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2024-05-04 01:34:00

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米国上場の中国株が急騰、「リオープン期待」以外の要因と見通し

2022/12/7
投資情報部 李 燕

米国上場の中国株が10月末以降、急騰しました。中国当局が予想外に「ゼロコロナ政策」を見直したことを受け、「リオープン期待」が膨らみました。今回は、「ゼロコロナ政策」をめぐる動きを確認するとともに、「リオープン期待」以外の株高要因と今後の見通しについて考察してみたいと思います。

図表1 主な言及銘柄

銘柄 株価(12/06) 52週高値 52週安値
iシェアーズ 中国大型株 ETF(FXI) 28.80米ドル 39.78米ドル 20.87米ドル
アリババ ADR (BABA) 91.45米ドル 138.70米ドル 58.01米ドル
ピン多々ADR (PDD) 86.91米ドル 89.87米ドル 23.21米ドル
JDドットコム ADR (JD) 60.35米ドル 79.24米ドル 33.17米ドル
ネットイース ADR (NESE) 68.21米ドル 53.09米ドル 108.86米ドル
百度 ADR (BIDU) 117.33米ドル 73.58米ドル 171.87米ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 米国上場の中国株が急騰

米国市場に上場している中国株で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国(HXC)指数は、11月に42%上昇し、指数算出開始以来で最大の上昇率を記録しました。

図表2 ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国(HXC)指数の月間騰落率

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表2の月間騰落率を確認してみると、HXC指数は過去2年間で下落した月が多く、特に今年10月は25%も下落しました。10月は中国共産党大会が開催され、次期の中国最高指導部が選出された月です。10/23に「3期目の習政権」が発足した後、市場では中国当局が今後、経済成長よりも「共同富裕」を重視し、「ゼロコロナ政策」を堅持するのではないかとの懸念が強まりました。

しかし、大方の予想に反して、「3期目の習政権」は成長重視姿勢を示し、発足してすぐ「ゼロコロナ政策」を見直しました。それを受け、リオープン期待が高まり、米国上場の中国株は急反発し、HXC指数も大幅高となりました。

2 「リオープン期待」以外の株高要因

他方、HXC指数がわずか1カ月間で4割も上昇したのは、「リオープン期待」のほかに、下記の3つ要因も大きく左右したとみられます。

1)2年近くの暴落を経た割安感
2)「ゼロコロナ政策」見直しのペースが速い
3)不動産市場への包括的な支援も、同時に実施

1) 2年近くの暴落を経た割安感
HXC指数は2021年2/16に史上最高値の20,688.32ポイントを付けた後、2年近くの調整を経て、2022年10/24に4,468.54ポイントまで下落しました。その間、78%も下落し、バリュエーションも著しく低下しました。

図表3 ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国(HXC)指数の終値と予想PERの推移(2001年から)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2) 「ゼロコロナ政策」見直しのペースが速い
「3期目の習政権」が発足した後、中国当局は11/10に、経済への影響を考慮し、的を絞ったコロナ対策を実施すると発表しました。「ゼロコロナ政策」を見直す方針を示しましたが、地方政府レベルでは引き続き、厳しい「ゼロコロナ政策」が実施されたこともあり、11/26-11/27に中国各地で「ゼロコロナ政策」に対する抗議デモが発生しました。その時、海外では中国当局がデモの弾圧とともに、「ゼロコロナ政策」を見直すより堅持するのではないかとの懸念も浮上しました。

しかし、中国当局は11/29に「ゼロコロナ政策」を見直す方針をより明確に示しました。同時に、高齢者のワクチン接種を強化すると発表し、地方政府に対しては隔離措置などの改善を求めました。それを受け、11月末以降、各地方政府は急ピッチで「ゼロコロナ政策」の見直しを進めました。

