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【米国株特集】シリコンバレー銀行(SVB)の破綻、30年連続増配&FCFがプラスの企業

2023/3/15
投資情報部 李 燕

米シリコンバレー銀行の破綻が市場に衝撃を与え、一部では「リーマン・ショック再来か」との議論も起きています。今回は、シリコンバレー銀行とリーマンブラザーズの破綻を比較してみたいと思います。

図表1 主な言及銘柄 (Bloomberg銘柄名)

銘柄 株価(3/14) 52週高値 52週安値
コカ・コーラ(KO) 60.03米ドル 67.20米ドル 54.02米ドル
マクドナルド(MCD) 265.90米ドル 281.67米ドル 223.16米ドル
ドーバー(DOV) 145.66米ドル 162.88米ドル 114.49米ドル
エマソン・エレクトリック(EMR) 83.09米ドル 100.00米ドル 72.41米ドル
ジェニュイン・パーツ(GPC) 163.80米ドル 187.73米ドル 121.61米ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 シリコンバレー銀行の破綻とリーマンブラザーズとの比較

3/8から3/12のわずか数日間で米銀3行が破綻し、市場に衝撃を与えました。3行の共通点は、米国が2022年3月に利上げを実施するまでは低金利環境によって資金流入の恩恵を受けた一方、その後は急ピッチな利上げにより資金繰りが厳しくなった業界(暗号資産やスタートアップ業界)と深く関わってきたことです。

図表2 破綻した米銀3行とその資産規模

日付 出来事 銀行の特徴 銀行の資産規模(注)
3月8日 シルバーゲート キャピタル A(SI)は、傘下の銀行事業を自主的に清算すると発表。 傘下のシルバーゲート銀行は、暗号資産(仮想通貨)関連企業を中心に取引する銀行。 114億ドル
全米128位
3月12日 米カリフォルニア州の金融当局は、SVBファイナンシャル・グループ(SIVB)が流動性不足に陥り、債務超過状態にあると認定し、米連邦預金保険公社(FDIC)を破綻管財人に任命したと発表。 傘下のシリコンバレー銀行は、スタートアップ業界と深く関わっている(図表3を参照)。 2,090億ドル
全米16位
3月12日 米ニューヨーク州金融当局は、シグネチャー・バンク(SBNY)を閉鎖し、FDICを破綻管財人に任命したと発表。 シルバーゲート銀行のライバルで、同じく暗号資産業界にフレンドリーな銀行とされている。 1,104億ドル
全米29位

注:銀行の資産規模は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した当該銀行の2022年末時点の総資産規模です。たとえば、SVBフィナンシャル・グループの場合はグループではなく、傘下のシリコンバレー銀行の総資産規模となっています。
※BloombergとFRBの公式発表によりSBI証券が作成

そのうち、資産規模が相対的に大きいシリコンバレー銀行の破綻は、米銀の破綻として史上2番目の規模となりました。また、リーマン・ショックをきっかけとした2008年の金融危機以降で最大の規模となり、注目を集めています。

シリコンバレー銀行の破綻はリーマン・ショックのような金融危機につながる可能性は高くない、というのが市場での大方の見方となっています。一方、世界各地の投資家が銀行へのエクスポージャーを減らしており(米国だけでなく欧州や日本でも銀行株が急落)、投資家は信用不安が広がるリスクを警戒しているようです。

