?

米10年債利回りの年初来推移を確認してみると(図表2)、3月の地銀破綻時は早期の利下げ期待で急低下しましたが、その後は地銀混乱が収まるにつれ上昇しました。また、予想以上に強い経済指標からは米経済の底堅さが確認されたほか、需給要因もあり、米10年債利回りは上昇トレンドが続きました。

図表2 ナスダック100指数と米10年債利回りの推移(年初来)

※Bloombergおよび各種資料によりSBI証券が作成

特に9/20のFOMC(米連邦公開市場委員会)後は、急ピッチの上昇が目立ちました。市場予想よりタカ派のFOMCを受け、金融市場では「Higher for Longer」(より高くより長く)が頻繁に取り上げられるようになり、「高金利の長期化」に対する懸念が強まりました。

しかしながら、長期金利の急上昇を受け、FRB(米連邦準備理事会)の高官からは一転してハト派発言が相次ぎました。たとえば、米サンフランシスコ連銀は「金融環境は過去90日間でかなり引き締まったが、その状態が続く場合は、我々が更なる行動を起こす必要性が低下する」と述べ、米ダラス連銀総裁は「(米長期債利回りの上昇で)当局としては、政策を追加で引き締める必要性が低下する可能性がある」との認識を示しました。

連銀総裁たちのハト派発言を受け、市場では11月のFOMCでの追加利上げ観測が後退するとともに、「利上げ終了」への期待も高まりました。折しも、中東情勢緊迫化で米国債が安全資産として買われたため、米10年債利回りは急低下しました。

中東情勢は不透明感も多く、今後の動向に注視する必要がありますが、BI(Bloomberg Intelligence)の分析によると、過去の経験からは大きな紛争にエスカレートしなければ市場全体に対する影響は限定的である可能性があります。なお、中東情勢を受け、足元では安全資産とされている米国債が買われたほか、株式市場では石油関連銘柄や防衛関連銘柄、テック株ではサイバーセキュリティ関連銘柄(たとえば、Zスケーラー(ZS)クラウド ストライク ホールディングス A(CRWD))が物色されました。

米金融政策をめぐっては、その決定において重要な物価指標、たとえば10/11に生産者物価指数(PPI)、10/12には消費者物価指数(CPI)が発表される予定です。物価指標からインフレの鎮静化が示されれば、利上げ観測後退と利上げ終了に対する期待がさらに高まる可能性があります。

中期的には10年債利回りの長期トレンド(図表3)からは、米国の低金利環境は終了し、これからはある程度の高金利環境に突入する可能性があると、一部で指摘されています。高金利環境となれば、借入コストの上昇で財務的に不安定な企業にとっては不利となるため、そのような企業への投資は避けたほうが良いかもしれません。

図表3 米10年債利回りとFFレートの推移(1990年以降)

※Bloombergおよび各種資料によりSBI証券が作成

なお、米10年債利回りの動向のほかに、間もなく始まる企業決算も注目されると思います。前回の決算発表時は、米10年債利回りの上昇でテック株の高バリュエーションに対する警戒が強まり、市場予想並みや市場予想を上回った決算を出したとしても株価を押し上げるには至らず、むしろ利益確定売りが優勢でした。

今回の決算シーズでは、ナスダック100指数でみた場合、8-9月の株価調整を経てバリュエーションがある程度低下しており、米10年債利回りも低下傾向が続くのであれば、投資家の業績に対する反応も前回より「寛容に」なるかもしれません。ただ、米10年債利回りが再び上昇する際は、テック株の株価水準を押し下げる可能性もあるため留意が必要かもしれません。

2 米国株式市場のデータ集

データ集(1) 業種別S&P500指数と米10年再利回りの推移(年初来)

※BloombergデータによりSBI証券が作成

データ集(2) ナスダック100指数とSOX指数、および米10年債利回りの推移(年初来)

※BloombergデータによりSBI証券が作成

データ集(3) 「マグニフィセント・セブン」(米代表的なテック企業7社)の騰落率(9/25-10/10の2週間)

