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【米テック株ウォッチャー】テック株の決算からみる「AIの貢献度」と「半導体の底打ちタイミング」

2023/8/2
投資情報部 李 燕

今回はテック大手の決算を、「AIの貢献度」と「半導体の底打ちタイミング」の角度から点検してみたいと思います。

図表1 主な言及銘柄 (Bloomberg銘柄名)

銘柄 株価(8/1) 52週高値 52週安値
マイクロソフト(MSFT) 336.34米ドル 366.78米ドル 213.43米ドル
アルファベット A(GOOGL) 131.55米ドル 133.74米ドル 83.34米ドル
エヌビディア(NVDA) 465.07米ドル 480.88米ドル 108.13米ドル
アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD) 117.60米ドル 132.83米ドル 54.57米ドル
インテル(INTC) 35.80米ドル 37.69米ドル 24.59米ドル
テスラ(TSLA) 261.07米ドル 314.67米ドル 101.81米ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 テック大手の決算は総じて上振れ

米国株の決算発表がピークを迎えています。リフィニティブが公表したデータによると、S&P500指数の構成銘柄のうち、6割弱の企業が決算を発表しました(8/1までのデータ、以下同様)。そのうち、売上高が市場予想を上回った企業は6割で、利益が市場予想を上回った企業は8割となりました。

業種別では、情報技術とコミュニケーション・サービスが決算サプライズ比率(※)で上位1位と2位に並びました(図表2)。両業種は主にテック株で構成されているため、テック株の決算が総じて堅調だったことが示されました。(決算サプライズ比率※:市場予想を上回った業績を発表した企業の比率)

図表2 業種別S&P500指数の決算サプライズ比率(利益ベース、%)

※リフィニティブが公表したデータによりSBI証券が作成

他方、業種別S&P500指数の動きを確認してみると(図表3)、主力企業の決算発表後、コミュニケーション・サービスは堅調ですが、情報技術と一般消費財・サービス(テスラ(TSLA)が主な構成銘柄の一つになっている)はやや上値の重い展開となっています。全体的な決算サプライズ比率だけでなく、主力企業の決算内容も株価を左右したとみられます(詳細は図表4と図表5を参照)。

図表3 業種別S&P500指数の年初来推移(2022年12月末=100として指数化)

※BloombergデータによりSBI証券が作成

2 「AIの貢献度」と「半導体の底打ちタイミング」には強弱感

今回の決算発表では、業績動向もさることながら、「AIの貢献度」と「半導体の底打ちタイミング」も重要なチェック・ポイントとなっています。なぜならば、年初からのテック株の上昇は、上記2つに対する期待による部分も大きいためです。

そこで、主力テック大手の決算について、業績動向に加え、「AIの貢献度」と「半導体の底打ちタイミング」に関する経営陣のコメントを簡単にまとめました(図表4と図表5)。

図表4 「マグニフィセント・セブン」(注1)のうち、決算を発表した銘柄の決算ポイント

銘柄コード Bloomberg銘柄名 決算サプライズ(注2) 決算発表後、翌取引日の株価騰落率 決算ポイント
MSFT マイクロソフト 5.3% -3.8% 4-6月期の全体的な業績は市場予想を上回ったが、売上高の伸びは前四半期より鈍化した。特に成長を支えてきたクラウドコンピューティング事業の「Azure」の増収率が鈍化した。経営陣は、Azureの成長鈍化は7-9月期も続く見込みだとした。また、AI関連収入は漸進的な伸びにとどまると予想した。
GOOGL アルファベット 8.8% 5.8% 4-6月期は売上高の伸びが加速し、予想を上回る好決算となった。特に主力の広告収入が堅調だった。グーグルの対話型AI「Bard」の普及は進んでいないものの、検索エンジン市場での支配的な地位を維持していることが示された。
TSLA テスラ 12.5% -9.7% 4-6月期はEV販売の回復を支えに、調整後EPSが市場予想を上回った。値下げによる粗利益率の低下はおおむね市場予想の範囲内だったが、7-9月期の生産台数や通期の納車台数目標は保守的だった。AIと関連する完全自動運転(FSD)ソフトについては、特段新しい情報はなく、試供版で運営していることに変わりはなかった。
META メタ・プラットフォームズ 2.1% 4.4% 4-6月期は1年以上ぶりの大幅増収となった。仮想現実(VR)ヘッドセット「Quest」の開発を手掛けるリアリティーラボ部門は減収だったが、売上高全体の98%を占める広告収入が2桁増収と堅調だった。7-9月期の売上高ガイダンスも市場予想を上回った。

