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2024-05-04 11:23:19

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大幅に下落した米銀株は「10年に1度」の買いチャンスなのか!?

2023/4/5
投資情報部 榮 聡

米国の地方銀行株を組み入れたETFに大量の資金が流れ込むなど、銀行破綻で下落した銀行株には投資チャンスが訪れていると見る向きもあるようです。そこで今回の銀行破綻の状況を確認した上で、銀行株への投資可能性を検討してみました。

図表1 主な言及銘柄

銘柄 株価(4/4) 52週高値 52週安値
バンガード 米国金融セクター ETF(VFH) 76.80米ドル 93.63米ドル 72.96米ドル
金融セレクト セクター SPDR ファンド(XLF) 31.91米ドル 38.36米ドル 29.59米ドル
Direxion デイリー 地方銀行 ブル3倍 ETF(DPST) 7.00米ドル 41.46米ドル 6.50米ドル
Direxion デイリー米国金融株ブル3倍 ETF(FAS) 56.25米ドル 117.74米ドル 48.86米ドル
トラスト ファイナンシャル(TFC) 31.95米ドル 56.00米ドル 28.70米ドル
M&Tバンク(MTB) 117.18米ドル 193.42米ドル 110.00米ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 大幅に下落した銀行株は買いチャンス?

3月上旬に米国の地方銀行3行が破綻したことを受けて、3月29日のウォールストリートジャーナル紙には『米銀株は「10年に1度」の買いチャンスか』との記事が掲載され、バーゲンハンティングのチャンスとみる投資家もいることが報じられています。

そこで今回は、銀行破綻で大幅に下落した米国の銀行株の投資可能性を検討してみました。

〇銀行破綻で地方銀行株が大幅に下落

3/10(金)にシリコンバレーバンク、3/12(日)にシグネチャーバンクが金融当局から破綻認定され、自主的に廃業を決めたシルバーゲイトバンクを含め、短期間に3つの地方銀行が破綻するという想定外の動きが起こりました。

シリコンバレーバンクとシグネチャーバンクはS&P500指数に採用されていた銘柄であり、財務内容が極端に悪化していたわけでもないのに、数日のうちに金融当局から破綻認定されて、株式市場には大きなショックとなりました。

銀行株の動向をみるときによく参照されるKBW銀行株指数は図表2の通り、大幅な下落となりました。この指数は地方銀行だけでなく、JPモルガンチェースといった大手銀行株も含まれているため、地方銀行株だけの指数はもっときついものになっています。

追加で破綻する銀行が出ていないことから徐々に金融不安への懸念は後退しつつあり、同株価指数もやや戻り歩調にあります。しかし、年初来ではS&P500指数が7.4%の上昇となっているのに対して、19.1%の下落と大幅なアンダーパフォームとなっています(4/3(月)時点)。

〇投資のチャンスと見る投資家もいる

一方、この株価下落をチャンスとみる投資家もいるようです。図表3の通り、地方銀行のETF「SPDR S&P地方銀行ETF」(日本国内での取り扱いのないETFです)の資金流出入をみると3/17(金)までの一週間には15.8億ドルの流入超、年初来の累計でも9.2億ドルの流入超となっています。

このような投資行動の背景には、今回の金融不安が2008年リーマンショックのような金融危機に深刻化する可能性は低いとみていることがあるようです。

破綻したシリコンバレーバンク、シグネチャーバンクとも、預金者の構成に偏りがあり、かなり特殊なケースと考えられることが指摘されています。Bloombergの銀行セクターアナリストによるレポートによると、預金保険で保護される25万ドル以下の預金が全預金額に占める割合が5%以下で最も低いのがシリコンバレーバンク、6%程度で2番目に低いのがシグネチャーバンクでした(図表4)。3番目に低いのが両銀行の破綻後に懸念が高まったファーストリパブリックですが、同比率は20%と破綻2行とはレベルが違っています。

つまり、破綻した2つの銀行は特殊なケースであって、幅広い産業に融資を行い、社会の幅広い層から預金を集めている、一般的な銀行には破綻の連鎖は及ばない可能性が高いと考えられています。両銀行とも大口の預金者が多く、SNSなどでつながっていたことが、急激な預金流出につながったとされます。

