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2024-05-04 14:05:04

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過去6年半で7倍のMSCIなど株価好調の金融情報サービス。AI関連でも注目!?

2023/8/23
投資情報部 榮 聡

過去数年で四半期決算が市場予想を上回ることが多かった金融情報サービス企業の株価を確認すると、S&P500指数に採用されている4社とも市場平均を大幅に上回る上昇となっています。世界の富は増加基調が見込まれるため事業環境は良好で、今後の推移にも期待できそうです。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(8/22) 52週高値 52週安値
MSCI(MSCI) 527.91ドル 572.50ドル 385.00ドル
S&P グローバル(SPGI) 383.54ドル 428.65ドル 279.32ドル
ムーディーズ(MCO) 327.01ドル 363.19ドル 230.16ドル
ファクトセット リサーチ システムズ(FDS) 430.02ドル 474.13ドル 377.89ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 株価好調の金融情報サービス企業に注目

今回は金融業界にデータを提供している金融情報サービスの企業4社を取り上げます。

〇金融情報サービスはAIに近い!?

筆者は米国企業の四半期決算が出るたびに、実績が市場予想を顕著に上回った企業をご紹介していますが、過去数年たびたび、金融情報サービスの会社が好調企業のリストに残ることがありました。

ただ、業界がかなりニッチで個人投資家にあまり馴染みがないこと、業界の見方について筆者が頼りにしているBloombergの業界アナリストがカバーしていないことから、あまり積極的に取り上げることはありませんでした。

しかし、生成AIへの注目が高まる中で、AIのトレーニングには大量のデータを利用すること、また、市場分析事業はAI利用に近いことから、今後は金融情報サービスの企業にも恩恵が出てくる可能性があると考え、現状を把握しておくという観点から今回取り上げることにしました。

〇過去6年半余りの株価は市場平均を大きくアウトパフォーム

まず、2017年初を起点に過去6年半余りの株価の推移を確認しておきます。S&P500指数に採用されている金融情報サービスの4社とも、市場平均のS&P500指数のパフォーマンス(約2倍に上昇)を大幅に上回っています。四半期決算が市場予想を上回って出てくることが多かったという筆者の経験に沿う結果です。

最も大きく上昇しているのが、株式や債券の指数情報を中心に提供しているMSCIで、7倍近くに上昇しています。安定収入の比率が98%に達することから金融市場の波乱の局面でも安定した業績拡大を遂げ、純利益率が55%に達するという、成長性と収益性の高さを兼ね備えた優良企業であることが背景にあると考えられます。

その次に信用格付け情報を核に事業展開している、ムーディーズとS&Pグローバルが並んでいます。この2銘柄は核になる事業が同じであるとは言え、驚くほど株価の動きがシンクロしています。格付け市場の動向に注目して株価が動いているのでしょう。

その下のファクトセットリサーチシステムズは、機関投資家向けに幅広い金融情報を提供する情報ベンダーです。

この4社の株価パフォーマンスを総括すると、自社で情報を生み出している比率が高いほどパフォーマンスが良いということは言えるかもしれません。

図表2 金融情報サービス4社の株価(週足)

※BloombergデータによりSBI証券が作成

2 金融情報サービス企業の業績動向

金融情報サービス企業の業績動向についてみてみましょう。

〇4-6月期の業績は堅調

金融情報サービス4社の4-6月期決算は、図表3の通り堅調です。

全社が前年同期比増収・増益で、市場予想に対してもS&PグローバルのEPSを除いて上回っています。

4社の中では、MSCIが2桁の増収増益で、市場予想を上回る程度も大きく、業績の好調が目立ちます。過去1ヵ月の株価騰落率はプラスを確保して、S&P500指数の3.3%下落を上回っています(8/22(火)時点)。

一方、格付け情報のムーディーズとS&Pグローバルは8%以上の株価下落となって市場平均を下回っています。景気や金利見通しの変動を受けて信用格付けの市場が、足もとで安定を欠いていることが背景にあるとみられます。

〇中期的な事業環境は良好

金融情報サービス企業の事業環境を考えるうえで重要なのは、今後世界の金融資産が増えていくかどうかになるでしょう。

これを考えるうえで参考になるのは、8/15(火)に公表されたクレディスイスの年次調査「クレディスイス グローバルウェルス2022」です。

この調査は、世界の富を不動産や株式など個人の保有資産で測定したものです。金融資産だけを含むわけではありませんが、不動産の増加は金融資産の増加を促す面もあるため、関連性は十分高いと言えるでしょう。

この調査によると、2021年から2026年にかけて世界の富は629兆ドルへ36%増加すると予想されています。年平均成長率は6.4%と計算できます。2000年から2021年にかけての年平均成長率は6.7%でしたので、成長率はやや低下するものの、世界のGDP成長率よりはかなり高く、金融資産の運用は引き続き成長分野と言えるでしょう。

資産運用業界の事業環境は良好で、この産業に情報を提供する金融情報サービス業界の事業環境も良好と期待できるでしょう。

〇4社の業績見通し

金融情報サービス4社の年次業績動向を2020年を100として指数化しました(図表5)。

高く安定した業績拡大が目立つのが、MSCIです。運用資産の拡大につれて、同社の指数情報の利用が増加していることが背景にあるとみられます。また、同社売上の98%がサブスクリプションなど比較的安定した収入からなるため、世界の運用資産の拡大にともなって安定した業績拡大を遂げているとみられます。

一方、格付け情報を主力事業とするS&Pグローバルとムーディーズは、2021年から2022年に利益が落ち込んでいます。これは、新型コロナのパンデミックを受けた低金利で2020年、2021年に債券発行が拡大した一方、2022年に金利が上昇に転じて債券発行が縮小した影響を受けたものです。一方、2023年から2025年にかけて業績は回復が見込まれています。

