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2024-05-04 12:40:31

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意外にも“成長企業”と考えられている米ホテル銘柄、マリオットとヒルトン

2023/2/22
投資情報部 榮 聡

マリオットインターナショナル、ヒルトンワールドワイドホールディングスなど米国のホテル銘柄は、10-12月期決算で好調が目立っていました。これは単なるシクリカル業種の業績回復と捉えられがちですが、実は米国のホテル銘柄は成長企業の側面を持ち合わせていることをご紹介いたします。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(2/21) 52週高値 52週安値
マリオット インターナショナル A(MAR) 170.68ドル 195.90ドル 131.01ドル
ヒルトン ワールドワイド ホールディングス(HLT) 144.08ドル 167.99ドル 108.41ドル
エアビー アンド ビー(ABNB) 128.78ドル 179.09ドル 81.91ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 米ホテル銘柄の10-12月期決算が好調

今回は直近の四半期決算発表で業績好調が目立ったホテル業界を取り上げます。

ホテル業界は景気の影響を強く受けるシクリカル業界の典型と考えられていますが、中長期では意外にも成長銘柄と捉えられることを第2節でご紹介いたします。

〇ホテル業界の四半期決算

10-12月期決算発表では、S&P500指数に採用されているホテル2社、マリオットインターナショナル(以下、マリオットと略します)、ヒルトンワールドワイドホールディングス(以下、ヒルトンと略します)とも前年同期比大幅な増収・増益で、いずれも市場予想を上回り、好調な業績動向が目立ちました。

また、ホテル自体ではないものの、宿泊需要を敏感に反映する民泊仲介サイトのエアビーアンドビーも市場予想を上回る決算が市場で注目を集めました。パンデミック後の経済再開が順調に進んでいることで、レジャー、ビジネスとも宿泊需要が回復しているようです。

〇株価も概ね堅調

ホテル2社の過去3年の株価推移を見ると、S&P500指数並みまで回復して概ね堅調です。

2020年3月の新型コロナの発生直後には市場平均を上回る大幅な株価下落となりましたが、3年間で徐々にアンダーパフォームした分を埋め、現在ではマリオットは市場平均を若干下回り、ヒルトンは若干上回る水準まで回復しています。

両銘柄とも史上最高値を付けたのは、米国で経済再開が急速に進んだ2022年4月でした。その後は概ねレンジでの推移となっていますが、順調に経済再開が進んでいることを踏まえると、高値を取りに行く可能性もありそうです。現在の株価(2/17時点)は、史上最高値に比べてヒルトンが13%下、マリオットが12%下となっています。

一般的に株式はシクリカルな回復だけでは、なかなか持続的な株価上昇は期待できないのではないかという見方もあるでしょう。しかし、次節でホテル銘柄は欧米市場では成長企業と捉えられている部分があることをご紹介いたします。

図表2 マリオット、ヒルトン、エアビーアンドビーの10-12月期決算動向

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3 マリオットとヒルトンの株価

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2 成長企業の側面がある米国のホテル銘柄

日本の株式市場ではホテル銘柄というと成長イメージはないかもしれませんが、欧米のホテル銘柄には成長企業の側面があることをご説明します。欧米の機関投資家はそういう目線で投資していると考えられます。

〇「アセットライト」の経営

欧米の企業が成長企業とみなされる背景には、「アセットライトの経営」があります。

「アセットライトの経営」とは、資産(アセット)の保有を抑えて、財務を軽く(ライト)することを意識した経営のことです。ホテル業界の場合では、ホテルの土地や建物などの資産は個々の地主や不動産投資信託(REIT)に保有してもらい、ホテル企業自体は資産を保有せず、ホテルの運営のみを受託したり、フランチャイズ契約でホテルの名前を貸し、運営のフォーマットを提供するなどするケースがこれにあたります。

2022年末にマリオットは約8,300の物件、153万室の運営に携わっていますが、保有する土地・建物は15.9億ドル(約2,100億円)に過ぎません。また、113万室の運営に携わるヒルトンに至っては3.0億ドル(約400億円)の土地・建物しか所有していません。まさにアセットライトの経営が行われていると言えるでしょう。

パンデミック下の2020年12月期にマリオットの売上が前年の210億ドルから106億ドルへ半減したにも関わらず、純利益で黒字が維持されたことに驚きが広がったことがありました。土地・建物の保有が限られているために固定費の比率が低く、主な費用である人件費を調整することによって赤字を避けることが可能となりました。