新たに破綻する銀行が発生せず、銀行不安が徐々に落ち着きを取り戻すなら、大きく下落した銀行株は投資のチャンスと考えられます。

〇預金の流動性が高まっているため、しばらく注意は必要

銀行破綻の影響は預金の流出という形で預金者の行動にあらわれていますが、最近の動向をみると、まだ完全には落ち着いていないようです。

FRB(米連邦準備制度理事会)が発表している週間の銀行統計では、銀行破綻が起きた3/8(水)〜3/15(水)に国内小銀行の預金が1,960億ドルと大幅な流出となりました。しかし、翌週には若干のプラスに転じて、小銀行から預金を逃避させる動きには沈静がみられます。一方、大銀行の預金は3/15(水)〜3/22(水)の週に900億ドルの流出となって、全体としてはまだ落ち着きを取り戻していないことがうかがえます。

銀行から流出した預金は、国債など政府関係債を組み入れたMMF(マネー・マーケット・ファンド)に流入しているとみられます。金融調査会社ICIが発表しているMMFの統計によれば、国債など政府関係債を組み入れたMMFの残高は3/1(水)から3/29(水)にかけて3,340億ドル増加して、国内銀行の預金流出額の約3,000億ドルに近い水準です。

情報感度の高い投資家がこのような動きをリードしているとみられますが、幅広い消費者に同様の動きが広がる可能性もあるため、いましばらく動向を注視していく必要があるでしょう。JPモルガンチェースのダイモンCEOも、4/4(火)に公表された年次メッセージで、「銀行危機はまだ終わっていない。危機が終わった後も影響は何年も続く」との見方を示しています。

図表2 S&P500指数とKBW銀行株指数

注:最後のデータは4/4(火)です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3 SPDR S&P地方銀行ETFの資金流出入(百万ドル)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 25万ドル以下の預金が全預金額に占める割合(主要な米地方銀行)

※Bloomberg所属のアナリストによるレポートから図表を抜粋

2 当社取り扱いの米国上場金融ETF

金融不安の落ち着きを見越して銀行株の戻りを取るには、最もオーソドックスな方法として、下落した金融株、銀行株のETFを買うことが考えられます。

預金の流出は鈍化しているとは言え、まだ、流出が続いている段階では、個別銀行の買うのはリスクが大き過ぎる可能性があります。

数十銘柄にリスク分散された金融株指数、銀行株指数なら、万が一破綻する銀行が出てもダメージは限定され、事態の落ち着きを受けて戻る他の銘柄によってリターンを得られると期待できます。

当社が取り扱っている、米国上場の金融、銀行ETFは図表5の通りです。上の3銘柄はレバレッジがかかっていないETFで、下の3銘柄はレバレッジがかかっているため、値動きが非常に大きくなっています。

レバレッジがかかっていないETFでは、米国の金融株が組み入れられているバンガード 米国金融セクター ETF(VFH)金融セレクト セクター SPDR ファンド(XLF)の関連が高いでしょう。ただ、下落率はさほど大きくなく、戻りがあってもさほど大きなリターンは期待できないと考えられます。

投資妙味がありそうなのが、レバレッジがかかっているETFで、それぞれ以下にご紹介いたします。

〇Direxion デイリー 地方銀行 ブル3倍 ETF(DPST)

同ETFは、「S&P リージョナル・バンクス・セレクト・インダストリー指数」の300%のパフォーマンスに連動する投資成果を目指します。対象指数は、今回の地方銀行破綻が直撃した株価指数で過去3ヵ月の騰落率は25.2%の下落となっています。一方、3/31(金)時点で144銘柄に分散されているため、この指数がゼロになることはありません。

銀行破綻の不安が後退するにつれ、かなりの回復が期待できそうです。ただ、銀行不安は去ったわけではなく、再び大幅に下落する局面があるかもしれませんので、投資するにしても、時間分散するのが良いでしょう。

〇Direxion デイリー米国金融株ブル3倍 ETF(FAS)

同ETFは、「ラッセル1000金融サービスインデックス」の300%のパフォーマンスに連動する投資成果を目指します。対象指数は、 3/31(金)時点で139銘柄に分散され、銀行だけではなく、証券、保険、その他金融サービスの銘柄が幅広く組み入れられています。その意味では、銀行株の動向に対する感応度は落ちますが、銀行株が下落する過程で、他の金融株も下がっているため、ある程度の戻りは期待できるでしょう。

図表5 当社取り扱いの金融ETF(米国上場)

ティッカー 名称 連動対象 騰落率(年初来)(%)
(レバレッジがかかっていないETF)
VFH バンガード 米国金融セクターETF 米国の金融株に投資 -6.0
XLF 金融セレクト セクター SPDR ファンド 米国の金融株に投資 -5.8
IXG iシェアーズ グローバル金融 ETF 金融株へグローバルに投資 -1.1
(レバレッジがかかっているETF)
DPST Direxion デイリー 地方銀行 ブル3倍 ETF 米国地方銀行株のブル3倍 -66.8
FAS Direxion デイリー米国金融株ブル3倍 ETF 米国金融株のブル3倍 -21.1
FAZ Direxion デイリー米国金融株ベア3倍 ETF 米国金融株のベア3倍 13.3