図表4 「ゼロコロナ政策」をめぐる動き

日付 出来事 備考
10/23 「3期目の習政権」が発足。 市場では中国当局がこれから経済成長よりも、「共同富裕」を重視し、「ゼロコロナ政策」を堅持するのではないかとの懸念が強まった。
11/01 中国当局が「ゼロコロナ政策」からの段階的な脱却に向けて準備を進めつつあるとの観測が広がった。きっかけは一つのメディア投稿だった。その内容は、「“再開委員会”が設置されたと聞いた。同委員会は、2023 年 3 月の再開を目標に、さまざまな再開シナリオを評価するために米国や香港、シンガポールの新型コロナに関するデータを調べている。」となっている。 観測のきっかけとなったメディア投稿は、比較的具体的なものになっており、単に「うわさ」とは言い難い内容だった。それを受け、市場では「リオープン期待」が一気に強まった。
11/10 「3期目の習政権」が「ゼロコロナ政策」をめぐり会合を開いた。「ゼロコロナ政策」を維持する必要性を強調しながらも、「経済への打撃を回避すべく、より的を絞ったコロナ対策を講じる」と表明した。
「3期目の習政権」が初めて示した「コロナ対策」をめぐる方針となった。
過去との大きな違いは、「経済への打撃を回避する」との文言が加わったことだ。中国当局が「ゼロコロナ」よりも、成長重視の姿勢を示した格好だ。
11/11 中国当局は、入国者に対する隔離期間を従来の10日間から8日間に短縮すると発表。
入境者の隔離期間の短縮は通常、リオープンに向けた最初の一歩と言える。
11/26-11/27 中国各地で、厳しい「ゼロコロナ政策」の実施に対する抗議デモが発生。 デモの前にすでに中国当局は「ゼロコロナ」よりも成長を重視する姿勢を示したが、地方レベルでは依然として厳しい「ゼロコロナ政策」が実施されていた。デモの後の動きからすると、今回のデモは、経済再開に向けた動きを加速させた可能性がある。
11/29 中国当局は高齢者のワクチン接種を強化すると発表。 高齢者のワクチン接種率が低いことが中国が「ゼロコロナ政策」を堅持する理由とされていただけに、今回の措置は、中国が本格的な経済再開に向けて大きな一歩を踏み出ししたことになる。
11/29 コロナ政策を担当する孫春蘭・副首相は、「オミクロン株の病原性は比較的弱く、ワクチン接種も進み、コロナとの我々の闘いは新たな段階にある」と発言。また、「診断、検査、治療、隔離などの改善を進め、高齢者のワクチン接種を強化する」と表明した。 同副首相は、これまで繰り返し強調してきた「ゼロコロナ政策」の継続については言及せず、隔離措置などの改善を求めた。
12/01 北京市は、新型コロナ感染者の一部について、自宅隔離を容認する。 中央当局が示した「コロナ対策」見直しの方針に沿って、各地方政府が相次いで「ゼロコロナ政策」を見直し始めた。
12/02 北京市は12/5から、公共施設や公共交通機関を利用する際の陰性証明の提示義務を撤廃すると発表。
12/04 上海市と杭州市は12/5から、公共施設や公共交通機関を利用する際の陰性証明の提示義務を撤廃した。
12/05 深セン市と大連市、蘇州市、南京市は12/5から、公共施設や公共交通機関を利用する際の陰性証明の提示義務を撤廃した。

※Bloombergおよび各種資料をもとにSBI証券が作成

図表4の一連の出来事からすると、「ゼロコロナ政策」への逆戻りはもはやなく、中国は本格的に経済再開に向けて動き出しています。

3) 不動産市場への包括的な支援も、同時に実施
中国当局がこれまでに打ち出した不動産支援策は、断片的な措置にとどまりました。しかし、「3期目の習政権」が発足した後、中国当局はより包括的な支援措置を打ち出しました。