新型コロナのパンデミック下においてもバランスシートの痛みが抑えられたことで、回復に向けた動きにも早く取り掛かることができ、第1節でみたように株価も市場平均並みまで回復することができたと考えられます。同じレジャー関連でもバランスシートの痛みが大きくなった、カジノやクルーズ船と大きな違いが出ました。

〇成長企業の要素

アセットライトの経営が実現していることで、欧米のホテル銘柄は株式市場で「成長企業」といういう目線でみられているようです。アセットトライトのビジネスモデルを確立することによって、事業を拡大するときの資金調達の必要性を減らし、事業リスクを抑えながら安定的に成長することができます。

欧米の企業には、高度な専門性を必要とせず、技術革新も限られた業界で、同業の地場企業をひたすら買収して売上・利益を拡大し、利益率も改善していくという事業拡大戦略をもつものがあります。例えば、給食、ビルの清掃、人的警備といった分野にこのような企業があります。

ホテル業界もこれらに類似していると考えられます。ホテルも各地の地場企業が保有・運営しているケースが多いわけですが、世界的に知られているブランドを使用したり(フランチャイズ契約)、効率的な人材派遣システムをもつ大企業に運営を委託することによって経営が安定する効果が期待できるのでしょう。

実際にマリオットとヒルトンの運営客室数の推移を見ると、中長期に安定成長を遂げていることがわかります(図表4)。パンデミックによって業績が落ち込んだ、2020年、2021年にも運営客室数を増やしているのは、ビジネスモデルに対する自信の表れと考えられます。2023年についても、マリオットは前年比4.5〜5.0%増、ヒルトンは同5.0〜5.5%増とする計画です。

宿泊需要は必需ではないため、短期的には景気変動の影響を受けやすい典型的なシクリカル業界です。しかし、中長期では安定成長が実現できることがおわかりいただけたのではないでしょうか。中長期の成長企業として、ホテル銘柄にも投資を検討する価値があるのではないでしょうか。

図表4 マリオットとヒルトンの運営客室数

※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

3 マリオットとヒルトンのご紹介

マリオット インターナショナル A(MAR)

【会社概要】
世界最大のホテルチェーン。2016年に同業のスターウッドを買収して最大手に躍進。「マリオット」「ザ・リッツカールトン」「ウェスティン」「シェラトン」など30のブランドで展開、2022年末に8,288件、152.5万室を運営します。米国売上が76%、米国外売上が24%を占めます(2022年12月期)。

【業績動向】
10-12月期の売上は前年同期比33%増、調整後EPSは同51%増で、いずれも市場予想を上回りました。レジャー、ビジネスとも宿泊需要が順調に回復しており、稼働客室当たりの収入が為替変動の影響を除いたベースで、前年同期比29%増、コロナ前の2019年10-12月比でも同5%増と回復しています。

同社は2020年1-3月期に中止した株主還元を、配当は2022年5月、自社株買いは2022年4-6月期に再開して事業の正常化が進んでいます。2023年12月期の見通しについては、稼働客室当たりの収入が1-3月期は前年同期比30〜32%増、2023年12月期は前年比6〜10%増と業績回復が継続する見通しです。運営する客室数は前年比4.0〜4.5%増やす計画です。

ヒルトン ワールドワイド ホールディングス(HLT)

【会社概要】
ホテルチェーンの世界大手。2007年に投資会社のブラックストーンが買収して上場廃止、2013年に再上場しました。最高級の「ウォルドーフ・アストリア」「コンラッド」をはじめ、「ヒルトン」など18のブランドで事業展開、2022年末に7,165件、112.7万室を運営します。米国売上が79%、米国外売上が21%を占めます(2022年12月期)。

【業績動向】
10-12月期は、売上が前年同期比33%増、EPSが同121%増で、売上・EPSとも市場予想を上回って好調でした。稼働客室当たりの収入は為替変動の影響を除くベースで同25%増、コロナ前の2019年10-12月期に比べても8%増で、2019年の同期を上回るのは2四半期連続です。

2023年12月期については、稼働客室当たりの収入が前年比4〜8%増(為替変動の影響を除くベース)、純利益が13.82〜14.54億ドル(前年比10〜16%増)のガイダンスです。客室数は前年比5.0〜5.5%増やす計画で、ホテル開発のパイプラインは、2022年末に41.6万室に達しています。また、17〜21億ドルの株主還元を計画しています。

図表5 マリオットとヒルトンの投資指標

※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

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