注:年初来騰落率は4/3(月)のデータによります。
※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

3 (3)S&P500指数に採用の地方銀行株

個別の地方銀行に投資して銀行株の戻りを取る場合を考えてみましょう。まだ、銀行からの預金流出が続いているため、非常にリスクの高い戦略であることはご承知おきください。

対象銘柄として、S&P500指数に採用されている7銘柄をピックアップしました。

株価の推移を見ると、次に銀行破綻のリスクが高いと目され、大手銀行から預金の支援を受けたファースト・リパブリック・バンクが年初来88%の下落となっているほか、ユタ州本社で資産規模が小さいZBナショナル・アソシエーションが41%の下落となっており、これらは避けるべきだと思われます。その他銘柄の年初来下落率は、マイナス25%以内となっており、これら銘柄は投資対象として考えて良さそうです(図表6)。

さらに図表7は同じく7銘柄の投資指標で、(1)「S&P発行体格付け」の高い順、(2)時価総額の大きい順に並べています。この順番と最後のコラムの年初来株価騰落率の相関がある程度高いことから、表の上位の銘柄については相対的に破綻のリスクが小さく、過度な懸念が後退するにつれ、株価の戻りが期待できるのではないでしょうか。

〇トラストファイナンシャル(TFC)

・2019年12月にSun TrustとBB&Tの合併で誕生した預金額で全米5位の金融持ち株会社です。南東部と中部大西洋岸が地盤で、リテール、商業銀行、投資顧問、商業用不動産などのサービスを提供します。傘下の保険会社はブローカー事業で世界10位以内の規模です。

・25万ドル以下の預金が全預金額に占める割合は40%以上と、特に問題になるような水準ではないでしょう(図表4)。S&Pの発行体格付けは「A-」と高く、ROA(総資産利益率)も比較的高くなっています。合併のプロセスに時間がかかりましたが、今後は合併関連費用がなくなり、合併によるシナジー効果が期待されます。

〇M&Tバンク(MTB)

・ニューヨーク州バッファロー地盤の金融持ち株会社。傘下のM&T銀行はSBAローンに強みをもち、子会社で保険や証券なども展開します。2022年4月に北東部地盤のピープル・ユナイテッド・ファイナンシャル買収完了で営業エリアは12州と特別区に拡大しました。

・25万ドル以下の預金が全預金額に占める割合は40%台後半と高く、リスクは相対的に低いと考えられます(図表4)。S&Pの発行体格付けは「BBB+」と平均的です。ニューヨーク州に隣接するニューイングランド地域への展開は、営業効率の向上と費用削減による収益性の向上につながると期待されます。

なお、バイデン政権は資産規模1,000〜2,500億ドルの銀行規制を強化するよう提案しています。実現すれば、対象になる多くの地方銀行について収益性がやや低下すると想定されます。ただ、これは中長期の影響で、当面の株価動向には金融不安を乗り切れるかどうかのほうが重要と考えられます。

図表6 S&P500指数に採用されている地方銀行銘柄の株価

注:最後のデータは4/4(火)です。
※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

図表7 S&P500指数に採用されている地方銀行銘柄の投資指標

コード 名称 S&P
発行体
格付け
時価総額
(億ドル)
総資産
(億ドル)
実績
ROA(%)
株価騰落
(年初来)(%)
主な営業地域
TFC トラスト・ファイナンシャル A- 440 5,553 1.14 -23.0 南東部、中部大西洋岸
MTB M&Tバンク BBB+ 200 2,007 1.12 -18.1 北東部
RF リージョンズ・ファイナンシャル BBB+ 174 1,552 1.41 -13.8 中西部、南部
HBAN ハンチントン・バンクシェアーズ(オハイオ州) BBB+ 162 1,829 1.25 -20.8 中西部
CFG シチズンズ・フィナンシャル・グループ BBB+ 146 2,267 1.00 -23.3 東海岸
ZION ZBナショナル・アソシエーション BBB+ 43 895 0.99 -40.8 西部、南西部
FRC ファースト・リパブリック・バンク B+ *- 27 2,126 0.85 -88.0 カリフォルニア州

注:4/3(月)時点のデータによります。
※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

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