銘柄 株価推移(年初来) 騰落率 関連ニュース等
アップル(AAPL)
1.5% 会社側は9/30に、苦情が相次いでいた新型iPhoneの発熱について、「iOS17」(最新の基本ソフト)のバグなどが原因で、チタンフレームやアルミニウム製の内部構造が要因でないと説明。一部のアナリストがチタンフレームが原因の可能性があると指摘しただけに、市場では新型iPhoneの”売り”であるチタンフレームについて懸念する声が上がっていた。会社側は10/4には「iOS17」のアップデート(発熱への対処が含まれている)を公開した。ただ、発熱問題は解消されたようだが、需要減退や販売鈍化に対する懸念が重しとなり、株価の戻りは他のテック株に比べると限定的だった。一部のアナリストがiPhone 15のハイエンドモデルの需要について楽観的でないと表明した。
なお、10月に入ってテック株は総じて買戻しが優勢だった。背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)高官のハト派発言と米長期金利の下落とが挙げられる。
マイクロソフト(MSFT)
3.2% 9/26に、「ChatGPT」を開発したOpenAI(マイクロソフトが49%出資)が株式売却の可能性について投資家と協議しており、協議に基づくOpenAIの企業価値の評価額は800億-900億ドルとなるとみられるとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。今年1月にマイクロソフトがOpenAIへ追加投資を発表した際、OpenAIの評価額は約290億ドルとされている。報道が事実で今後OpenAIが売り出しに成功すれば、マイクロソフトにとっては”棚ぼた”と言える。ただ、OpenAI売り出し後のマイクロソフトの業績はOpenAIの評価額にある程度影響される可能性もあろう。なお、マイクロソフトは11月の年次開発者会議でAI向けに設計された自社チップを発表する予定だと報じられた。自社開発のAIチップは、需要の急増で供給不足に陥っているエヌビディアのAIチップへの依存軽減に役立つほか、コスト削減にもつながる可能性がある。
アルファベットA(GOOGL)
5.6% 傘下のグーグルは10/2に、高品質でAI搭載の「Chromebook Plus」を発表。また、OpenAIの競合であるAnthropicが20億ドルの資金調達について、グーグルなどと協議していると報じられた。グーグルはAnthropicに3億ドル出資しているが、アマゾンが9/25にAnthropicに最大40億ドル出資すると報じられた際、Anthropicへのグーグルの”影響力”低下が懸念されていた。グーグルが追加出資とならば、ある程度の”影響力”を維持する可能性がある。生成AIの新興企業・Anthropicは、OpenAIの最も有力な競合とされており、テック大手のAIレースにおいても注目されている。なお、マイクロソフトのCEOはグーグルの検索事業を巡る反トラスト法(独占禁止法)訴訟で証言した際、グーグルが検索市場における支配力を新しいAI関連ツールにも広げる恐れがあると述べた。グーグル検索の支配力がAIでも有利に働き、グーグルの支配的立場が維持される可能性が示唆されたコメントとして捉えられた。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)
-0.9% 米連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで同社を提訴する見通しだと報じられたことが売り材料となった。英国の規制当局はアマゾンとマイクロソフトのクラウド市場支配力に対する独占禁止法の調査を要求した。また、アマゾンが最大40億ドル出資する予定の生成AIの新興企業・Anthropicが、20億ドルの資金調達についてグーグルなどと交渉していると報じられたことも嫌気されたもよう。なお、エヌビディアは自社のチップを使ってAIを開発する企業顧客向けに、DGXクラウドと呼ぶクラウド・サービスを構築中だと報じられた。クラウドで市場シェア1位のAWS(アマゾンウェブサービス)にとって、エヌビディアはライバルとなる可能性が出てきた。
エヌビディア(NVDA)
10.0% 大手証券会社が同社株を買い推奨の「確信リスト」に追加し、投資判断を「買い」から「強い買い」に引き上げた。同社株がテクニカル指標のRSIが短期的に売られ過ぎサインとされる30%に近づいたタイミングだったこともあり、株価は急反発した。ChatGPTを開発したOpenAIがチップサプライヤー(エヌビディア)を変更する可能性がある報じられたが、株価への影響は限定的だった。アナリストがエヌビディアの独占的立場や優勢性は変わらない見通しだと指摘したためだ。パソコン大手のデルのCEOが「AIがテクノロジーへの支出全体を拡大させており、エヌビディア製のグラフィック・プロセッサーを搭載したサーバーや大容量ストレージへのニーズが高まっている」と発言したことも、株価の支援材料となった。なお、エヌビディアはイスラエルの「現在の状況」を理由に、イスラエルで開催予定だった10/15-10/16のAIサミットを中止すると発表した。