注1:決算サプライズ=(調整後EPSの実績/市場予想-1)です。
注2:「マグニフィセント・セブン」はナスダック100指数の構成銘柄のうち、上位7銘柄のマイクロソフト、アップル、エヌビディア、アマゾン、テスラ、メタ プラットフォームズ、アルファベットを指します。
注3:8/1時点で決算を発表した銘柄で、順位は時価総額順です。
※BloombergデータによりSBI証券が作成

図表5 S&P500指数の情報技術サブ指数のうち、半導体関連銘柄で決算を発表した企業の決算ポイント

銘柄コード Bloomberg銘柄名 決算サプライズ(注1) 決算発表後、翌取引日の株価騰落率 決算ポイント
TSM TSMC/台湾セミコンダクター 4.7% -5.1% 4-6月期の業績は市場予想を上回ったが、7-9月期の売上ガイダンスは予想を下回った。経営陣は、AI関連の需要増加と3nmの力強い伸びは、顧客の在庫調整による影響を相殺するほどではない見込みだとした。通期売上予想も「1桁台前半から半ばの減収」から「10%減」に下方修正した。AI関連製品は売上高の約6%を占めているが、今後5年間で年間50%成長し、売上の10%まで増加する見通しだと示した。
ASML ASMLホールディング 6.2% -5.3% 4-6月期の業績は市場予想を上回った。成熟ノード向けのDUV露光装置が好調(特に中国向け)が支えとなった。DUVの出荷増加を理由に通期の売上高予想を前年比30%増に上方修正した。ただ、最先端のEUVは出荷減少を見込んだ(大部分は顧客の工場の準備状況によるもの)。また、特定分野では底打ちの気配もみられるが、半導体業界は依然として在庫レベルが高水準にあり、顧客はより慎重になっているとコメントした。
AMD アドバンスト・マイクロ・デバイセス 1.1% 3.4%(※) 4-6月期の調整後EPSは市場予想を上回った。7-9月の売上高ガイダンスは中央値で市場予想をやや下回った。競合のエヌビディア(NVDA)が支配的な立場にあるAIアクセラレーターについて、同社は顧客が利用を検討する傾向が強まっていると説明。リサ・スーCEOは「複数の顧客が将来の導入をサポートするプログラムを開始または拡大したため、当社のAI契約は当四半期に7倍強に増加した」と明らかにした。
TXN テキサス・インスツルメンツ 6.4% -5.4% 4-6月期の売上高は市場予想を上回ったが、7-9月期の売上高ガイダンスは中央値で市場予想を下回った。4-6月期について経営陣は「前四半期と同様に、自動車業界を除く全てのエンドマーケットで低調だった」とコメントした。7-9月期のガイダンスからすると、需要低迷は続く見通しとなった。
INTC インテル 予想外の黒字転換 6.6% 4-6月期はPC市場の回復を追い風に黒字転換となった。これまでは2四半期連続で過去最大の赤字を記録していただけに、好決算が目立った。7-9月期の売上高ガイダンスも市場予想を上回った。パトリック・ゲルシンガーCEOは、サーバー部門は期待されたほど急速には回復していないものの、PC部品在庫が通常水準に戻り、顧客が注文再開に動いていると指摘。PC関連事業で年後半に持続的な回復が見込まれると述べた。
LRCX ラムリサーチ 19.3% 9.3% 4-6月期の業績と7-9月期の売上高ガイダンスは市場予想を上回った。ティム・アーチャーCEOは、「AIは初期段階にあり、今後数年間は工場や自社のツールへの投資がさらに重要になる」とコメント。また、「先進的なAIサーバーは、従来のサーバーに比べて、最先端のロジックやメモリー、ストレージの含有率が著しく高く、AIサーバーとデータセンターが1%普及するごとに、10億ドルから15億ドルの追加(チップ設備)投資が見込まれる」と述べ、AI関連ツールの需要拡大を見込んだ。
MU マイクロン・テクノロジー 10.1% -4.1% 3-5月期の業績と6-8月期の売上高ガイダンスは市場予想を上回った。経営陣は、「メモリ業界の収益は谷を乗り越えたと考えており、業界の需給バランスが徐々に回復するにつれて利益率も改善すると予想している」と述べた。また、生成AIブームを背景に、AIサーバー向けのメモリー・チップやストレージ・チップの需要は予想を上回っているとコメントした。ただ、2023年に急速な成長に戻るとは見込んでおらず、PC市場は依然として困難であるとの見方を示した。また、中国が同社製品について安全保障上のリスクがあると指摘したことが「当社の見通しに影響を与え、当社の回復を遅らせている重大な逆風だ」と述べた。
KLAC KLA 11.3% 5.9% 4-6月期の業績は市場予想を上回った。7-9月期の売上高ガイダンスも予想を上振れし、半導体メーカーが再び新しい装置への支出を始めようとしていることが示唆された。AI関連について経営陣は、「需要は増加している。全体的に占める比率は小さいが、かなり伸びている。」とコメントした。
NXPI NXPセミコンダクターズ 4.4% 4.3% 4-6月期の業績と7-9月期の売上高ガイダンスは市場予想を上回った。4-6月期は主力の自動車向けが堅調だったほか、産業/IoTおよびモバイル向けも回復した。経営陣は、「実績とガイダンスを総合すると、自動車、産業/IoT、通信インフラ事業が引き続き好調である一方、消費者関連事業では景気後退期をうまく乗り切っているという確信を得ることができる。」とコメントした。