ファクトセットリサーチシステムズは、MSCIには劣るものの、安定した成長を遂げていると言えるでしょう。これもやはり、運用資産の拡大に伴って、同社が提供する金融情報、ツールの利用拡大が進んでいるためと考えられます。

図表3 金融情報サービス企業の4-6月期決算概要

銘柄(コード) 売上
予想比
(%)
EPS
予想比
(%)
売上
前年同期比
(%)
EPS
前年同期比
(%)
株価騰落率
(1ヵ月)
(%)
MSCI(MSCI) 2.9 4.5 12.6 17.3 3.2
S&P グローバル(SPGI) 1.5 -0.5 3.6 11.0 -9.4
ムーディーズ(MCO) 2.5 2.3 8.2 3.6 -8.6
ファクトセット リサーチ システムズ(FDS) 0.4 4.7 8.4 0.8 -0.4

注:株価騰落率は、8/22(火)時点のデータによります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 世界の富の推移(兆ドル、各年末)

※「クレディスイス グローバルウェルスレポート」をもとにSBII証券が作成

図表5 金融情報サービス4社の業績推移・予想

注:ファクトセットリサーチシステムズは、2020年8月期を2020年に対応させています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3金融情報サービス企業のご紹介

〇MSCI(MSCI)

機関投資家が資産運用のベンチマークに利用する株式や債券の指数を算出するほか、運用の意思決定支援に係るリスク管理・投資判断・分析ツールを提供します。30ヵ国以上に拠点をもち、95ヵ国以上で6,600超の顧客を擁します。2022年12月期の売上構成比は、指数が58%、分析が26%、ESG&気候変動が10%、その他が6%です。売上のうち74%がサブスクリプションなどで経常的発生が期待できる収入、また24%が運用資産額をベースとするフィーからなり、98%が比較的安定した収入と言えます。

4-6月期決算は、売上が前年同期比13%増、EPSが同17%増で、市場予想も上回って好調でした。2023年12月期予想については、営業キャッシュフローは11.45〜11.95億ドル、フリーキャッシュフローは10.60〜11.20億ドルで据え置かれました。中期の成長目標として、売上は10%台前半の伸び、調整後EBITDA(利払い、税金、償却前利益)は10%台前半から半ばの伸び、を掲げています。

〇S&P グローバル(SPGI)

金融情報大手。信用格付け情報を柱にリアルタイム金融取引情報、株価指数、商品価格情報などを提供します。2022年12月期の売上構成比は、マーケットインテリジェンス(分析ツールなど)が34%、格付情報が27%、コモディティ・インサイト15%、ダウジョーンズ・インダイス12%、モビリティ10%、エンジニアリング・ソリューション3%です。2022年2月に英国の同業者IHSマークイット社買収と自社の一部事業売却を完了しました。

4-6月期決算の発表を受けて2023年12月期の業績ガイダンスは、従来のものを維持しました。売上は前年比10〜12%増(買収の影響を除く調整後では、同4〜6%増)、EPSは8.65〜8.85ドル(調整後では12.35〜12.55ドル)です。

〇ムーディーズ(MCO)

世界最大級の格付会社で、信用格付け事業と経済・財務情報や調査・分析、意思決定支援のソリューション提供の2本立てです。前者の格付け対象は145の国、1.5万超の公的機関、8000超の企業など、後者の事業は約1.5万の顧客を抱えます。2022年12月期の売上構成比は、ムーディーズ・アナリティクス(分析ツールなど)が51%、ムーディーズ・インベスター・サービス(主に格付情報)が49%。

4-6月期は売上・EPSとも市場予想を上回ったことを受けて、2023年12月期の売上成長率を「一桁台半ばから後半の伸び」から、「一桁台後半の伸び」に、調整後EPSを9.50〜10.00ドルから9.75〜10.25ドルに引き上げています。2022年をベースとした中期業績ガイダンスは、売上成長は10%以上(ムーディーズ・アナリティクスは10%台前半から半ばの伸び、ムーディーズ・インベスター・サービスは一桁台の前半から半ばの伸び)、調整後の営業利益率は50%台前半、調整後EPSは10%台前半の伸び、としています。

〇ファクトセット リサーチ システムズ(FDS)

金融情報サービス会社。金融業界のプロ向けに、金融・資本市場に関連する各種データおよび分析ツールを提供します。テクノロジーを活用したサービスに特徴があります。20ヵ国に37オフィスを構え、約11,000人の従業員によってサービスを提供、7,500社の顧客を保有、同社システムのユーザーは18.5万人です。2022年3月に有価証券の識別番号管理するCGSを19億ドルで買収しました。

3-5月期決算を受けた2023年8月期の業績ガイダンスは、売上レンジの中央値が約1%下方修正される一方、調整後営業利益率が上方修正され、調整後EPSは従来の14.50〜14.90ドルから14.75〜15.15ドルに引き上げられています。

図表6 投資指標

銘柄名(コード) 株価
(8/22)
(ドル)
予想PER
(倍)
時価総額
(億ドル)
今期予想
売上増加率
(%)
今期予想
EPS増加率
(%)
今期予想
営業利益率
(%)
MSCI(MSCI) 527.91 37.8 418 11.6 16.7 55.5
S&P グローバル(SPGI) 383.54 28.6 1,220 6.0 4.5 46.2
ムーディーズ(MCO) 327.01 31.3 600 16.3 27.8 38.2
ファクトセット リサーチ システムズ(FDS) 430.02 26.8 164 7.3 11.8 35.7

※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

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