特に注目されたのは、11月中旬以降に打ち出した「3本の矢」です。具体的には、1)金融機関による不動産会社への融資支援、2)不動産会社の債券発行に対する支援、3)不動産会社のエクイティファイナンス(たとえば債務返済を目的とした株式発行)に対する支援です。上記の3つは、いずれも中国当局がこれまで不動産市場を抑制するために、制限を課した分野です。それが一転して、3つとも解除されました。

これらの政策により、中国の不動産市場が劇的に持ち直すとは考えにくいですが、不動産市場および中国経済の「底割れ」回避につながると思われます。「3本の矢」を受け、不動産市場の最悪期は過ぎた可能性があるとの見方も増え、香港市場では不動産デベロッパーの株価が11月に3倍近く上昇しました。裾野の広い不動産市場に対する悲観的な見通しが後退すれば、今後は企業の投資や個人の消費行動にもプラスの影響を与える可能性があります。

3 今後の見通し

「ゼロコロナ政策」の堅持と不動産市場の軟調は、これまでに中国経済や中国企業の業績の見通しを悪化させた2大要因となっていました。中国当局が11月に入ってから、この2つの分野に対して同時にメスを入れたことを受け、足元では2023年の中国GDP成長率予想や中国企業の業績見通しについて、上方修正する動きが目立っています(図表5と図表6)。

これまでは中国経済や中国企業の業績に対して、下方修正が続いていたことを考えると、これは大きな変化と言えます。11月に急騰したことで、スピード調整も想定されますが、暴落を経た割安感と悲観ムードが長らく続いたゆえの中国株投資比率の低さを踏まえると、中国株に対する見直し買いは続く可能性があります。

図表5 2023年の中国GDP成長率予想の推移(%)

※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

図表6 ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国(HXC)指数の主要構成銘柄の業績見通しとPER

銘柄コード Bloomberg銘柄名 予想EPSの修正率
(過去1カ月間)
予想PER 過去5年平均PER 予想EPS成長率
(来年度)
BABA アリババ ADR 2.0 12.0 41.2 13%
PDD ピン多々ADR 14.3 28.4 - 12%
JD JDドットコム ADR 12.9 25.6 - 13%
NTES ネットイース ADR 5.5 14.5 26.8 2%
BIDU 百度 ADR 3.6 14.0 27.9 11%
LI リーオート ADR -49.7 - - 黒字転換
BEKE KEホールディングス ADR 5.3 91.4 - 196%
NIO ニオ ADR -37.3 - - 赤字縮小
TCOM トリップ・ドットコム ADR -0.7 149.9 - 372%
ZTO ZTOエクスプレス ADR 4.0 21.2 27.2 22%
HTHT 華住集団 ADR -206.1 - - 黒字転換
TME テンセント・ミュージック ADR 16.0 20.2 - 10%
XPEV シャオペン ADR 3.5 - - 赤字縮小
BZ Kanzhun ADR -13.6 88.0 - 94%
BILI ビリビリ ADR 3.7 - - 赤字縮小
VIPS 唯品会 ADR 10.3 8.9 16.4 2%
EDU ニュー・オリエンタル・エデュケーション ADR 0.0 31.9 - 86%
LU ルファックス ADR -29.2 3.5 - -14%
DQ 大全新能源 ADR 4.0 1.9 14.8 -35%
TAL TALエデュケーション ADR -20.0 - - 黒字転換
ZLAB ザイラボ ADR -13.2 - - 赤字縮小
WB 微博 ADR -3.8 7.9 27.4 5%
ATHM 汽車之家 ADR 0.1 12.7 20.1 6%
MNSO ミニソ・グループ ADR 13.8 20.0 - 2%
GDS 万国数拠服務 ADR -182.8 - - 赤字拡大

注:1)主要構成銘柄は11/30時点の時価総額ベース上位25銘柄です。
2)EPSは1株当たり純利益で、PERは株価収益率です。EPSやPERのデータは12/6時点のものです。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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