そこで、シリコンバレー銀行と2008年の金融危機の発端となったリーマンブラザーズの破綻を比較してみたいと思います。

図表3 シリコンバレー銀行とリーマンブラザーズの破綻

企業 シリコンバレー銀行(略称はSVB)
(上場会社は親会社のSVBフィナンシャル・グループ(SIVB))
リーマンブラザーズ
概要 ユニークな特徴を持つ米地方銀行 米大手証券会社
特徴 VC(ベンチャーキャピタル)が出資するIT業界のスタートアップ企業やVCから預金を集め、スタートアップ企業やVCに対して金融サービスを提供する銀行。スタートアップ業界と深く関わっている銀行と言える。 米証券大手4社の一つ(当時)。サブプライムローン(※)の証券化業務に積極的に取り組んだ証券会社として知られている。(※信用力や所得が低い人を対象にした住宅ローン)
規模 総資産:2,090億ドル(2022年末) 総資産:6,390億ドル(2008年当時)
破綻日 2023年3月10日 2008年9月15日
破綻のきっかけ 預金者の取り付け騒ぎで露わになった流動性問題 サブプライム問題
破綻の経緯 ・主な預金者であるスタートアップ企業が米国の金利上昇を背景に資金調達が難しくなり、同行から預金を引き出すようになった。四半期ベースでみた場合、預金額(SIVB)は2022年第2四半期から減少(預金流出)に転じた。
・バランスシートは長期資産(米国債やその他の債券)への集中度が高く、これらの長期資産は2022年3月からの米利上げにより価格が下落した。その結果、多額の評価損を抱えていた。
・預金者の資金引き揚げは2023年に入ってからも続き、同行は対応に追われていた。3/8にSIVBは22.5億ドルの増資計画とともに、保有する売却可能な証券の大部分を売却し18億ドルの損失が出たと発表。それを受け、3/9に取り付け騒ぎが起き(総額420億ドルに上る預金引き出しが殺到、その規模は過去3四半期ベースの平均流出額の約4倍にあたる)、信用不安につながった。
・3/10に米国連邦預金保険公社(FDIC)は同行を管理下に置くと発表し、同行は事実上の経営破綻となった。米財務省と連邦準備制度理事会、およびFDICは3/12に共同声明で、預金の全額保護を表明した。ただ、イエレン米財務長官は銀行自体については公的資金による救済は考えていないと表明した(3/12)。
・2006年半ばごろに米国の住宅バブルが崩壊し、サブプライムローンの延滞が増加し始めた。その後、サブプライムローンの延滞率は上昇し続け、2007年にサブプライムローン債権を担保とした証券の価格が下落し、「サブプライムローン問題」が広く知られるようになった。
・同行はサブプライムローンの証券化業務を積極的に取り組んできたこともあり、サブプライムローンの証券化商品を大量に保有していた。そのため、「サブプライムローン」に伴う評価損で赤字に転落し、経営破綻となった。
共通点 ・使用不安やシステマティックリスクに対する懸念 ・使用不安やシステマティックリスクに対する懸念
相違点 ・総資産規模で全米16位の中堅銀行。米銀の破綻では総資産ベースで過去2番目の規模ではある。
・特徴のある銀行として、同行の問題(預金者層の偏りやバランスシート上で長期資産の比率が大きいこと)は、すべての銀行(特に大手銀行)に共通しているわけではない。ただ、類似性のある地方銀行(たとえばファースト・リパブリック銀行(FRC)、総資産規模で全米14位)はあり、警戒されている。
・当時は資産規模で米証券業界で4位の大手証券。負債総額は6,000億ドルを超え、史上最大規模の破綻となった。
・サブプライムローンの証券化商品は、複雑な仕組みになっているうえ、高レバレッジも可能となる特性を持つ。そのような比較的リスクが高い商品を、同行だけでなく、他の大手証券会や投資銀行、保険会社も(かなり)保有していた。

※Bloombergおよび各種資料をもとによりSBI証券が作成

図表3からすると、シリコンバレー銀行は預金層が偏っており、負債(銀行にとって預金は負債に当たる)と資産のミスマッチ(短期の負債が多いのに対し、長期資産への集中度が高い)によるバランスシートの脆弱性を抱えていた。これらは同行の固有の問題であり、すべての銀行(特に大手銀行)に共通しているわけではないと言えます。また、評価損が明らかになった長期資産は米国債などといった安全性や透明性があるものとなっており、リーマンショック時のサブプライムローンの証券化商品と大きく異なります。

このようにみると、シリコンバレー銀行の破綻は「リーマンショック」級ほどではないようにみえます。それにもかかわらず、金融株が大幅に売られたのは、以下の要因も関連していると思われます。

1)信用不安が広がるリスクへの警戒
米金融当局は3/12にシリコンバレー銀行の預金の全額保護を表明しましたが、3/13に銀行株が大幅に続落しました。特にシリコンバレー銀行と類似性がある地方銀行のファースト・リパブリック銀行(FRC)が急落しました。市場ではシリコンバレー銀行破綻の「飛び火」を警戒しているようです。翌3/14は市場センチメントがやや好転し、銀行株も持ち直しました。一方、シリコンバレー銀行破綻後の下落幅に対する上昇幅からすると、信用不安が広がるリスクに対する警戒は完全に消えたとは言えなさそうです。

2)金融機関が保有する債券の含み損に対する警戒
シリコンバレー銀行は破綻の直前に、多額な預金請求に対応するため、保有する長期債券(米国債など)を売却せざるを得なくなり、売却に伴い評価損が実損となったことが明らかになりました。多くの金融機関も長期債券を保有しているため、シリコンバレー銀行と同様に評価損を抱えている可能性があることが改めて意識されました。その評価損が収益や財務に与える影響を警戒し、足元で銀行株や保険株が大幅に売られたとみられます。

なお、米連邦預金保険公社(FDIC)によると、2022年の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げにより米国の銀行が保有する債券の価格が急落し、業界全体の保有証券の評価損は2022年末時点で 1年前の約80億ドルから約6,200 億ドルに急拡大したとされています。