注1:決算サプライズ=(調整後EPSの実績/市場予想-1)です。
注2:8/1時点で決算を発表した銘柄で、順位は時価総額順です。
注3:AMDの株価騰落率は決算発表後の時間外取引(日本時間7:30まで)の騰落率です。
※BloombergデータによりSBI証券が作成

上記の図表4と図表5を合わせると、主力テック企業の決算からは、以下の点が確認できます。

1)業績に対する「AIの貢献度」は、強弱まちまちのようです。全般的にみると、今のところは「マグニフィセント・セブン」のような「AI活用組」よりは、半導体関連銘柄が業績面でより早く恩恵を受けることとなりそうです。

設備投資規模が大きいマイクロソフト(MSFT)とアルファベット(GOOGL)、メタ プラットフォームズ(META)はいずれも今後、AIへの投資を拡大する意向を示したことも、半導体企業のAIに対する前向きなコメントにつながったとみられます。

他方、半導体企業だけをみた場合は、AI半導体王者のエヌビディア(NVDA)が5月末に決算発表で行ったように、「短期的に業績を著しく押し上げる」と見込んでいる企業は少ない印象もありました。

したがって、業績に対する「AIの貢献度」は時間軸でみた場合、エヌビディア>>その他の半導体企業>「マグニフィセント・セブン」の順になると予想されます。なお、エヌビディアは8/23に決算発表を行う予定で、今回も前四半期同様に好決算を発表できるかどうかが注目されます。

2)「半導体の底打ちタイミング」については、まず、前四半期の決算発表時と同様に、企業ごとに強弱感がみられました。それぞれ主力としている市場の違いや企業自身の運営によるものと考えられます。次に、全般的には前回の決算発表時と比較した際、「半導体の底打ちタイミング」は多少(1四半期か1-2四半期)ずれる可能性があると示されました。ただ、企業経営者のコメントは総じて前向きで、「底打ちタイミング」はずれるかもしれませんが、底打ちの確度は高くなっている印象も見受けられます。

3 バリュエーション面からすると8月は多少警戒も必要か

上記で確認したように、主力テック企業の決算は多少強弱感はあるものの、総じて堅調と言えそうです。他方、バリュエーション面からすると、堅調な業績はある程度株価に織り込まれている可能性もあります(図表6)。

図表6 主力テック企業と指数のバリュエーション(株価水準)

注1:PERは株価収益率、PSRは株価売上高倍率です。
注2:SOX指数はフィラデルフィア半導体株指数です。
※BloombergデータによりSBI証券が作成

S&P500指数とナスダック100指数の月次パフォーマンスを確認してみると(図表7と図表8)、8月はやや低調だったことが分かります。今年は株高が続いたことからすると、短期的にはやや警戒も必要かもしれません。一方、テック企業は中長期的にAIの導入拡大や半導体の底打ちの恩恵を受けると予想されるため、調整時は押し目買いのチャンスかもしれません。ただ、図表7と図表8からは、9月も総じて軟調だったことが示されています。中長期的な成長を見込んだ買いでも、時間分散の買いの方が良さそうです。

図表7 S&P500指数の月次騰落率(過去20年間、%)

※BloombergデータによりSBI証券が作成

図表8 ナスダック100指数の月次騰落率(過去20年間、%)

※BloombergデータによりSBI証券が作成

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