エヌビディア製品の主な受託製造会社であるTSMCが10/6に9月の暫定売上高を発表した。それに基づく試算によると、TSMCの7-9月期売上高(暫定)は5,467億台湾ドル(前年同期比11%減)で、市場予想の5,315億台湾ドルを上回る見込みとなった。減収率が予想より少ないことから、AI関連需要がスマートフォンなど伝統的な半導体需要の低迷を補っている可能性が示唆された。(TSMCの決算発表は10/19の予定)
テスラ(TSLA)
6.4% 大手証券会社が投資判断「オーバーウエイト」を再確認した。全米自動車労働組合(UAW)によるストライキが長引く中、ストライキはテスラのライバルである大手3社の生産やサプライチェーン混乱を招く恐れが出てきた。また、アナリストが「UAWとの合意が実現した場合、デトロイトの自動車メーカーがより高いコストを消費者に転嫁する可能性を考慮すると、テスラにとっては有利な状況だ」と述べた。なお、テスラの7-9月期の納車台数は43.5万台となり、前四半期の46.6万台より減少し、市場予想をも下回ったが、株価への影響は限定的だった。会社側が要因について主に工場のアップグレードに伴う計画的なダウンタイムによるものと説明し、2023年の販売台数目標である約180万台に変更はないと表明したためだ。長らく待たれていたCybertruckの正式発売が近づいている可能性があるとの報道も支えとなったもよう。株価の反発については、米10年債利回りの低下を受け、空売り筋がショートカバー(ショートポジションの解消による買戻し)を実施した可能性もあると指摘されている。(テスラは10/18に決算発表を行う予定)
メタ プラットフォームズ A(META)
5.5% 同社は9/27に新製品発表イベント「Meta Connect 2023」で、AI会話アシスタント「Meta AI」をはじめとする一連のAI関連製品と、スタンドアロン型VR/MRヘッドセット「Oculus Quest 3」を発表した。10/4には、これまで一部のテストユーザーに限定していた新たな生成AIツールの利用を全ての広告主に拡大すると発表した。著名アナリストが同社のメタバース事業は需要低迷の影響でその赤字幅は市場予想を上回る可能性があると指摘したが、材料視されなかった。AI関連製品と広告事業への応用をめぐる進展が評価され、株高につながった。なお、同社は欧州連合(EU)の新たな規制を回避するために、FacebookとInstagramの欧州ユーザーに対して広告なしの有料版を模索していると報じられた。アナリストはもし同社の提案(有料版)が許可され、ユーザーが無料版と有料版を利用できるようになれば、同社にとってプラスとなる(有料版で収益化がさらに良くなる)可能性があると分析した。ただ、EU規制当局が同社の提案を拒否する可能性もあるとも指摘した。

注:銘柄リストはレポート作成時の前月末時点の時価総額順です。騰落率は前の金曜日を基準とした過去2週間の騰落率です。
※Bloombergおよび各種報道によりSBI証券が作成

免責事項・注意事項

  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
  • レバレッジ型・インバース型 ETF等(ETN含む)は、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品です。レバレッジ指標の上昇率・下落率は、2営業日以上の期間の場合、同期間の原指数の上昇率・下落率のレバレッジ倍(又はマイナスのレバレッジ倍)とは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。上記の理由から、一般的に長期間の投資には向かず、比較的短期間の市況の値動きを捉えるための投資に向いている金融商品といえます。投資経験があまりない個人投資家の方が資産形成のためにこうしたETF等を投資対象とする際には、取引の仕組みや内容を十分理解し、取引に伴うリスク・コストを十分に認識することが重要です。レバレッジ型・インバース型 ETF等に係る商品の特性とリスクについてはこちらのリーフレットをあわせてご確認ください。
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