シリコンバレー銀行の場合、上場している親会社のデータでみた場合、2022年9月末時点で満期保有目的の債券の評価損は159億ドルでした。当時の自己資本は158億ドルだったため、評価損は自己資本を上回っていました。自己資本対比の評価損比率は同行が圧倒的に高かったとの指摘もあります。よって、他の銀行はシリコンバレー銀行ほどの状況でない可能性は大きいとみられます。一方、それぞれの銀行の評価損の規模や収益・財務に与える影響は現時点で必ずしも明らかでないため、今後の動向に留意する必要がありそうです。

3)米経済のリセッション懸念
米国経済は、急速な利上げを実施してきた過程でも、これまで堅調さを示してきました。しかしながら、シリコンバレー銀行の破綻は「2008年の世界金融危機の記憶を呼び起こすもの」となりました(3/11付のウォール・ストリート・ジャーナルの記事)。「当時はまず地銀の経営難が露呈し、後に米金融大手と世界の金融システムへと危機が波及していった。」(同記事)ためです。FRBの過度な利上げによる米リセッション入りに対する懸念もあるなか、シリコンバレー銀行の破綻はその「前兆」であるかどうかを警戒する投資家もいるようです。

米格付け大手のムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は3/14に、米国のバンキングシステムの見通しをこれまでの「安定的」から「ネガティブ」に引き下げました。ブルームバーグ報道によると、ムーディーズは米金融当局が「シリコンバレー銀行とシグネチャー・バンクの全預金者を保護すると発表したが、この措置を招いた銀行預金者と投資家による信頼感の急速かつ著しい低下は、金利急伸によって悪化した米銀の資産・負債管理のリスクを浮き彫りにした」と指摘しました。

総合的にみると、シリコンバレー銀行の破綻は、2008年のリーマンブラザーズの破綻とは大きく異なります。一方、それをきっかけとした信用不安の広がりに対する警戒や、今後の銀行システムや経済への影響については注視していく必要がありそうです。また、シリコンバレー銀行をはじめとした米銀3行の破綻を受け、3/21-3/22の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBがどう決断するか(「利上げ」か、「様子見」か、それとも「利下げ」か)が注目されます。

2 30年連続増配&FCFがプラスの企業

シリコンバレー銀行の破綻により、これまでとは違った不確実性が出てきたうえ、米金融政策や経済の動向については一段と不透明感が増してきました。その結果、株式市場ではボラティリティ(株価変動)の高い動きとなっています。上記で確認したように、シリコンバレー銀行の破綻による影響は現時点で不透明感が残っており、株式市場はボラティリティを伴う転換が続きそうです。

他方、シリコンバレー銀行の破綻は、中長期の株式投資においてどのような企業を選ぶべきか、再考するきっかけになると思います。シリコンバレー銀行の失敗からすると、その逆の企業、たとえばバランスシートが健全で、景気動向や金融環境の変動に大きく左右されることなく、安定的なキャッシュフローを得ている企業が有力視されることとなるでしょう。そのような企業は配当を支払う余力もあり、配当を継続的に増やしてきた可能性もあります。

そこで、下記の条件で具体的な銘柄を抽出しましたので、投資のご参考にしていただければと思います。
1)S&P500指数の構成銘柄
2)過去30年間連続でフリーキャッシュフロー(FCF)がプラス
3)過去30年間連続で増配を実施

(FCFは、企業が本業で生み出したお金から設備投資やM&A(合併・買収)など投資資金を引いた手元のお金です。)

図表4 上記の条件に該当する銘柄リスト(連続増配の年数が高い順位)

銘柄コード Bloomberg銘柄名 企業概要 株価(3/14)
KO コカ・コーラ 清涼飲料メーカー 60.03
MCD マクドナルド ファーストフード・チェーン運営会社 265.90
DOV ドーバー 工業機械メーカー 145.66
EMR エマソン・エレクトリック 電子・電気機器、ソフトウエア、システム、サービスの設計・製造会社 83.09
GPC ジェニュイン・パーツ 自動車部品会社 163.80
KMB キンバリー・クラーク 消費財メーカー 123.65
PH パーカー・ハネフィン 動力制御機器メーカー 334.22
PPG PPGインダストリーズ 化学メーカー 129.16
SYY シスコ 食品と関連製品の供給会社 74.66
PEP ペプシコ 飲食品メーカー 173.53
PG プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) 日用品メーカー 139.85
AFL アフラック 事業持株会社 63.12
ROP ローパー・テクノロジーズ 工業用機器メーカー 428.07

※BloombergをもとによりSBI証券が作成

免責事項・注意事項

  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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